「桃園の誓い」
ニューフェイス 第22回
今回は、『三国志』の第一回、「桃園の誓い」(The Peach Garden Oath)です。
400年余にわたって中国を統治した漢王朝は、後漢末期になって衰退。太平道教祖に扇動された膨大な数の黄巾賊が、全土で略奪や殺戮を繰り返しました。
人々が恐怖に震える183年の春。三人の勇士が「黄巾の乱」平定の義勇兵に応募しました。
大耳の”劉備”は28歳で身長172cmの人格者、髭の長い”関羽”は23歳で、207cmの巨漢、大目玉の”張飛”は18歳で184cmの猛者。
酒を酌み交わし意気投合した三人は、桃園に祭壇を設けて義兄弟の契りを結び、国に報い民を安らかにすると誓いました。
「われら三人、同年同月同日に死せん事を願わん」
挙兵の噂を聞いて500名もの若者が志願。商人たちの資金提供もあり、関羽は名高き”青龍偃月刀、張飛は刃がくねくね曲がった”蛇矛蛇矛”、劉備は”雌雄一対の剣”をひっさげ勇んで出陣。ここから、波乱万丈の『三国志』の幕が開きました。
貝は「割らない」「塗らない」「削らない」
第22回 「桃園の誓い」 使用した貝
★劉備・関羽・張飛
:アマオブネガイ/スズメガイ/スガイ/フジノハナガイ/ジュドウマクラ/タモトガイ/カニモリガイ/ヒメカノコ/ガンガゼほか
★祭壇:サラガイ/パイプウニ ★盃:オキアサリ ★酒壺:オオサキイモ
★酒肴:アサリ/ヒメカノコ
★桃園:マメニセザクラ/アカウニ/ヒメカノコ/マキガイの芯
☆ふたつの『三国志』
中国では王朝が交代すると、新王朝が旧王朝の歴史を「正史」としてまとめます。『三国志』は、3世紀後半に晋の陳寿が記述した正史。晋は魏から興った王朝で、曹操の魏を正統としています。「魏書」30巻、「呉書」20巻、「蜀書」15巻の計65巻で構成。「魏書」には、日本の卑弥呼の記述があります。
『三国志演義』は、14世紀の中頃(元末期〜明)に、作家・羅漢中が書いた歴史小説で全120回。正史をベースとしつつも、脚色や創作をふんだんに盛り込み、全体として蜀びいき。劉備・関羽・張飛の三義兄弟が活躍し、強敵の曹操に立ち向かうストーリーです。
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