なぜ女オタクのメガネは赤いのか?
はじめに
眼鏡は着用するだけで誰でも手軽に視力を矯正することができる器具である。寒暖差の影響を受けづらく、容易に着脱可能な、多くの国や地域で用いられている、身近な存在である。
さて、赤いメガネは猫耳ニーハイや推し色数珠などと同様に、平成の女オタクを象徴するアイテムの一つである。たとえばフリー素材イラストサイト「いらすとや」のにおいても、「腐女子」は赤いメガネをかけている。
無論、赤メガネの着用は女性オタクに限ったことではない。近年では男性芸人や、オタクではない単なる壮年女性の存在も目立つようになってきてはいる。加えて、視力のあるオタクや、コンタクトレンズを着用するオタクも多い。だが、ここでは女オタクと赤メガネに焦点を当てて「なぜ女オタクは赤いメガネをかけるのか?」について論じたい。
「女オタク」という語について、出生時に生物学上の「女」であり、腐女子に限定せず夢女子なども含めた二次元あるいは三次元のコンテンツ等に没頭する、いわゆる「オタク」である者をさす。現在の性自認は問わない。「赤メガネ」という語については、1対2枚のレンズと、赤いプラスチック等でできたフレームを持つ視力矯正器具をさす。オレンジ色や紫がかった色などを含む場合もある。リム、公式とメガネメーカーとのコラボ、装飾の有無は問わない。
なお、筆者自身もまたファッションに関心が高いわけではなく、他人の服装に文句をつけられるほどの資格はない。どちらかというとしかるべきご指摘をいただきたいくらいの立場である。
本稿では、赤メガネが女オタクの象徴の一つとして機能する間に、赤メガネと女オタクとの関係性を十分に検討することが重要と考える。
第1章 可能な仮説
なぜ女オタクは赤メガネをかけるのか、考えられるものを列挙する。互いに関連・重複・矛盾する項目もあるが、十分な多様性を保つため差し置く。おまえらが大好きな多様性だぞ。
[1]惰性
まず、女オタクがメガネをかける理由の一つとして、「惰性」が考えられる。一般的にコンタクトレンズを着用するためには眼科の受診や処方箋が必要である。このことはファッションにかかる時間的体力的金銭的コストを可能な限り抑えようとする女オタクにとって、大きなハードルとなるのではないだろうか。また、「どうせなら視力が高まるだけではなく、瞳がより大きく見えるカラーコンタクトを選択する」「目に異物を入れるのが怖い」「安価な海外性のものはどのような状況で作られているか心配だし、メーカー、使用者双方の衛生面に不安がある」などの理由もあるだろう。趣味により多くのリソースを割きたいと考えるオタクにとって、視力を矯正するツールとして、手軽なメガネを選択する傾向が強いのではないだろうか。赤色を選択する理由については[3][4][5]等を参照されたい。
なお私見では、赤メガネは最も容易に女性の美しさを損なわせることができるアイテムだと考える。対象の美醜に関わらず、一瞬で芋臭い雰囲気を与えることができる。メガネを外してコンタクトにすることで、逆作画崩壊が起こって美人になるという昔のアニメや少女漫画にありがちな表現も、あながち嘘ではないのかもしれない。
惰性にもとづいて赤メガネを着用する女オタクには、「怠惰も個性の一つとして尊重されるべきだ」という強気で図々しく狡猾で傲慢でおこがましく横柄な態度をとる個体が一定数現れる。「赤メガネをかけておいて、どうして一丁前に人間扱いしてもらえると思っているのか」については様々な議論がなされているが、まだ通説は確立していない。
[2]女オタクなりのおしゃれ
[1]とは逆に、当人はおしゃれだと思って赤メガネを着用する場合が考えられる。女オタクの服飾についての知識や感性は、一般人のそれらと比べて過度に個性的、復古主義的な傾向がある。また、極端に地味なものを愛好し、自身が華美な服を身に纏うことには抵抗がある個体も多い。羞恥心と相談の上、現在の自身に可能な精一杯のおしゃれのつもりで赤眼鏡を着用する場合がある。衛生面や気候、状況などとの適合性を考えた時にあまりにも不自然な衣類ばかりを選択してしまう場合は、発達障害などの影響が考えられる。医療機関への受診をお勧めしたい。
[3]化粧・整形の代わり
ここでは様々なカラーバリエーションの中から、あえて女オタクが「赤」を選択する理由について考えたい。一般的な感性の女性には俄には信じ難いことだが、化粧や整形の代わりに赤いメガネを着用する女オタクがいる可能性にも言及しておきたい。
