JFL 第15節 FCティアモ枚方 プレビュー
第14節 FCティアモ枚方 2-3 ソニー仙台FC
まさに2-0のスコアは最も危険なスコアだということがまざまざと思い知らされたこの試合。中盤からの崩しに定評のあるソニーがゴールを決め出すと、恐ろしく強いチームへと変貌することがこの試合では改めて証明された。枚方は4分、52分と右CKから先制点、追加点を上げると、CF9番にボールを収めるサッカーだけではなく、中央やサイドからもよい攻撃をこの試合では60分頃までは見せていた。それまでソニーも中盤を崩すまでは前進できるもののなかなかそこからペナ内へ進入できずにいた。ところが63分、ソニーの左サイドからのクロスにペナ内右側で右WG11番が頭で折り返すと、左IH18番がペナ内へフリーで勢いよく走り込みダイレクトで鮮やかにゴールを決める。この時枚方は、彼の動きに誰も寄せることはできなかった。その後75分には、枚方の中途半端なクリアボールを回収した左SB8番が、遠目から勢いよく左足で打ったミドルシュートがゴールネットを突き刺し、90分+5分には、左WG6番が自陣から一発逆転のロングカウンターを決めきりソニーが逆転勝利を収めた。枚方としては内容が良かっただけに63分以降から3失点を奪われ、ホームで痛すぎる敗戦となってしまった。
第16節 FCティアモ枚方 1-2 HondaFC
前節の奈良戦が延期となり、HondaFC戦へ向けて十分な準備期間があった成果か、試合の序盤では枚方が開幕初戦の第1節HondaFC戦とは比べ物にはならないぐらい、格段に整理された守備を前線から中盤にかけて見せていた。攻撃についてもトランジションで相手より上回り、CF11番まで後方から連動してボールを繋げたり、効果的に最終ラインからロングボールを入れるなどをしてHondaFCの守備を切り崩していた。しかし、前半飲水タイム後の27:25に、HondaFCらしい厚みのある攻撃を見せ始めた直後の28:40に、ボランチ17番のスルーパスをペナ内右後に進入した左SH14番へ渡ったところでファールの判定。PKを14番が決め先制点を上げた。そこから38:34には、直接FKのクリアボールをボランチ7番が追加点となる鮮やかなミドルシュートを決め、枚方を突き放した。後半に入ってからの枚方は、CF11番からCF9番へ交代をして彼をターゲットプレイヤーとして彼へボールを集めることを最優先させたことにより、57:47には、彼の裏への飛び出しから見事にゴールを決めることになった。しかし、そのことによって枚方の攻撃が少し単調なものになってしまい、カウンターなどで度々攻撃を見せるものの、その後、HondaFCからゴールを奪うことができなかった。一方で、HondaFCはよい展開で攻撃を進めていきゴールこそ奪えなかったものの、枚方から勝利を収めて4連勝を上げた。ところで、枚方の81:48に、ファンタジフタこと二川選手が→CF9番へ往年の輝きが詰まったスルーパスを見ることができとても感動した。
第17節 ヴェルスパ大分 0−0 FCティアモ枚方
大分は第15節と第16節を感染症により開催延期となり3節振りの試合となったことが影響していたのか、コンディション不足からくる動き出しの遅さや、個々の連係不足からくる足元へのパス出しが残念ながら多く目立ってしまい、前半に至ってはシュート数が0と、自分達からこの試合を難しいものにしてしまった。一方の枚方は、立ち上がりから攻撃プランは明確で、最終ラインからサイドへ展開してCF11番へ合わせることを繰り返し行っていた。そんななか、39:33には、自陣深くから左CB22番が中央へ大きくロングボールを蹴り上げ、右SH13番がそのボールを上手く回収し、相手に寄せられながらも前へ運んで右サイドへ横パス。自陣から勢いよく走り出した右SB4番がそのパスを受け、CF11番へ絶妙のピンポイントクロスを上げるも、11番が上手くミートできずにボールはゴールラインを割ってしまう。