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「凍 鶴」

アオイガイの七変化 第1回

アオイガイ は、タコ(軟体動物門)の仲間です。
雌は卵を保育する舟形の貝殻 に入って、海に浮かんだり沈んだりして移動します。

別名はカイダコ(貝蛸)。貝殻 を二つ合わせると、植物のあおいの葉のかたちになることから、アオイガイと呼ばれています。

二つ合わせると葵の形。徳川家の家紋に使用

古い話ですが、2011年3月5日、テレビ朝日の番組「人生の楽園」で「かいのどうぶつえん」が紹介されました。

今は亡き西田敏行さんを偲んで

放送をご覧になった青森の織物作家(刺しこぎん)さんが、下北の美しい渚で採取されたアオイガイを送るとメールくださったのです。

ところが、直後の3月11日に東日本大震災が発生。東北から関東まで混乱状態の中、アオイガイ一つ一つを入念に包んで段ボール箱に梱包し、宅配便の再開を待ってご送付いただきました。

ご寄贈いただいた大切なアオイガイは薄くもろく割れやすく、慎重に扱いました。

制作は慎重に、丹念に

何をつくろうかとあれこれ思案し、数年かけて7種の作品を制作しました。

いわば、アオイガイの七変化の第一回目が、極寒にじっと耐えて、一本足で雪原に立つ「凍鶴いてづる」(frozen crane)です。

一本足で立った!

制作を開始して気づいたのは接着の難しさでした。アオイガイと他の貝との接着は一発勝負!やり直しはできません。何より苦労したのは一本足で立たせることでした。

また、完成してからも、作品展で運搬する時、何度も足を骨折し痛い思いをさせてしまいました。

何度も骨折したね、ごめん

もちろん凍鶴いてづるには、大地震・大津波・原発事故が重なった東北の方々の、一日でも早い復興への願いと祈りを込めました。

   

    貝との約束は「割らない」「塗らない」「削らない」

         第1回 「凍 鶴」 貝の配役
★からだ:アオイガイ :ウラシマガイ :スガイ 
 :ムラサキウニ/フトコロガイ      

夜の雪原で、寒さにに耐える鶴。復興への祈りをこめました


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