帰宅願望
【帰宅願望】という言葉がある。
利用者が施設に慣れていなかったり、今いる場所がどこか分からなくなったりすると、不安になって「家に帰りたい」と訴え出ていこうとする状態だ。
この気持ちはとても共感できる。私も四六時中、早く帰ることだけ考えて働いているからだ。
なぜ帰りたいのか。本を読んだり、散歩したり、家でおいしいごはんを食べたり、風呂に入ってゆっくりしたいからだ。
そう考えると、もし利用者の立場に立ったらと考えるだけで辛い。見知らぬ人が作った食事を決まった時間に食べ、機械的に間仕切りされた空間で寝て、自由に外出することも許されない。まるで新薬の治験のバイトではないか。
この心理を前提に置いた上では、【最期まで利用者の主体性を尊重しよう】というモットーは非常に高い壁だ。
この壁をどう超えるか。考えるとワクワクしてきた。
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