【Bリーグ】サンロッカーズ「渋谷」 2024-2025新体制発表会まとめ〜アリーナどうなる?〜
昨日、B1リーグ中地区に所属するサンロッカーズ渋谷が新体制発表会をオフライン・オンライン同時開催にて行った。
各クラブの状況を鑑みると、少し開催が遅いかな?という気もしたが、発表された内容の複雑性やプレシーズンマッチ、天皇杯と続く中での開催は相当に難易度が高かったことが想像に難くありません。
ここ数年、伊佐むーさん体制での天皇杯優勝、日立からセガサミーへのオーナーの変化、アルバルクの闘将ルカHC就任、田中大貴やジョシュ・ホーキンソンといった補強…急激な変化を遂げると共に、東京の中心地のバスケクラブとして国内のバスケ人気やエンターテイメントの成長を追い風に進化を続けるサンロッカーズ渋谷。
今シーズンにかける思いの面だけでなく、サンロッカーズ渋谷ファンの皆さんにとってはB.PREMIER参入に向けての「アリーナ問題」が数年前から注目されていました。そういった部分も含めて大きなニュースとなったのではと思いますので、今回は速報的ではありますが、記事にしてみたいと思います。
※速報でありますので誤字脱字や表現が稚拙な部分が含まれている可能性がありますがご容赦ください…
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発表内容
24-25シーズンの方針・目標
今シーズン中に、Bリーグ傘下最古のクラブとして創設90周年を迎えるサンロッカーズ渋谷。
今年は、まずは経営体制も大きく変わったので、神田社長の挨拶から始まった。
その上での今シーズンの方針としては以下の3つが掲げられた。
まずは競技面での成果は何としてでも今シーズン獲得したい結果だろう。
昨シーズンは大幅な補強にも関わらず、序盤、チームのフィットが中々噛み合わず、連敗をした。終盤の強さはリーグでも随一であったが惜しくも得失点差でのチャンピオンシップ出場を逃した。
今シーズンこそは最低でもチャンピオンシップ出場、そしてB1制覇を現実的に狙っていくという目線が見えた。(後述の選手紹介の部分でも、各選手から「優勝」という具体的な目標が掲げられたのは印象的であった)
そして、B.PREMIERライセンスは今期の10月の初回審査(10月17日発表)がPREMIER開幕時に参戦する上では絶対必須の項目になるので、この点は喫緊の課題である。
そして、サンロッカーズ渋谷のミッションは今シーズンに限らず最も重要な項目だ。ちなみに、皆さんは経営理念やクラブのミッションをどの程度意識してらっしゃるだろうか。私は最重要視をしていて、その内容に共感が出来るかはとても気になるし、極端に言えばその理念が素晴らしいだけで応援を開始することもあるくらいです。
シーズンスローガン「GRAB AS ONE」
今シーズンのクラブスローガンとして掲げられたのは「GRAB - GRAB AS ONE」
様々なものを具体的に掴み取っていこうというスタンスが表現された。
個人的には、クラブカラーも微妙に黄色が濃くなってきてるし、今回のスローガンのデザインも含めて、仙台89ersと似ているなという印象を持ちました。
体制
HC、キャプテン、バイスキャプテン
新加入選手、SUNROCKER GIRLS、428 ROCK CREW(渋谷独自の応援部隊)、フロント体制(35人)などが紹介された。
バイスキャプテンとしてジョシュ・ホーキンソンが入ったことで、外国籍も含めたチームコミュニケーションの活性化が期待出来るだろう。
今シーズンは各クラブで、外国籍選手をキャプテンやバイスキャプテンに設定するところが増えてきているように感じる。
また、フロント体制35人が相対的に多いのかはわかりかねるのですが、フロントには明確に投資をしているという姿勢が伺えました。
各選手の紹介
こちらは是非動画をご覧になって頂けると良いかなと思います。
B.PREMIER審査に向けて
各項目の状況
今回の発表で最も注目されたのがこの点ではありましたが、各項目の進捗状況からレビューが行われました。
基準としては大きく3つが設けられていますが。
サンロッカーズ渋谷は昨シーズン終了時点で、入場者数と売上の面ではクリアしたことが改めて発表されました。
ホームアリーナである青山学院記念館においてはキャパの限界からツメツメにして立ち見まで設けて3,900前後の満員御礼を続けていたが、有明コロシアム開催を昨年実施し8,000〜9,000人動員を行うことで、ホーム開催30試合の平均4,000をクリアするという方法を取っていました。
また、売上については、サンロッカーズ渋谷は元々低いクラブではなく、下記リンク先の2022年度の段階(一昨シーズン)でも12億円はクリアしていて、昨シーズンについては神田社長の口頭説明では20億円超ということで、急激な拡大をしているといえるでしょう。
各クラブ 2022年度決算https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/financial_settlement_2022.pdf
アリーナについて
そして、最大の懸念事項であったアリーナについて。
元々サンロッカーズ渋谷は、青山学院大学の青山学院記念館をホームアリーナとして使用して、時折、代々木第二体育館や昨シーズンは有明コロシアムを使用していました。
青山学院記念館は先述の通り、満杯に入れたとしても5,000人を収容することは難しく、また、VIP席の導入なども難しそうな印象を受けていました。
※元々の背景はこちらの記事が詳しいです。ありがとうございます。
そして、発表されたのが、A東京が中心になって進めているTOYOTA ARENA TOKYOを共同使用させてもらうという異例の発表。
他クラブとの共同使用というのはこれまで他クラブでは聞いたことがなく、大きな動揺が走った。
しかしながら、Bリーグとしても公式に承認されているとのことで、これで3つめの基準のクリアに目処がたったと言えるだろう。
ここまでが内容になります!
