「リニューアル後のZOOMOを語るvol.3 ~ニホンイヌワシ~」
みなさんこんにちは。今年は熱中症による救急搬送が例年の1.5倍なのだそうです。こまめな水分補給を心がけるとともに、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事で夏を元気に乗り切りましょう。
さて今回はニホンイヌワシ舎の改修についてご紹介します。
ニホンイヌワシは里山での人々の営みに深い関わりがあることが知られており、新たなZOOMOのテーマの1つである「里山の再生」とも関係性が深いことからリニューアルのシンボル的な動物種です。
東北地方の特に北上山地はニホンイヌワシの一大営巣地として知られていて、岩泉町など多くのニホンイヌワシが生息する営巣地の一部は天然記念物に指定されています。
ニホンイヌワシはこの30年ほどで繁殖ペアの3割が消失したと言われています。繁殖成功率も下がり続け、生息数は全国でわずか500羽にも満たないと推測されていて、環境省のレッドリストでは絶滅危惧1Bに分類されています。
生息数が減少している一番の原因とされているのは、里山の荒廃や林業の衰退による山の環境変化です。
ニホンイヌワシは草原などの開けた空間で狩りをします。草山や伐採地など人が山に手を加えることで生じた開けた場所でノウサギやヤマドリ、ヘビなどを狩って暮らしてきました。人もニホンイヌワシも自然を利用しながら共生していたということです。
しかし、建材や薪炭で利用されていた草山や薪炭林の需要が減り、林業の衰退によって人工林の管理も行き届かず木々が混みあってしまった山では、開けた山の環境を好む動植物が減少してしまい、それらを狩って暮らしていたニホンイヌワシの狩場や食料も減ってしまいました。人の暮らしの変化によってニホンイヌワシの生息環境が悪化したとも言えます。また、開発による生息地の減少や営巣地への人の不用意な接近も営巣放棄につながっていると言われています。
ZOOMOでは全国の動物園と連携をしながら種の保存のため飼育下繁殖に取り組むとともに、ガイドなどのプログラムを通じて保全教育に努めてきましたが、種の保存にこれまで以上に積極的に寄与することや飼育個体の動物福祉向上のために施設の改修を決めました。
リニューアル工事では現在のニホンイヌワシ舎の数倍もある大きなフライングケージを増設します。翼を広げると2mにもなるニホンイヌワシの行動欲求を満たすためには広いスペースが必要ですし、来園者からの視線を避ける意味でも植栽や広さは必要不可欠です。
園内の林を囲う形で作られるフライングケージには来園者が通り抜けることができる観覧通路も設置され、林の中で暮らすニホンイヌワシを見上げるような展示になります。
新たなイヌワシ舎を楽しんでいただきながら、彼らと人々の暮らしとの関わりや生息環境に思いを馳せて、私たちにできることを考え、ZOOMOと一緒に行動に移してもらえたら嬉しいです。
次回は施設紹介を一度休憩して、新たなZOOMOを私たちと一緒につくっていく新たなサポーター制度やボランティア活動についてご紹介します。お楽しみに。
企画営業広報 荒井