[1]でも触れたように、女オタクは「推し」に金銭や時間などのリソースを割きたがる。オタクは自身の美容への関心の薄さから、当然化粧も最低限にとどめておこうとする。この時、モノトーンや金属製のフレームではなく、手軽に血色を良く見せるために赤いメガネを選択するのである。オタクは日の当たる屋外よりも薄暗く黴臭く自室や劇場、カードショップなどの室内を好む傾向が強い。そのため、一層不健康さに拍車がかかり、肌は青白く、体調が悪いように見えてしまう。そこで一定数の女オタクは、手軽に色彩効果を高めるために赤いメガネを着用するのである。
化粧をすればいいのではないか?といいたいところだが、彼女らがおとなしく化粧をしない理由についても触れておこう。面倒という[1]の理由に加え、不幸にも思想を拗らせてしまった女オタクは、化粧をビッチのもの、自己の生得的な容姿を否定するもの、すなわち悪とみなすことがある。「肌が弱いから」「病気だから」という身体的な理由から化粧をしない、女オタクも存在する。その真偽は定かではない。私見では99%が嘘だと思う。
また、極度の近眼などのために分厚いレンズを用いたメガネには、顔の輪郭を歪ませる錯視の効果がある。女オタクはこれを利用し、頬周りの輪郭を本来とは違った形で見せようとしているのである。このように実際の姿と異なる姿を見せることで、「世を偲ぶ仮の姿」の演出や、さらには「誰も知らない本当のアテクシ」像の創出もはかっているのである。[6]も参照のこと。
[4]特定のキャラクターへの憧れ・なりきり・自己投影
ここでは、赤メガネを着用するキャラクターに憧れて、自身も着用してみた、というケースについて言及したい。代表的な赤メガネキャラクターとして真希波・マリ・イラストリアス(ヱヴァンゲリオン)、うちはサラダ(NARUTO)、栗山未来(境界の彼方)、グレル・サトクリフ(黒執事)、ジャンヌ(ベヨネッタ)、暁美ほむら(魔法少女まどかマギカ)、赤井めが姉ぇ(プリティーシリーズ)、竜ヶ崎怜(Free!)、ビワハヤヒデ(ウマ娘プリティーダービー)、トランセンド(同前)、猿飛あやめ(銀魂)、音無春奈(イナズマイレブン)、前川みく(アイドルマスターシンデレラガールズ)、上条春菜(同前)、桑山千雪(アイドルマスターシャイニーカラーズ)、真鍋和(けいおん!)、小泉花陽(ラブライブ!)等などが挙げられる。こうしたキャラクターの容姿、行動、性格、集団内でのポジションなどに憧れ、「自分もそのようになりたい」という思いから赤いメガネを着用する可能性が検討できる。[7]も参照されたい。
余談だが、筆者は自己投影型オタクや現実に虚構を持ち込むクソ害悪オタクは滅ぶべきだと考える。黒歴史や「痛痛しい」思い出にとどまるものならまだ微笑ましく許すこともできよう。しかし犯罪行為等に手を染めた時に漫画やアニメなど虚構のコンテンツ・キャラクターの影響を持ち出す奴は全員死んだ方がいいと思う。犯罪をする際に、創作物の行動を参考にするなよ。どうしてその犯罪行為を行うのか自分の言葉で説明できるようにしておいてほしい。どっちかというとそっちが聞きたいので。性犯罪者に影響を与えてしまったがためにめっきり穏便なものしか書かなくなった漫画家さんや、迷惑行為意味不明バカキッズの自己投影ごっこのおもちゃにされたせいで一人のアンチを生むことになった某キャラクター(和解済)も、心中お察しいたします。
[5]自身の特異性の主張
女オタクは、集団の中で自己主張するための一つの演出として、赤メガネを着用するのではないか。「他人とは異なる自分」を確立するための手段にするのだ。オタク集団のメガネ率は、一般的な集団と比べても如実に高い。同様に逆張りガイジ率も高い。そこで、落ち着いたデザインを選ぶことも可能だが、友達集団の中でも変わり者、個性的、自分の主張は決して曲げない頑固者としての意志の表現として赤いメガネを選択すると考えられる。
もはや個性というよりも特異性、異常性と表現すべき事例も多い。
[6]現実からの隔絶・俯瞰
ここでは[5]とは反対に、「隠す」機能に焦点を当てた。
ここではメガネのフレームではなく、レンズの機能に着目したい。なろうの主人公に、もみあげ・前髪が長い・隠れ目が多い理由は、顔を隠すためだという説がある。この説はもはや通説となりつつあるが、フードやヘッドホンなどのオタクファッションに散見されるアイテムも、顔を隠そうとする欲求の現れとも言える。