36:42には、ペナ外右の絶好の位置からのFKに、CF11番がゴール前の混戦からタイミングよく抜け出し頭で合わせるもののおしくも枠外へ。40:55には、相手陣内で押し込んだ状況から今度は右SH13番がCF11番へピンポイントクロスを上げるも、またしても11番が頭で決めることができずにボールは枠外へ。再三ゴールを外してしまった11番ではあるが、ペナ内での相手CBとの駆け引きが素晴らしくよい動き出しを見せていた。しかし、後半開始早々の48分に、枚方のボランチ28番が相手に乱暴で一発レッドの判定を受けてしまう。そうなると、枚方の小川監督は、当初のゲームプランを変更せざるを得ない状況となり、守備に重きを置く決断を下す。しかし、大分からの攻勢を1人少なくなったとは感じさせない前線からの寄せの早い対応と強固なブロックにより、なんとか失点0で抑え貴重な勝点+1を獲得した。
第18節 MIOびわこ滋賀 0-1 FCティアモ枚方
第11節新宿戦以来、FW9番と11番をスタメンから外して18番を出場させて挑んできた枚方。試合開始4分に、自陣から左CB22番の蹴り上げたクリアボールをCF18番が収め、そこから左サイド深くへ進入したSH17番が相手1人をかわして入れたマイナスのアーリークロスにST29番がシュートを打つもボールは枠外へ。枚方は幸先のよい立ち上がりを見せる。その後、お互いロングボールの蹴り合いで様子を伺う展開となったが、10分過ぎた辺りから、枚方のGKがロングボールを蹴らずに最終ラインから繋げてビルドアップしていくことで、試合の主導権を徐々に枚方が握る展開へ。そんななか38分には、枚方が最終ラインでボールをゆっくりと回しているところから、ボランチ39番がスイッチを入れるかの如く、右サイド前方へ縦に素早いパスを入れる。そこから再度後方の39番へボールが渡り、逆サイドの左SB16番がペナ内へフリーで進入したところへ、ピンポイントのアーリークロスを上げる。16番はそのボールにタイミングを合わせて左足のアウトサイドでダイレクトシュートを打つも、相手GKとゴールポストに阻まれ惜しくもゴールならず。
すると後半開始直後の48分に、枚方が左サイドのリスタートから左SB16番のスローインで後方の左CB22番へ渡り、ペナ内前右側に相手DFのマークを引っ張り出したCF18番へ浮き球のクロスを上げる。その18番が空けたスペースへボランチ8番が進入し、18番が相手DFに競り勝ち頭でフリーの8番へ折り返すと相手GKも同じく引っ張られ、そのボールを8番が頭で合わせて枚方が決勝点となるゴールを見事に奪った。このゴールは滋賀のDFがボールウォッチャーとなってしまい、シュートを打った8番へ寄せることが誰もできなかったことが原因だった。これは枚方が事前にデザインされたリスタートであり、滋賀が枚方にまんまとしてやられた格好だ。一方の滋賀は、速攻で何度も決定機を作り出すも最後の決定力をまたもや欠いてしまいゴールを奪えずホームで敗戦を喫してしまった。
vs FCティアモ枚方 プレビュー
この4試合を見てみると枚方の基本フォーメーションは比較的オーソドックスでバランスが取れている4-2-3-1或いは4-4-2。第1節HondaFC戦、第2節大分戦では3バックの布陣だったので、どこから4バックへ以降したのかまでは分からないのだが、おそらくこの4バックで奈良クラブ戦では挑んでくると思われる。攻撃時のシステムとしては、ダブルボランチの1人が最終ラインの前方まで降りてフォローすることが多いように感じたが、枚方の基本的な攻撃方法としては、まずCFへボールを集中させて彼がボールを収めてから中盤が押し上がり、そこからサイドへ展開してクロスを上げ再度CFが狙うというような攻撃スタイルを優先させていた。そのため、選手間同士の細かなポジションチェンジなどは当然のことながらよく見られたのだが、ポジショナルプレーなどのような大きなシステムチェンジはこの4試合では特に見当たらなかった。ちなみに、昨年よく見せていた偽SBや偽WGの動きについては、この4試合を見た限りでは私には見つけることができなかった。
