転換点を超えたモダン
(原題: Modern has Passed a Critical Point.)
https://st.reddit.com/r/ModernMagic/comments/kcdknd/modern_has_passed_a_critical_point/
モダンは現在比較的マシな状況にあります。炎上状態にもないですし、突出したTier0デッキもありません。主要なアグロデッキはどれもちゃんとインタラクションするデッキですし、2013年以来初めてTier1に純粋なコントロールデッキが位置を占めています。また、コンボデッキにおける革新は強力な呪文による「酷い」コンボを復権させてしまいましたが、それでも全盛期のストームのような不快な2ターンキルが横行するような状況にもなっていません。したがって、現在のモダンはテンポ-アグロ、赤単、プリズン・ビッグマナ、コンボ・ビッグマナ、青系コントロール、クリーチャーコンボ、デス&タックスなど多様なデッキが上位でしのぎを削る、見事なまでに多様な環境となっています。実際、モダンのTier1とTier2のデッキはほとんどが異なったアーキタイプのものと言える状況です。一方2018年当時では、フォーマットの多様性という言葉は50%を占めるアグロデッキの中での、部族の違いを意味するものでしかありませんでした。
一方で、現在のモダンをかつてのエターナルフォーマットのようだと評する人たちの中には、漠然とした不安を抱えている人もいるでしょう。実際問題、現在のモダンはかつてないほどにまでエターナルに見えてきており、その不安は的を射ているかもしれません。事実、私が思うにモダンはフォーマットの重要な転機を迎えたと思っています。それは、「古典的アグロの死」です。
フォーマットのパワーレベルが上昇して新たなアーキタイプが登場するにつれ、一部の他のアーキタイプはそれに追従できなくなっていきます。例えばレガシーでDelver系がZooを駆逐したように、現在の死の影&災い魔テンポデッキがモダンでのZooを駆逐しようとしているように思えます。Zoo自体はもう長いことモダンのメタゲーム上で衰退し続けて消えるのは時間の問題でしたが、次のアーキタイプはそろそろ完全に過去のものとなろうとしているのではないでしょうか。
・(Zooに代表される)「ビートスティック」系のデッキ
・(親和や硬化した鱗などの)「フェアな」シナジー・アグロ
・(ジャンドやジャンクといった)アグロ的なミッドレンジ
確かに現在これらのアーキタイプは見る影もなくなっていますが、一方でかつてのモダンでは(Tier1での実績をさておいても)アーキタイプの1/4以上を占めていたということには着目すべきでしょう。
こうしたデッキを好む人達は、新しいカードの登場や禁止解除によってかつての栄光を取り戻せると考えているかも知れません。しかしながら客観的にはそうではないと言うべきでしょう。「フェアな」シナジー・アグロは、その基盤をコントロールデッキのごとくズタズタにしてくるテンポデッキが跋扈するメタゲームでは戦うことができません。「ビートスティック」アグロはテンポデッキよりも遅く柔軟性にかけるため、既に時代遅れとなっています。かつてモダンで覇権を握っていたアグロ的ミッドレンジはコントロール的ミッドレンジや純粋なコントロールより優れているとはもはや言い難く、そしてアグロ的ミッドレンジにとっての切り札はこうしたデッキすべてで使われているのです。ジャンドにおけるウーロを、コントロールにおけるそれより有効にするカードがあるでしょうか?
では、なぜこの点が重要なのでしょうか。ある視点で見れば、これらのアーキタプに最後のチャンスを与える価値はあるでしょう。Zoo、ジャンド、親和はかつて「モダン」というフォーマットを定義するほどの最善の選択でしたし、硬化した鱗やジャンク、ザ・ロック、白黒トークン、白単エメリア、そして単色アグロたちはフォーマットの定番でした。
かつてこれらのアーキタイプが凋落したときには、メタゲームに復帰する可能性もありました。しかし現在のパワーレベルを考えると、かつての仲間たちと同じ運命を辿る可能性が高いでしょう。単なるお飾りで、WotCがリーグの結果を歪めたとしてもメタの1%を超えないような存在に、です。
ただし、悲観的なことを言うだけでなく、モダンのメタゲームを構成する―そして構成「すべき」―アーキタイプの議論の俎上にあがるものを変えることには意味があるでしょう。もしモダンのメタゲームがアグロ的ミッドレンジを踏み越えてしまっているのなら、それでフォーマットの特性を定義しようとしたりバロメーターとして考えたり、そしてなによりフォーマットに返り咲くことを期待したりするようなことはやめるべきです。モダンはもはや、ミッドレンジが活躍するような状況ではないように見えます。したがって、例えば(トロンでない)プリズンや(《ウギンの目/Eye of Ugin》エルドラージほどではないにせよ)重量級アグロ、インタラクティブな2枚コンボ、(既に存在はするものの青系デッキから目の敵にされている)テンポ、(エルドラージではない)ストンピィ、部族コンボ、奇跡、Pox、ロームといった、大部分がモダンから遠ざけられてきた「強力な」アーキタイプの制御された統合や拡張について議論するべき時期なのかもしれません。私はアーキタイプの多様性について、以前の(禁止前の)モダンよりも良くなる余地があるとは思っていません。
端的に言うと、ウーロや死の影・災い魔の跋扈するフォーマットに、ジャンドやZoo、親和が戻ってくることはないと思います。したがって、私達はモダンのアーキタイプというものをもう一度考え直す必要があるかもしれません。
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