『やまなし』
宮沢賢治シリーズ 第八回
かいのどうぶつえん 園長です。
今回は、宮沢賢治が1923年(大正12)に発表した『やまなし』(Wild Pear)です。
「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です」で始まる短編童話の第1章「五月」では、明るい水の底で、幼い兄弟蟹が”クラムボン”の話をします。
つづく「十二月」の章では、夜の川底で月をながめていた兄弟の頭上に、黒くて丸いものがトブンと落ちて沈み浮きあがります。”かわせみ”だと怯える子供たちを制した父蟹は、両目を遠眼鏡のように伸ばして「やまなし(山梨)」だと言います。いい匂いがするから、二日ばかり待つと美味しいお酒ができると教え、穴に帰って寝ることにしました・・・。
教科書にも掲載されている名作ですが、音読する小学生たちにはちょっと難解かもしれません。しかし、青い幻燈のイメージは大人になっても記憶にくっきりと刻まれていることでしょう。
余談ですが、子供の頃よく遊んだ近所の旧家の庭に、日本山梨の巨木がありました。小さい実は硬くて甘みが少なく、美味しくなかったのですが、大人たちは焼酎に漬けて楽しんでいたようです。
☆参考文献/光村図書出版「小学校国語6年」:『やまなし』(宮沢賢治)
2003年の開園時より、貝たちとは「割らない」「塗らない」「削らない」と固く約束して制作しています。園長
<貝の配役>
カニ親子:タカラガイ(割れ)/チリボタン/スガイ/ヤカドツノガイ/ムシボタル/アサリ/ヒメキリガイダマシ
やまなし(山梨):ツメタガイ/ムラサキウニ
川の水:マドガイ(カピスガイ)
川床:マガキ/イワガキ
『やまなし』青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/46605_31178.html