守備時のシステムとしても攻撃時と同様にコンパクトな4-4-2の布陣を引いていた。第1節HondaFC戦、第2節大分戦でよく見せていた積極的にハイプレス・ハイラインを仕掛けていき、そこからショートカウンターを狙っていくというよりかは、暑さ対策も兼ねていると思われるが、ミドル・ローゾーンでブロックをがっちりと構えて守備をするような、他のチームと比べても守備に関していえば大きな変わりはないように感じた。とはいっても、タイミングを見計らってプレッシングを仕掛けられる時間帯では、4-2-3-1から前線4人がしっかりと寄せ最終ラインも押し上げてもくる。そこからボールを奪えばショートカウンターでゴールを狙ってくる。そのため、奈良クラブとしては見極めが重要になってくる。
こんな枚方の要注意選手はやはり長身FW2人、187cm/85kgの9番と190cm/77kgの11番だろう。9番については昨年の橿原公苑陸上競技場で後半から出場しているが、11番は初めての対戦となるので対峙するCBとCHは彼のコンタクトプレーには十分に注意が必要だ。どちらかといえば、ボールを収めることに適している9番が、これまでスタメンで起用されることが多いようなので、11番はスーパーサブ的な起用法での交代を予想する。だが、第16節HondaFC戦、第17節大分戦では11番がスタメン起用されているのでどちらが選ばれるのかは分からないし、第18節滋賀戦のように9番が出場しない場合もあるので今の段階では正直なところ誰が出場するのか分からない。
幸いと言えは語弊もあるが、この長身CF2人が揃ってスタメン起用されたことは今のところ一度もなかったことが調べてみて分かった。それは小川監督が、彼ら2人のプレーのタスクが被ってしまうことを嫌ったためかと思われる。しかし、第7節鈴鹿戦では2-3と1点劣勢時の83分から2人揃って出場していたり、第9節青森戦では1-2と1点劣勢時の67-90分まで2人揃って出場していたり、第11節新宿戦では0-3と3点劣勢時の72分から2人揃って出場し9番が2得点を上げている。とはいっても、いずれの試合も枚方は残念ながら勝ち越すところまでには至っていない。奈良クラブが枚方より先に先制点を上げて彼ら2人が揃って出場してきたとしても、対応には相当苦戦するかとは思われるが、怯むことなく競り合い続けていれば追いつかれることはないというデータが一応はある。真夏とはいえナイターでの試合なのでここは是が非でもがんばって死守してもらいたい。
その他には、第17節大分戦、第18節滋賀戦にベンチメンバーに登録されていたFW37番ユリ・メシーアス選手がとても気になった。どちらの試合にも彼の出場はなかったが、この7月にブラジルから新加入したばかりの彼について枚方のHPを見てみると、年齢は30歳で身長体重は169cm/67kgと少し小柄な体型。ブラジル、欧州、中東と渡り歩いているとあったため、とても経験豊富な選手であることは間違いないだろう。彼はFW登録をされてはいるが、体型を考えると適正ポジションはSTで、スルーパスやミドルシュートやドリブルなどゴール前でテクニカルに仕掛けることができるような選手ではないかと予想する。このサマーブレイクの準備期間中にチームと彼が上手くフィットすれば、奈良クラブ戦にスタメン起用されることもあるかもしれない。そうなれば攻撃パターンが豊富になってくるため非常に注意が必要だ。その他ではファンタジフタこと10番の二川選手だろう。彼が出場すると事前に分かっているなら、レジェンドのプレーを最後にもう一度だけ目の前で見てみたいとは思う。
