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「テディ ベア」

記念作品シリーズ 第五回

「かいのどうぶつえん」では、2006年の開園以来、毎週1作品のペースで、新作を制作。そして、100回目ごとの節目に、“記念作品”を制作し公開してきました。
このシリーズでは、時間をさかのぼって記念の作品をご紹介します。

五回目は、2015年10月に公開した第500回目の作品「テディ ベア」 (teddy bear)です。

当初は、500回にふさわしい動物は?とか、あっと驚かせる動物は?などと意識しすぎて、迷いが深まってしまいました。

しかし、主役は貝の動物なのに、裏方の園長が力みすぎて、数字に位負けしていただけと気づいたとたん、肩の荷がおりました。

そうだ、元気いっぱいな5匹のテディ ベアでいこうと決断。

ご存じのように、テディは26代大統領セオドア=ルーズベルトの愛称で、
狩猟中に子熊の命を助けたというエピソードにちなんでいます。

みんな違うタカラガイ 

丸々とした縫いぐるみのクマを表現するために、5種類のタカラガイを選びました。

でもそれだけでは、ちょっと寂しいし、記念のお祝い気分やお祭りの雰囲気が盛りあがりません!

そこで思い出したのは、金子みすゞの詩、「わたしと小鳥と鈴と」でした。

500回を祝福し、バンザイしているクマたちの大きな背中に、ウサギやカエルなど5種類の動物たちをしがみつかせました。みんながバラバラな方向を向きながら、でも心を一つに歓声をあげて喜んでいるシーンです。

背中にしがみつく動物たち

「みんなちがって みんないい」に近づけたかな?

ハラダカラとホシダカラ
サルとウサギが大はしゃぎ
お腹はタルダカラ
カエルは大声で声援
ジャノメダカラ
背中でほえるイヌ
ジャノメダカラ
うれしくて背中ではねるネズミ

貝は「割らない」「塗らない」「削らない」の“3ない”ルール

    第500回 「テディベア」 使用した貝  ※写真左から
★1:ハラダカラ/クリスジゴシキマイマイ/ハナマルユキ/シマメノウフネガイ
★2:ホシダカラ/クリスジゴシキマイマイ/ハナマルユキ/シマメノウフネガイ
★3:タルダカラ/オシャレマイマイ/ハナマルユキ/シマメノウフネガイ他
★4:ジャノメダカラ/オシャレマイマイ/ハナマルユキ/キクスズメ/スガイ
★5:ヤクシマダカラ/オシャレマイマイ/ハナマルユキ/キクスズメ/スガイ
★文字:ヒメカノコ   ★動物たち:カイコガイ/サクラガイ/キイロダカラ/アサリ/スガイほか

クマの体は5種類のタカラガイを使用

補遺

金子 みすゞ(かねこ みすず):1903年(明治36) - 1930年(昭和5)。
大正末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人。26歳で夭逝、約500編の詩を遺し、西條八十が激賞。代表作は「私と小鳥と鈴と」「大漁」など。

「私と小鳥と鈴と」
   私が両手をひろげても、
   お空はちっとも飛べないが
   飛べる小鳥は私のように、
   地面を速くは走れない。
   私がからだをゆすっても、
   きれいな音は出ないけど、
   あの鳴る鈴は私のように
   たくさんな唄は知らないよ。
   鈴と、小鳥と、それから私、
   みんなちがって、みんないい。

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