「ナベブタアリ」
<かわりもの>シリーズ 一匹目
かいのどうぶつえん 園長です。
ちょっとかわった姿形や、奇妙な行動や不思議な食性など、とても愉快な生態の生き物たちを、貝でつくりました。子供向けの説明もご用意しました。
今回は、巣を頭で守る「ナベブタアリ」(Cryptocerus varians)です。
中南米に生息する体長約5mmのアリで、木の空洞を巣にしています。
その中で、生まれた時から頭部が丸く大きな皿形で、巣穴の出入り口にピタッとはまるアリがいます。
まさに生きている”扉”で、外敵の侵入をガッチリ防止。
仲間が触角で合図すると、横にずらして通過させます。
24時間、年中無休の”ドアマン”は移動せず、食糧も仲間にもらって一生をすごします。TV番組で、「せつない生き物」として面白おかしく紹介されましたが、ちょっと待った!
ホモ・サピエンス(新人)の登場は約30万年前。アリは約9000万年前にハチから分化し、農業を営む「ハキリアリ」など、高度に発達した社会をつくっています。最新の研究では、全世界のアリの総数は2京匹で、生態系の重要な担い手とか。
大先輩の進化した姿を笑うのはやめて、環境保全について謙虚に相談した方がよさそうですね。※(2京匹=20,000,000,000,000,000匹)
補遺-1:「ハキリアリ」南米やアフリカに生息し、大顎で植物の葉をすばやく噛み切ります。体より大きな葉を口で咥えて、大行列をつくって巣に運搬。道の両側を小柄な働きアリがパトロールし、巣は兵隊アリが守って役割分担。
地下の巣が農場で、部屋の床に葉をぎっしり敷いて、キノコを栽培し食料とします。ハキリアリの営農進化は約5000万年前。
約1万年前にはじまった人間の農業よりも、はるかに古いと考えられています。
補遺-2:「アリは生態系の重要な担い手」
アリは南極大陸やグリーンランド、アイスランドなどを除く地球上のほぼ全ての場所に生息し、1万2000種以上います。その総数は、2京|《けい》匹(20,000,000,000,000,000匹)。人間一人あたり250万匹も存在し、土壌の栄養循環や植物の種の散布など、生態系の維持に欠かせない存在となっています。(2022年、米国科学アカデミー紀要)
☆こどもむけ せつめい☆
「なべぶたあり」
“き”の あなが “すみが”の 「なべぶたあり」です。
“じょうおうあり”や “へいたいあり”と ちがって
ぼくは まるくて おおきい おさらのような
あたまを もっています
いりぐちで とびらになって ぴったり ふたを して
てきが はいるのを ふせぎます。
なかまが でたりはいったり
するときは よこに ずらして あげます。
貝は「割らない」「塗らない」「削らない」ルールで制作
<貝の配役>
★頭部(フタ):バテイラ(フタ) ★胸部:カモンダカラ
★腹部:ハナマルユキ ★触角:ガンガゼ ★脚:ムラサキウニ
★樹木:エダサンゴ ★地面:アワビ