ところで、枚方の順位は8/13時点で11位(勝点19 5勝4分8敗 得失点差-2)と下位に低迷している。昨年の今頃の時期はKSL1部から昇格した初年度だったとはいえ4位と上位だっただけに、現在この順位に位置していることはとても残念な結果といえる。この低迷している1番の原因は、昨年に在籍していた選手と今期から入ってきた新入団選手をリーグ戦前に総入れ替えに近いことをクラブが決断したことによるものだと考えられる。最近のスタメン・ベンチメンバーの中で昨年から在籍している選手なのは、FW9番、11番、ST29番、ボランチ8番、28番、GK21番だけである。それに一昨年のKSL1部を知る選手となると28番と29番の2人だけになるようだ。(加筆訂正願う) おそらくこれは、昨年昇格したチームでどれだけJFLで戦えるのかを経験した上で、クラブが更にその上を目指すためにはどうすればよいかという判断をした結果で、現在低迷してしまっているのは、監督並びにコーチ陣が手探り状態のなか試行錯誤で模索している段階だからなのだろう。7月の23番と25番の移籍についても同様だ。そのため、先述したように、基本フォーメーションもオーソドックスな4-2-3-1としていると思われる。とはいっても、攻守共に各クラブのレベルが高くなっているJFLの中で、新チームを起動に乗せるということがどれほど至難の業か、昨年の奈良クラブを知る者にとっては誰よりも熟知している。枚方の新しいチャレンジをこれからも暖かく見守りたいと思う。
こんな枚方に対して、どうやって奈良クラブはゲームを進めていけばよいかを考えてみる。まず攻撃についてはこれまでと同様で、相手の最終ラインの裏やサイドの裏(特に左CB22番と左SB16番の裏)へ、如何にして効果的なロングボールを蹴り上げてチャンスを作れるかどうかが前半の立ち上がりのポイントとなるだろう。ここは奈良クラブの両CBのキックコントロールとそのボールを受けるCFや両WGの動き出しにかかっている。その早い時間帯で先制点を上げることができればかなり優位な状況で戦える。しかし、そこでゴールが決まらなくてもシュートが打てる状況さえ作っていれば、相手のプレスは緩み最終ラインが少しづつ下がり出す筈だ。これはカウンター対策にも繋がってくる。そうすれば、中盤にスペースが空いてくると思われるので、そのスペースでCHや両IHが素早くボールを繋げて決定機をどれだけ演出できるかもポイントの一つだろう。イメージしているのは同じく橿原公苑陸上競技場で開催された第16節滋賀戦のあの先制点。相手の最終ラインを前後に揺さぶり、後方からのロングボールにCFが相手のマークを引き出しておいて、逆サイドのWGが果敢に飛び出してゴールが生まれたあのシーンだ。欲を言えば鈴鹿戦の3点目の相手を完全に崩してからのゴールももう一度見てみたいものだ。どちらにしても、先手必勝の勝利の方程式が枚方戦でも絶対条件となるのは言うまでもない。
次に守備についてだが、これは前述している通りCF9番か11番かもしくは18番のポストプレーから、ボールを如何にして収めさせないかが最大の守備のポイントになってくるだろう。これには対峙する選手の怪我が心配されるところでいささか矛盾している感は否めないが、極力無理することなくかといってインテンシティの高いプレーで彼らを阻止してもらいたい。また、そこからのこぼれ球であるセカンドボールをCHがどれだけ奪えるかも、当然のことながらポイントとなる。そして、もう一つ気をつけなくてはならないのが、カウンター時のサイド攻撃。この枚方戦でもサイド攻撃から決定的な場面を何度も仕掛けられると思われるが、WGやSBのハードワークが試されることになるので、前節高知戦のように交代などのカードを上手く切って望んでもらいたい。それと同時にカウンター時にはゴール前での長身CFとの過酷なエアーバトルが待ち受けている。重ね重ね対峙するCBはいつも以上に体を酷使することになると思われるが、これは同様にリスタートも意味する。なんとか勝利のためにゴールを死守してもらいたい。これまでの奈良クラブの選手達ならばきっと大丈夫だと確信している。クリーンシートもこの枚方戦でも必ず達成されるはずだ。間違いない。
それでは枚方戦の得点予想は…
久々の3−0で奈良クラブの勝ち!
生まれも育ちも交野市だがフットボールは奈良を応援や!
カシリク無敗神話は永遠や!
勝って橿原の夜空に奈良クラップを聞かせてくれ!
バモバモ奈良クラブ!!!!!!!!!!