やたら多様性に溢れた2020年地獄のカエルアルバムベスト3
2020年はカエルモチーフのノイズグラインドやらサイバーグラインドが熱かった。なぜそんなことが起こったかは謎であるが、とにかくこの熱さを残すべきだということで私的2020年ベストは、Bandcampで発見したカエルスカムミュージックで行こうと思う。
Phyllomedusa『Frog And Toad Are Friends (read by big frog)』
まずはカエルノイズを語るには欠かせないメリーランド州の老舗バンドPhyllomedusa『Frog And Toad Are Friends (read by big frog)』から。
Phyllomedusaは2006年から活動をしており、メンバーはByg Phrawg(Big Frog)ただひとり。リリースされたアルバムの枚数は300を超え、現在でも懲りずにリリースを続けている。
Big Frogは言わずと知れたポルノグラインドバンドOmphalectoicxanthopsiaの元メンバーだったのだが、ポルノに嫌気がさしてカエルノイズの世界に飛び込む。喘ぎ声がカエルの鳴き声に変わっただけで、音楽性の変化は特にない。
現在はMacrophagous Gilled Larvae、Toad Birth、Amphibians PerformingSurgeryで活動しており、ノイズでガザガザした音の中にカエルの鳴き声がするバンドがあれば基本的にBig Frogが参加しているバンドであると認識しても良い。
やたら弦の多いギターと良くわからない電子ドラム、無数のエフェクターを使って演奏。また「Mimicry(擬態)」として多くのバンドのカバーをリリースしており、Electric Wizard、Type O Negative、Silencer、Last Days Of Humanityなど、やたらジャンルの幅に富んだアルバムをリリースし、底知れぬ器用さを発揮している。
またInstagramではちょっとした有名人。きわどい下着姿の自撮り、カエル、演奏動画を観ることができる。
そんなPhyllomedusaの今年一番のアルバムは『Frog And Toad Are Friends (read by big frog)』だろう。
内容は『Frog And Toad Are Friends(ふたりはともだち)』という世界的に有名な絵本の読み聞かせ。本当に何の変哲もない読み聞かせで、どっかの子供えいご教室とかで流しても全く違和感のない、優しい声を聴くことができる。
執筆時点でたった4人しかいないサポーターのコメントのひとつに「Your voice is most certainly soothing.」というものがあり、私も凄くそう思う。Big Frog曰く、寝る前に読む絵本だったらしく、「WartFest」という詳細不明のハロウィンの時期周辺で行われるカエル崇拝イベント用に収録したらしい。
job4abrokeback / Zymoplastic Frogs『Brokeblastic Frogz!』
次はjob4abrokeback / Zymoplastic Frogs『Brokeblastic Frogz!』を紹介する。
この記事で特筆するのは2020年に突如Bandcampに現れたZymoplastic Frogs。もちろんカエルだからだ。
Zymoplastic FrogsはGORENOISE SUCKSというマジで体調が悪くなってくるノイズレーベル周辺の人物が作ったユニット。詳細は不明。
肝心な音楽性はサブベースがばっこり響くtrap、ホラーコアのインストと言った具合。ヒップホップあたりはあまり詳しくないので具体的に表現することは難しいが、trap特有の高速ハイハットとカエルのコロコロっていう軽めの高速鳴き声が重なって、技ありな仕上げとなっている。
他のアルバムではスクリューした音声とか使ってて、なんかデカいカエルっぽくてカッコよく、GORENOISE SUCKS周辺にしてはまとまった音楽を生み出すユニットだと言えよう。
Zymoplastic Frogsは基本的に他のバンドやユニットと共にアルバムをリリースするのだが、相手方がカエル大喜利を発揮することがあるので面白い。
job4abrokebackはCrazy Frog『Axel F』(幼少期のビルゲイツのやつ)を思いっきりぶっこ抜いた楽曲を制作。さすがにこれは誰かに怒られて欲しい。
Amphibian『The Toxic Frog Room』
最後に紹介するアルバムはAmphibian『The Toxic Frog Room』だ。
こちらのアルバムはボケなしの大傑作。Amphibianも2020年に突如Bandcampに現れたバンド。KOTS系列の打ち込みサイバー、ポルノグラインドで、どちらかというとKOTSというよりはS.M.E.SやSpermswampに近い感じ。
映画サンプリングから始まり、常識的でありながら凶悪なブラストビート、リフはこの系列のバンドにしてはハッキリと流れ、まさにカエルと言えるガテラルボイスが鳴り響く。急で無理のあるS.M.E.Sっぽい転調も本家よりスマートにこなしている。
一曲一曲に明らかな違いがあり(そんなのアルバムとして当たり前なのだが…)ここら辺の曲をあまり聴いたことのない人にも入門としてオススメすることができる。10曲目とか完全にカエル版Napalm Deathだし。
他アルバムにはSpermswampのカバーが収録されているので、意識的に要素を取り込んでいることは明か。今年はAbnormal Carnivalの新譜もこの系列の中で段違いに完成度が高く、カエル以外からも熱さが伝わってくる。
フィジカルを感じるドラムとリフにKOTS系列のバカが考えた電子音やサンプリングを織り交ぜることによって、ありそうでなかったグルーブを感じる。めちゃくちゃ大袈裟に、分かりやすく説明するならKOTSとDigital Hardcore Recordingsとカエルのいい所取りってところだろうか。
まとめ
2020年もいっぱいBandcampで曲を聴きました。ずっと聴いていると「やたらカエルが多いな」みたいな発見ができるのでおススメです。
ここで紹介したバンドは基本的にサポーターが数人、もしくは私だけという場合が多いです。ぜひ気に行ったらサポーターになってあげてください。
おまけ
筆者が小学生の時に使っていた遊戯王のデッキテーマは「カエル」でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?