ひやおろし(それと季節のお酒)について。その方向性で今後生き残れるの?
今年度も秋のお酒「ひやおろし」が販売され始めてから早いもので1カ月が経過しました。
え、、、1カ月です、、、?まだ秋にもなっていないのに、、、?
暦の上では立秋は8月7日のようなので、それに合わせて出荷されているのはまあ間違ってはいないとは思いますけれど。
ひやおろしに限らず年々発売が早くなりつつある季節のお酒には、毎度毎度ネット上では物議と言論が交わされていく光景がよくみられます。特に夏酒やひやおろしは顕著ですね。
自分自身が日本酒に詳しくなってきたこの数年で特に目にしているだけかもしれません。
しかし、こう毎度のようにインターネット上で意見が飛び交っている(ように見える)にも関わらず変化がみられないとするならば、この物議は蔵元には届いてすらいないか、力のある酒販店が握り潰しているか、あるいは取るに足らない意見なのか。
いずれにせよ、日本酒の販売促進を目的にした施策が歪みを生んでいるのは事実なのでしょう。
現代のひやおろしの問題点については調べて頂いた方がいらっしゃるのでこちらも参考に。↓
さて。
コロナ期間で特定名称を冠する日本酒の消費量が落ちているのは皆さん実感していることでしょう。
実感していてほしいところ、というのが正しいですか。
これを踏まえた上で、一つ皆さんに質問です。
「最近の夏酒やひやおろしで、本当に美味しいと実感できるお酒に出会えましたか?」
ただでさえ一般の方々に知名度が無い季節のお酒ですが、皆様いかがでしょうか?
今年の夏酒は少なくとも50種類以上、秋のお酒は15種類以上飲んだ私自身の現段階での感想ですが、それぞれ片手で収まる程度と思います。詳しいからボーダーが高すぎる?それは否定しませんが。
夏のお酒はそれでホントにビールやハイボールに戦う気なの?
ひやおろしはそれで秋~冬の味覚に合う?もう1年以上熟成させた方がピッタリじゃない?
と思うものも少なくありません。
そもそも、季節のお酒って本当に必要ですか?
冬場に新鮮な新酒しぼりたて生酒を出して、春先に柔らかい酒質のうすにごり生酒を出して、GW明けには甘さ控えめで爽やかな酸のある夏生酒を出して・・・など
限定品をしっかり出すことに囚われて、定番の商品が疎かになっているところ、色々と飲み比べている方は心当たりがある人は多いのではないのでしょうか。
「季節限定品は美味しい」
逆に
「季節限定品だけ美味しくない」
という蔵元さんもありますけれど。
力が強い酒屋さんが欲しがっている、周りがリリースしているから必要だろう、という理由で季節限定品を出すことは、今後のためになるのかどうか。正直今の自分には疑問しか残りません。
例を挙げるとするならば。
高額転売の対象ともされているようなプレミア銘柄
十四代、新政、而今、などなど……
これらの銘柄が「春の○○、夏生酒、ひやおろし」などという商品をリリースしているでしょうか。季節ごとに毎年決まってリリースするスペックはあれど、特別な季節感は打ち出していないですよね。
ターゲットを明確にして、そのターゲットに該当するどの人が飲んでも「美味しい」と思えるようなものを打ち出せる方が、季節商品に囚われるよりもずっと重要のように見えませんか。
今年は確かに仕方がないかもしれません。製造計画は急には変えられないですし、造ったものはお金に変えなければ来年のお酒が造れなくなる可能性もあります。
ですが、これまでの数年間、同じことをしてきましたよね?
コロナだから、ではきっとないのでしょう。
これまでの真綿で首を絞められていたような状況から、コロナをきっかけに麻縄で絞められているかのように変化しただけ。
向こう数年でどこに向かって舵を切るのか。
蔵元も、酒販店も、もちろん飲食店も。