ドハマりした介護の本
芥川賞受賞作の【スクラップ・アンド・ビルド】という小説がある。
28歳無職実家暮らしの主人公と、同居する祖父の話。祖父は要介護度1にも満たないんじゃないかと思われるほど動けるし喋れるのに、何かにつけて【早よう死んだほうがよか】ばかり言う。
主人公はやることと言うことが矛盾する様子にイライラしながらも、祖父がそう言うならと楽に死なせてあげる方法を考え始める、という物語だ。
この【死にたいっていう割に食うし寝るし喋る】という要介護高齢者あるあるを、たっぷりブラックユーモアを塗りたくった上で痛快に仕上げ、かつ時にハッともさせられるおもしろい作品となっている。
私は、職場の図書コーナーでこの本を見つけてドハマりした。そもそも特養にこれが置いてある時点で、すでに良い毒がきいているではないか。
だから、私は今もここで働いている。
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