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素直さだけでインターハイ2連覇したが、実業団では全く通用しなかった話

素直に言われたことをやる。それだけだった。


高校1年生の時に2軍からインターハイ優勝した私。(詳細はこちら)2連覇にむけて練習はさらに厳しくなりました。

真夏の12時に冬用ウォームアップを着て5㎞ランニング。その後すぐに暖房をつけた体育館に移動し、至近距離から打たれたボールを連続でランニングボレーしにいく練習をしていました。その努力が実を結び、目標だったインターハイ2連覇を果たしました。

それからは追われる立場に。ジュニアナショナルチームにも選出され、気がつけば全国に名が知れ渡っていました。

でも、それはあくまで高校までの話です。


「あんたのプレー、おもしろくない」


インターハイ2連覇の実績を引っ提げて入社した実業団・ヨネックス。当時のチーム状況は団体戦を組める6人ギリギリ。高卒1年目といえど全試合にエントリーしていました。実業団という未知の世界に飛び込んだ当時の私は、新たな挑戦にワクワクした気持ちの方が上回っていたように思います。

ところが練習中に監督から言われたのは思いがけない言葉でした。

「型にはまりすぎていておもしろくない。個性がない。」

それまで言われたことを素直に、忠実に実行するだけで通用してきた私にとって、この指摘はまるで別の言語を聞いているようでした。

「個性」って?
型通りするだけじゃだめ?

ヨネックスの先輩たちは「自分のスタイル」を持っている上、相手を分析する力に長けている人ばかり。型に囚われすぎた私のプレースタイルは3か月もすれば完全に見抜かれていました。簡単に動きを読まれ、全くラリーに絡めませんでした。しかも高校時代より練習時間が一気に減り、自分のペースを完全に見失っていました。そして出場した大会で1回戦で負けるという苦杯をなめることに。学生時代の自信も完全に崩れ去りました。


「思い切って自分を変えないと、ここから上にはいけない」


転機は監督からの一言でした。練習後の帰り道、タクシーの中で監督がこう言ったのです。

「あんたの素直さは魅力やけど、言われたことをただやるだけじゃプロの世界では戦えない。『なんでその練習をするのか』『自分だったらどう活かせるのか』を考えることが大事やで」

その瞬間、私の中で何かが変わりました。


考える練習が、私を変えた


まず私は、今までが考えていたつもりだったけど、やらされていたのだと受け止めました。そしてすべての練習において「考える」ようにしました。たとえば、「サーブのグリップを握り変える」とアドバイスを受けたら、これをすることでどんなメリットがあるかを考えました。出来ないことがあったら、それを補うためにどんな技術や筋力が必要かを調べ、そのトレーニングを取り入れたのです。

結果は劇的でした。1回戦負けをした私が、半年後には日本代表のアジア選手権ダブルス優勝の相手に勝つことができたのです。


「考える素直さ」が最強の武器


こうして、私はただの「素直」ではなく「考える素直さ」を身につけました。このメソッドは、シンプルですが奥が深いものでした。

  1. 指示を受けたら、まずやってみる+理由を考える
    勇気を出してまずは試す。その後に「なぜそれをするのか」「どんな効果があるのか」を自分で分析する。

  2. あえてその逆もやってみる
    頭で考えてもわからなかったらあえて逆をする。体験すると納得できることもある。

  3. 自分のスタイルに落とし込む
    結果を基に自分のプレースタイル・戦術に組み込む。

このメソッドが自分の中に定着してくると、試合でも冷静に状況分析ができるようになり、競っても負けにくくなったのです。


次は、あなたの番です


「素直さ」だけで通用する場所もあれば、そこから一歩踏み出さなければ通用しない場所もあります。でも、その一歩を踏み出せば、きっと新しい可能性が見えてくるはずです。

さあ、次はあなたの番です。今日の練習で「なんでこれをするんだろう?」と考えるところから始めてみませんか?
未来のあなたを変える一歩をここから踏み出しましょう◎


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