見出し画像

閉館する映画館でニューシネマパラダイスを観たらめちゃくちゃ感動した話

タイトルに言いたいことを全部書いてしまいました。

ここからはもう消化試合となりますのでご容赦ください。


2020年2月29日、布施ラインシネマという映画館が閉館した。

ラインシネマがオープンしたのは24年前なのでめちゃくちゃ古い映画館というわけではないが、

昨今のシネコンや映像配信コンテンツの勢いにのまれ、閉館することになったらしい。

友人たちとラインシネマについて話すと、皆揃って

「小さい頃おばあちゃんに連れて行ってもらった」

「チケットとってもガラガラやからほぼ自由席」

この2点に共感してくれる。


ラインシネマでは、閉館までの最後の1ヶ月間、「ラインシネマのラストショー」と題して過去の名作が上映された。

わたしも何か観に行こうと上映映画リストを見ていると、その中にニューシネマパラダイスがあった。


ニューシネマパラダイスとは、1989年公開の伊仏合作映画で、第二次世界大戦終了後のシチリアを舞台としており、

中年を迎えた映画監督が、映画に魅せられた少年時代の出来事と青年時代の恋愛を回想する物語である。(Wikiより)

この物語のキーになるのが、主人公トトの暮らす村で唯一の娯楽施設である映画館と、その映画館で映写技師をつとめるアルフレードというおじいさん。

トトは幼い頃から映画館に入り浸り、見様見真似でアルフレードの仕事を覚え、

少年ながらアルフレードの代わりに村の映写技師をつとめられるほどに成長した。

トトの少年時代と青年時代、隣にはいつもアルフレードがいた。

やがてトトはアルフレードの「若いのだから外に出て道を探せ、村にいてはいけない、そして帰ってきてはいけない」ということばに従い、ローマへと旅立った。

そして、30年間、故郷には帰らなかった。


大人になったトトは、シチリアにいる母からアルフレードの訃報を受け、30年ぶりに故郷へ帰った。

アルフレードの葬儀を終えたトトは、思い出の場所である、村の映画館に立ち寄った。

そこで、あの日皆が足繁く通った映画館は6年前に閉館となり、建物の解体が予定されていることを知る。

テレビやビデオの普及により映画館は廃れてしまったのだという。

そして解体されるその日、トトとかつて映画館を愛した人々が集まり、それぞれの思い出の場所が形を失っていくのを見守ったのだった。


ざっとこんな感じの話である。

事後報告で申し訳ないがめちゃくちゃネタバレしている。

まあ話の筋書きでどうこうという映画でもないので悪しからず。


話を本筋に戻すと、

このニューシネマパラダイス、ラインシネマで観る最後の映画にはうってつけではないか。

そう思い上映シアターに足を踏み入れると、いつもは自由席だった(わけじゃないけど)客席がほぼ満席になっていた。

それも10代のカップルから家族連れ、老夫婦、私のように一人で楽しむ映画ファンまで、文字通り老若男女が集まっていた。

いかにたくさんの人にラインシネマが愛されていたかが分かる。

かくいう私も、幼い頃によく祖母にラインシネマに連れて来てもらっていた。

おばあちゃんと映画をみるときはラインシネマだった。

我が家の最寄駅からは電車で4、5駅、そのちょっとしたお出かけが大好きだった。

その頃わたしたち家族は祖母と一緒に暮らしていたが、その後徐々にわたしたちと祖母の関係は悪化していった。

そうなった原因は色々あったが、あの頃の殺伐とした我が家を思い出すと、今でも少し胸が痛む。

今は離れて暮らしており、お互い仲良く楽しく過ごしているが、

ニューシネマパラダイスを観ていると、トトの思い出の向こうに自分自身の思い出が見えた。

よくない思い出もあるけど、映画館という場所でわたしが思い浮かべるのは、おばあちゃんに買ってもらったポップコーンの香ばしい香り、自分が座るには大きすぎるシート、そして非日常にワクワクする気持ちだ。


物語が終盤に差し掛かる頃、想定内だったが、もう涙が止まらなかった。

エンドロールの文字も見えない。(イタリア語を読めないことも相まって余計見えない。)

そして怪しまれない程度に満員になった客席を見渡した。

ラインシネマとの別れを惜しむわたしたちは、まるで映画館の解体を見守るシチリアの村の人々のようだった。


そしてエンドロールが終わり、シアター内が明るみ始めると、どこからともなく拍手が巻き起こった。

きっと皆同じ気持ちだった。



拍手が鳴り止むと、何人かの方がシアター内の写真を撮るためにうろうろし始めた。

わたしは誰もいなくなった劇場内の写真を撮りたくてかなり粘ったが、結局根負けして最後の1人にはなれなかった。

画像1

この、市民会館のホールみたいな内装も結構好きだったなーー。


他にもたくさん写真を撮った。

画像2

画像3


さらに、一階エントランスでは素敵な企画が行われていた。

『映画のタイトルで壁中を埋め尽くそう!』とのことで、ラインシネマに足を運んだたくさんの人が、好きな映画のタイトルを小さい紙に書いて貼ってあった。

画像4


その中でも印象的なものが2枚。


画像6

1字少ない方。


画像6

1字多い方。(勢いがあってイイネ❗️❗️)


まあそんなこんなで、まとめると、タイトルの通りです。




〜あとがき〜

ラインシネマ閉館の話を知ってすぐ、おばあちゃんにLINEした。

わたしたちの思い出のラインシネマがなくなってしまうから、久しぶりに一緒に映画を観に行かないか、と。

すぐに返事が来た。

「やめとくわ」

あっさり断られた。

最近脚が悪く、出かけづらいということだと思うが、おばあちゃんらしくて笑った。


しかしその翌日、次はおばあちゃんからLINEがきた。


「きのうのメール、有難う。あんたらが幼い時、一緒に暮らした頃しんどい時やら、色々あったけど、あのメールですべて😱ハッピーやったと、思い感謝です!」


なんか、初めて、本当の意味でおばあちゃんと心が通った気がした。


布施ラインシネマ、こんな機会をくれて本当にありがとう。

お疲れ様でした。


😱?






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?