これと同様に、女オタクがレンズを1枚通して現実社会を眺めることには、現実社会から一歩距離を置き、冷静に物事を俯瞰するという意味があるのではないだろうか。
オタクにとって現実世界は刺激が強すぎるのである。オタクは男女問わず過度に感傷的で刺激に弱い者が多い。というよりは、陽キャがそうであるように現実世界と自身の調和をとることに長けた者が相対的に少ない傾向にある。そして、やれ自身はマイノリティでござい被害者でございと大声を出し、ヒステリックとも言える反応を示したがる。
メガネのレンズは、オタクが相対的客観的存在で、一歩離れた場所から物事を観照する現実世界の傍観者(笑)であるかのようなオタクに錯覚をもたらす。もちろん利点だけではないことには留意が必要である。調子に乗ったオタクが冷笑系を気取り、過度にアイロニカルになってしまうなどの副作用も報告されている。
とはいえ、女オタクの現実社会に対する過剰反応を防ぐためにも、レンズは有効である。女オタクは繊細ヤクザとの兼任も多いのだ。冷笑的態度の構築にあたって、眼窩からも現実社会からも一歩距離を取るという、レンズが果たす役割は大きいといえる。眼球にぴったりと付着する上に、気軽な着脱が難しいコンタクトレンズでは、オタクを現実社会から隔離させる効果が薄いのではないだろうか。
[7]推しの部分的な再現
推しの部分的な再現のために女オタクが赤メガネに手を染めることも考えられる。[7]のためだけに赤メガネを着用するオタクはそう多くはないと考えられるが、実際に存在した場合、彼女はとんでもなくめんどくさい人物であることは想像に難くない。まさに山椒は小粒でもなんとやらだ。
一般的に推しを想起させる色やデザインのネイルやアイテムなどを身につけることは精神衛生効果が高いとされている。次元の壁を乗り越えて、推しという虚構を現実に持ち込むことで、精神的安定を得ようとするのだ。軽微なものであれば微笑ましく見過ごされることも多いが、押し付けがましい場合には嫌厭されることも多い。いずれにせよ服装や持ち物になんらかの「元ネタ」や「設定」を仕込み始めたら、終わりが近いと思った方がよい。
平成の女オタクの化け物が生んだ悲しき因習「推し色数珠(ブレスレット)」については稿を改めたい。
小括
女オタクによって頻繁に用いられる「一般人に擬態」という表現が示すように、彼女らは「本来の自分がどこか(インターネット空間や同人誌即売会など同類のみで構成された場)にあり、かりそめの現実社会(学校・仕事等)に適応するために現在の自分は変装し、仮の姿を取っている」と考えている。歪んだ本地垂迹である。現代が生んだ悲劇である。
ここまでを小括すると、女オタクには歪んだ変身願望と虚実の混同があると考えられる。また「何者かになりたい、二次元という別世界に行きたい」と「自分らしさを追求し、自分というキャラクターを構築したい」といういう二つの欲望の間で揺れ動く個体もあるように思われる。
第2章 赤メガネと女オタクに関する先行研究
角が立つので割愛。
第3章 検証
聞き取り調査はおろか、そもそもコミュニケーションが可能な状態にある被験者がないため割愛。赤メガネの女オタクを調査するには、猟銃を扱う免許がいるから…。
課題と展望
十分なサンプルの不足から、本稿では仮説の提示のみにとどまるが、改めて女オタクには歪んだ変身願望と虚実の混同がある可能性を示唆して筆を置きたい。
肉体や自我が十分に形成されきった後にも関わらず、赤メガネの着用を続けることによって弊害が生み出されることについては言を俟たない。老若男女問わず、赤メガネを着用する層に口うるさい異常者が現れやすいことから、「女オタクが赤メガネをかけるというよりもむしろ、人を異常者に変える性質を持った赤メガネという寄生虫か何かが女オタクに寄生すると考えた方がよい」という指摘もなされている。赤いメガネと自身の作り出した黒歴史への向き合い方は各人の判断による。しかしいずれにせよ、目下これらに苦しめられている人々が一刻も早く快癒することを願うばかりである。
なお本稿の執筆にあたり、筆者は2020年ごろ眼鏡市場で購入したアングラクソバカゴミオタクがかけてそうなでかいレンズの丸眼鏡を着用した。