以下は私自身の私見や感想が含まれているので、その点ご考慮頂ければ幸いです。
感想
説明プロセスを少し端折りすぎているような印象
今回、そういう場ではあったものの、ホームの移転とアリーナの共同使用を同時に発表するということで大きなニュースになりました。
数年間沈黙をしてきた中で、新社長からいきなりの発表という形となってしまっていることは、長年のファンからすると、もう少し丁寧な説明プロセスが求められても仕方がないことだろうという印象を持ちました。
サンロッカーズ渋谷というクラブが、日立を母体にしていた時代(日立サンロッカーズ)があり、今でも練習場は千葉県の日立の施設を使っている中で、ホームアリーナとしての渋谷、そして地理的な意味だけではない「渋谷」にアイデンティティを持ってきたことを踏まえると、たとえクラブの成長にとって極めて重要なB.PREMIER基準があったとしても、その基準クリア(だけ)のために本拠地を移転します、というのは、ロジックとしては通っていても、心象的にはそんなに簡単に受容されるようなことでは無いかなと思います。
地域と共に発展することがBリーグの1つの柱であり、渋谷と共に直近成長してきたサンロッカーズ渋谷と渋谷の関係や、渋谷に根付くアイデンティティがどのようなものなのか、そういう議論のプロセスがきっとあったと思いますので、その点を説明されると納得感も高いのかなと思いました。
ホームタウン移転はNBAやBリーグでもあることなので、それ自体は1つの意思決定であると思うが、これまでとの継続性・連続性を考慮していくことが、クラブが地域やファンと共に歴史をつくっていく上で大切な姿勢では、と感じました。
以前のサンロッカーズ渋谷の方針をまとめてくれている貴重な記事です↓ ありがとうございます。
B.PREMIERのアリーナ基準は特にサンロッカーズ渋谷にとっては厳しいテーマだったと推察
今回の発表を受けて、共用使用なんてアリなんだ、というのが第一印象で、それはBリーグからの詳細な説明を期待したいところですが、次にハッと気付いたこととしては、渋谷で他アリーナ規模の建設をすることのハードルの高さ(とそれに伴うサンロッカーズ渋谷のフロントの皆さんの大変さ)です。
東京の渋谷は当然土地代が比べ物にならないほど高く、また、既にある代々木体育館、有明コロシアム、東京体育館などとの顧客の食い合いが発生することを踏まえると、年間30試合程度のバスケだけではなくその他の需要をどれだけ取り込めるかも踏まえて冷静に考えなければいけないアリーナ建設。
Bリーグの全てのクラブの本拠地を見渡しても、「渋谷」という名前を掲げているサンロッカーズ渋谷にとっては、最も厳しい検討事項だったといえるでしょう。
大会社であるセガサミーの資本や、都・区の協力があったとしても、アクセスが良い場所で広い土地(噂をされていた、こどもの城周辺地域など)を確保することの難しさなど…頭を抱えてしまうようなテーマかなと思います。
そう考えると、今回の結論や交渉については、当初目指していた形と同じではなかった可能性も高いですが、何とか価値を生み出そうと努力された結果なのかなと思います。この点については、悔しい想い・残念な想い、色々な気持ちがある方もいるかなと思いますが、強調しても誇張ではないように思います。
正直、ある意味、(BリーグのTOPリーグであるB.PREMIERに入る)「基準
クリア」と、サンロッカーズ渋谷が持つ「アイデンティティ」とどちらが重要なんだという疑問も浮かびましたが、B革新と中長期的なバスケットボールでの価値向上のためにアリーナの必要性は認識していて、各アリーナは確かにワクワクする場を提供していると思います(他の記事で素晴らしいアリーナの紹介も書いています)。
Bリーグや日本のバスケ界は、これまでの歴史やリーグ統合、そしてプロ化と劇的な変化を経てきました。それによって競技性・ビジネス性ともに向上をして新たな活力を日本全体、アジアに生み出していると思います。
そしてその成長を更に大きくするためのリーグ革新と基準。この辺りの戦略性もとても納得度が高く、それが持続的なリーグやクラブのために重要なことにも共感しています。
ただし、その中で各クラブの葛藤と努力があり、ビジネス面はもちろん大事なものの、エンターテイメント面では多くのファンの心にも寄り添う必要があり、その発せられる言語や論理(ビジネス上の話とエンターテイメントとしての表現)が若干違うところを、フロントの皆さんは往復しないといけない難しさもあるのだと思います。
そういった狭間のセンシティブな状況で崩壊せずに進んでいくことはとても大変なことと思いますが、大局的にみたときにはポジティブな方向に進んでいると思いますし、応援と期待をもって、今後も見ていきたいなと思いました。
参考リンク
ORICONさん、アリーナの部分について囲み取材の動画をアップしてくださり、ありがとうごさいます
ちなみに、島田チェアマンからも、今回のアリーナについては奇跡的な出来事でありリーグとしても承認していることが速報的に発表されています。また、詳細はリーグとしても説明されるとのことで楽しみにしたいと思います(恐らく、個別の事例についてというよりは、B.PREMIERのアリーナ基準の解釈について、という形になるかなと予想しています)。
※速報でありますので誤字脱字や表現が稚拙な部分が含まれている可能性がありますがご容赦ください…