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読書完走#491『トゥアレグ 自由への帰路』デコート豊崎アリサ 2022

パリで生まれ育ち、日本人とフランス人のルーツを持つアリサ。彼女がサハラ砂漠に魅せられ、ラクダの塩キャラバンを率いる旅人から、知られざる真実を伝えるジャーナリストになっていく自らの半生を描いた初の著書。

父親に導かれ、幼い頃から世界中を旅したアリサは生まれながらの旅人だ。前半は期限切れのビザと片道切符でサハラに渡航したり、砂漠の国境越えで密入国者になったりと抱腹絶倒のエピソードが続く。3.11後のフクシマ取材でジャーナリストへの道を歩み出したアリサは、ニジェールで放射能に汚染された砂漠と出会い、本当の自由はどこにあるのか?と問う心の旅を始める。

砂漠のウラン鉱山をスクープするシーンはさながら、映画『MINAMATA』でジョニー・デップが演じた反骨のジャーナリスト、ユージーン・スミスのようだ。彼女が制作したドキュメンタリー「Caravan to the future」も観なければ。

サハラ砂漠を旅して暮らす遊牧民「トゥアレグ」。異国情緒を刺激することばの響きが、かつて訪れたモロッコの記憶を呼び覚まし、本書に導いてくれた。