Light Years(7):Impressive
吹奏楽部3年の市橋菜緒はラッカー仕上げの金色に輝くアルトサックス内側を、準備室で一人クリーニング用スワブで丁寧に磨いていた。
ふいにドアが開いて、長身でゆるいストライプの髪をした男子が、バスクラリネットの巨大なケースを背負って入ってきた。
「聞いた話だけどな、市橋。例の部、いよいよ廃部ルートが見えてきたそうだ」
高校生にしては低く渋めの声でそう伝えられ、菜緒の手がぴたりと止まる。後ろに結い上げ、両サイドを垂らした髪をひと撫でして、再びクリーニングを再開した。
「ふうん。