第2回ジェンダー単元復習@LAP9期

【講義を受けて】

 ノーベル経済学賞をとられたゴールディン氏の研究内容に関するお話がとても興味深かった。男女間賃金格差の歴史的な変化の中で、低容量ピルの普及が女性の社会進出が進むきっかけの一つとなったということが、自分の中では特に大きな衝撃を受けた。というのも、これまで男女間賃金格差の問題を考えるときには、社会制度や個人個人がもつバイアスを原因として考えることが多かったからである。チームの予習の中でも、主にはそのような視点から議論になることがほとんどであった。そのため、低容量ピルの普及のような医療の観点(もしくは身体の違いそのものへの観点)が抜け落ちていたことに今回気づかされた。低容量ピルの登場により、計画的な妊娠が可能になった結果、女性の社会進出が進んだという事実は取りこぼしてはいけない視点であると感じた。育休制度の充実や取りやすい環境の整備は言わずもがな必須であるが、そもそもなぜ女性が就職してもすぐに妊娠・出産で辞めると想定されてきたのか、その想定の根拠には何があったのかを知っていなければ、対策は空虚なものになる。当たり前のことではあるが、広い視点で課題を捉えることの重要さに改めて気づくことができた。

【チームの発表を聞いて】

 それぞれのチームの発表を聞いているだけでも、男女間賃金格差の捉え方に様々な違いがあることがわかってとても面白かった。特に性別に関することについては誰もが当事者であるため、それぞれがおかれている状況によって視点が異なり、各チームや各チーム内でのバリエーションを感じることができたのが興味深かった。
 その中で、個人的に印象深いのが「つくりあげられた格差」という話題である。男女間には様々な違いがあるが、ある部分においては格差という評価軸を持ち込んでしまうことでそれが優劣になってしまうという「つくりあげられた格差」という視点は、面白くもあり、それと同時に注意が必要なものでもあるように感じられた。当該チームが出した例ではないが、女性の上位職への昇進意欲が少ないというテーマにおいては、例えばそれぞれ個人の理由で上位職へ手をあげないのを、男性に比べて女性が割合が高いことで「男女間格差だ」とされるのは「つくられた格差だ」と言うこともできるが、そもそも「手を上げない」ということが本当に個人の意思ではなく、様々な社会要因でそう「思わされている」のではないかというのも必要な視点である。私たちが「自分の意思」と思っているものも、意外にも実はいろいろな社会的な要因の中で形成されたものにすぎなかったりする。「つくられた格差」という視点は、同時に「どうして格差のように見えるのか」ということをセットで考えなければならないのではないだろうか。

【全体を通して】

 今回の単元を通して一番に思ったのが、初めて受講してから3年しか立っていないのに、こんなに自分事になるとは思わなかった!ということだ。当時は大学4年生だったが、正直働くということや、将来妊娠・出産を控えている性別としての自覚はかなり薄かった。しかし実際に働きはじめ、また身の回りに妊娠・出産経験者が現われ、自分もその適齢期に突入して初めてこの格差がどうしようもないほど自分の問題になった。どうして自分のキャリアを考えるにあたって、数年のブランクを前提としなければならないのか、タイミングやタイムリミットにも怯えなければならないのか。今はありがたいことに正社員としての職についているが、ライフイベントを期に不安定な職種にならざるを得ないかもしれない。格差への穴はそこかしこにある。私はやっと、この問題のスタート地点に立ったような気がした。今回改めてこの単元を受けることができて意味を考えていきたいと思った。

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