2020年9月場所感想~十両と幕内、ほぼ差がないのでは?~
こんにちは。
前場所は途中で展望とか書いてたのに今回は感想だけ…
まあ、忙しかったってことで
さて、9月場所終わりましたね。
正代関、優勝おめでとうございます。
実は東大相撲部の先輩が正代と大会で当たったことがあり(当然瞬殺でしたが)、陰ながら応援している力士の一人です。
1月場所も13勝で準優勝ですし、何か一皮むけて覚醒した感じがありますよね。来場所はついに大関、頑張ってほしいです。
今場所のもう一人の主役は翔猿でしょう。
日大出身、新進気鋭の若手です。小柄でイケメンでコメントもうまいので、今後女性人気がかなり高まるんじゃないかと思います。
しかし、今回で一つ確信めいた疑念が頭を離れません。
それが、
十両と幕内、今あんま差なくね?
ってことです。
翔猿は新入幕。今までは十両でした。
翔猿の十両での成績を見てみましょう。
新十両の場所は負け越して幕下に落ちてしまいましたが、もう一度十両に返り咲いて、そこから実に14場所、2年半も十両にいました。大勝ちも大負けもなく、じわじわと番付をあげて幕内に滑り込んだ、というタイプの成績変遷です。
実際十両での通算成績は117勝108敗。勝率.520ですから目立ったものではありません。
そして今場所新入幕、11勝4敗、これは関取になってから最高です。
十両で停滞し、大勝ちも大負けもしていなかった力士が幕内で大勝ち…
翔猿だけではありません。
徳勝龍の涙の優勝は記憶に新しい人が多いでしょう。彼は返り入幕でした。
彼の成績変遷を見てみましょう。
こちらも翔猿同様、十両でとくに目立った成績は残していません。
一回十両優勝をしてはいますが、その前後の場所は負け越していますし、勝ち越しと負け越しを交互に繰り返し、全体で言えば五分ってところでしょう。
入幕直前の場所も8勝7敗、かなりギリギリの入幕です。
それが幕内に入った途端14勝1敗。
もはや十両のほうが強くね?
そこで、今年の入幕勢(新入幕、返り入幕問わず)の成績を調べてみました。
太字は優勝です。
・初場所
霧馬山…11勝4敗
東龍…7勝8敗
勢…8勝7敗
栃煌山…9勝6敗
魁聖…8勝7敗
德勝龍…14勝1敗
・3月場所
琴ノ若…9勝6敗
錦木…6勝9敗
大奄美…5勝10敗
・7月場所
若隆景…10勝5敗
琴勝峰…8勝7敗
照ノ富士…13勝2敗
・9月場所
翔猿…11勝4敗
豊昇龍…8勝7敗
明生…9勝6敗
旭大星…2勝3敗10休
逸ノ城…8勝7敗
以上をまとめると、17人中
勝ち越し13人、皆勤負け越し3人、休場による負け越し1人、二けた勝利4人、優勝2人
となります。
めっちゃいい成績じゃね?
普通、番付が上がったら当たる相手は強くなります。
特に入幕の場合、十両とばかり当たっていたのが幕内力士ばかりと当たることになるわけで、幕内>十両ならば、これほど入幕力士が勝ち越すのはおかしい。
というわけで結論。
今、幕内と十両の差はかなり少ないどころか、幕内下位より十両のほうがおそらく強いだろう。
白鵬が衰えてから飛びぬけた成績を残す力士がなかなかいませんが、やはりある程度レベルが頭打ちにあって、強さが均質化されているのではないかと思います。
スポーツというのは進展していくほど技術が浸透して強さが均質化されていくものなので、ある意味これは相撲が進化している証なのではないのかなと思います。
要は、今までは力士によって強さが歴然と分かれていて、幕内上位、下位、十両、幕下、という区切りで十分だったものが、今は強さが均質化されて同じ程度強い力士が大量にいることで、十両では大勝ちできないことで流動化が起きず、十両と幕内下位の逆転現象が起きているのかなと思います。