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大家族、不測の事態をどう乗りきるか~介護問題にエフェクチュエーションを生かす~
最近、書評noteがつづいてましたが、たまには日常の話も少々。
地方のいわゆるニュータウンエリアで、
16歳から97歳まで二世帯住宅(4世代)で7人が同居する今の世の中では大家族なわが家。
不測の事態がたまに発生します。
今回は97歳のおばあちゃんの転倒と圧迫骨折。
少し足元はおぼつかなくなっていたものの、
入院したのは20年近く前、通院もほぼなく、
平和な日常生活を送っていましたが、
救急車で運ばれ、緊急入院となりました。
ひとまず、入院するところまでは、
ほぼ考えることなく進んでいきますが、
その後はすぐに、「さて、今後どうするか。」
を考えるフェーズに入ります。
で、すぐに思い浮かんだこの専門誌。
『看護展望 2024年5月号(メヂカルフレンド社)』
すぐに本棚から引っ張り出して読み返しました。
医療関係者ではないので普段なら手にすることはない雑誌ですが、たまたま執筆者がお知り合いだったこともあり、購入して読んでいたのでした。
おばあちゃんよりは若いとはいえ、
高齢の義父母にとって、
緊急入院で動揺している上に、
自分たちだけで病院からの説明を聞いて、
それを理解した上で、
自分たちがどうしたいか、
どうしてあげたいか、
おばあちゃんが何を望むのか、
少し先のことまで見据えて短期間で判断するのは、なかなか難易度が高いもの。
いわゆる嫁の立場の私ができることは、
現状の整理と、今後のおおよその展開予測と
新たに必要な情報を集める、それらをもとに
義父母の決定をサポートすること。
そして家族全体の思いを取りまとめること。
そこで、エフェクチュエーションの概念を参考にまずは、手中の鳥を書き出してみました。
・相談できる介護のプロがいる
・すでに同じ状況を体験している人を知っている
・将来的に在宅でのターミナルケアや在宅での見取りが可能であり、それを実践している人を知っている
・すでに介護認定を受けていて、長く担当してくれているケアマネさんがいる
・20年近く同居しているので、おばあちゃんの性格や価値観などをある程度予想できる
・同様に同居の家族の性格や価値観などある程度わかっている
・入院設備のある整形外科で看護師をしている友達がいる
・私自身にコーチング的傾聴や対話ファシリの経験がある
・専門家ではないか、医療やケアについて少しだけ学んでいる
・同居している以外にもサポートをお願いできる家族がいる
こんな感じでしょうか。
そこでまずやったことは、介護のプロに相談して、現状の整理と、今後どういった選択をする必要があるか、その際何を大切にして考える必要があるのか、具体的にはどんな準備をしておけば良いかなどを教えてもらいました。
それらの情報を下に、まずは義母(おばあちゃんの娘)、次に義父と話をして、それぞれの考えや思いを聞いてから、義父母、私の3人で家族会議。
とりまとめてから、帰宅した夫も交えて4人で家族会議をするところまで入院した当日にやりました。
ここがスピーディーにできたのは、20年近く同居しているので、それぞれの性格や価値観、考え方などをある程度把握できているからこそ。
この時点では、体を固定するコルセットができたら、自宅に帰して自宅介護をと考えていました。
その選択が許容可能な損失の範囲だったので。
おばあちゃんは、すでに介護認定を受けていて、長くお世話になっているケアマネさんがいるので、翌朝さっそく相談の電話をいれました。
その時点でケアマネさんはすでに入院している病院とはコンタクトを一度とってくれていましたが、こちらの意向を伝えたところ、
直接病院に話をしに行ってくれました。
その後、我が家に訪問いただいて、病院側の意向(家に帰すなんてありえないという強めのご意見)とおばあちゃんの今の病状、状態などを説明していただき、ケアマネさんの意見もお聞きして、最終的には家に戻すことを目指すが、現時点では、いったんリハビリ病院に転院して、回復具合をみて、次を考えるという方向に変更しました。
最初の希望を、病院側からは全否定されて、
まあ、レモンといえばレモンでしたが、
思いだけで乗り切れないのも事実ですし、
まずはこちらの希望をストレートに伝えたことで、整形外科としての見解、ケアマネさんの見解が新たな判断の材料となり、
家族としての思いも持ち続けながら、
冷静に次の判断ができたという意味では、
レモネードにできたのではないかと思います。
なにより、ケアマネさんが、おばあちゃんの性格や考え方をよくわかってくれているおかげで、家族の考えをきちんと取りまとめて伝えれば、どういう方向で進めていくのが良いか、起こり得るリスクや懸念など、的確にアドバイスをくれ、提案してくれたので助かりました。
たまたま入院しているところは、病室面会ができない病院で、予約すれば1回に15分タブレット越しに面会できるシステム。
入院した次の日は、かなり痛みがあり顔色を確認できるくらいで本人の意思を確認できる状態でもなかったようで、
まだ当事者であるおばあちゃんの意見を聴くところがクリアできていませんが、家族と医療ケア従事者で一緒にパートナーとして問題に取り組むことができているので、
今後も同様にクレイジーキルトの原則を使っていこうと思います。
今回、時間を置かずにすぐに家族会議をしたおかげで、一番大切な最上位目標は共有できたように思います。
「おばあちゃんの意思を最大限に尊重したうえで、おばあちゃんを家に帰して、自宅で介護、将来的には在宅看取りを目指す。
ただし、何が起こるかは予想不可能なので、問題が起こったらそのたびに方向転換も含めて考えなおす」
というのが、今のところの家族での同意事項。
そのために、どの段階でどういった判断が必要かがおおよそ見えていれば、適切に手持ちのリソースを活かせる。
何でもかんでもなるようになるではなく、
ある程度の計画性をもって、鳥の目で全体を把握することも忘れない。
在宅での介護や看取りを目指すとはいえ、もちろん、医療や施設にお願いする選択も捨てない。
頑なに家に帰すことをまげないのではなく、
許容範囲な損失の範囲を超えそうになれば、
必要な支援は受ける柔軟性は持っておくこと。
そのあたりも、ことあるごとに家族で確認していきたいと思います。
嫁の立場である私としては、
飛行機のパイロット的な役割を担うのがよさそうだなと思っています。
とにかく焦らず今手持ちのリソースを最大限活用してできることからやっていく。
やってみてうまくいかなかったら、ほかの方法を考える。
目の前の結果にこだわりすぎず、長期的な視点を持つ。
変化する要因はその時になるまでわからないのだから、その時考えればいいという、楽観性を持つ。
こうしたいという思いにこだわり過ぎず、柔軟に考える。
このあたりは、クランボルツの計画的偶然性理論なんかも参考になるかもしれないですね。
偶然読んでいた、看護展望の記事でしたが、
ほんとに、どんな学びもムダなものはないと実感した今回でした。