【さろめから】壱百満天原サロメ嬢のホスピタリティ【着信中】
「推しはサロメイト」
「いい最終回だった」と、サロメ嬢の配信のコメントによく書かれる。
サロメ嬢は「最終回じゃございませんわよ!」と、お決まりのようにこう反応する。もはや一種のプロレスである。
どういう場面でこれが起こるかというと、サロメ嬢が視聴者、サロメイトを自負するファン、のみならず先輩ライバーやVTuberの素地を作った全ての人に感謝する言葉を連ねるという状況がほとんど。
サロメイトがサロメ嬢を推すのは自明の理だが、逆にサロメ嬢もついてきてくれるサロメイトを推しであると公言している。時折配信の中で語る、過去の不登校や引きこもり時期、一般的な社会への溶け込めなさ等の暗めの来歴をおおよそ全て振り切って(吹っ切って?)VTuberとして活動し始め、いきなり世に躍り出た現状。おそらくサロメ嬢本人も完全に受け止め切れてはおれずに、次々と降っては湧く案件に翻弄されていると考えて差し支えないのだろうが、そのような中でも全方位的感謝を忘れないように、あえて配信の中で言葉にして視聴者に伝えることを励行している……、そのような感じを筆者は受けている。
まあそれが「イイハナシダナー」となって「最終回」と言われることに繋がるのだが。
夢女ホスピタリティ、あるいはサービス精神というべきもの
推しが視聴者であると公言する配信者は他にもいるが、はたしてここまでのリターンをサーブしてくれるコンテンツは他にいるのだろうか。いないことはないのだろうが、ここまで大規模に成長したコンテンツ群の中にも少ない方なのではないだろうか。
筆者が本当に感心するリターンに、これがある。
これをただのコンテンツとして見る分には、「あーファンサなんだな」くらいに思う向きも多かろうと思う。
しかしこの2つの動画(音声付き画像だが)投稿の場合、サロメ嬢をフォローしてツイートを通知するよう設定しているアカウントに、「さろめから着信中」と通知され、開くとこの「つい電話をかけてきちゃったサロメ嬢のおはなし」が聞けるのである。
きっと先例はあるのだろうが(たしか月ノ美兎嬢か樋口楓嬢が同様の手口でフォロワーにドッキリを仕掛けていたのを見たことがある。不勉強なもので他にも例があるかとは思うが、ご容赦頂きたい)、内容がこういうものになるというのは「夢女」(※)を自称して憚らないサロメ嬢ならでは、というようにも思える。
これが本当にただ一介の「夢女」で、ドリームパートナーとの会話や通話をこうした動画にして投稿しているのであれば、それはちょっと「痛い人」となってしまうのだが、サロメ嬢の場合は本人が既にコンテンツとして成立してしまっている上に、そのコンテンツ享受者が「逆夢(ぎゃくゆめ)」とも言えるサービスを受けてしまうのが実に興味深い様態である。しかもその「夢」コンテンツを、ほぼ強制的にスマホの通知で受け取ってうかうかと開いてしまうのである。
これにサロメイトが射抜かれない訳がない。
「アドベントカレンダー」
今年5月デビューのサロメ嬢にとって、当然今年のクリスマスはVTuberとしての初めてのクリスマスとなる。
ちょっとした「お楽しみ」として、このようなお遊びも仕掛けていた。
アドベントカレンダーとは、日本ではあまり馴染みのない習慣だが、おおよそのキリスト教文化圏ではクリスマスに向けてのお楽しみコンテンツとして根付いている。らしい。
カレンダーの開始時期は地域等によって異なるのかもしれないが、クリスマス前の一定期間(この場合は12月1日~12月24日)、1日ごとにアイテムを封入したカレンダーを開封していって、クリスマスまでの時期を少しでも楽しく過ごそうという文化がある。
アイテムはお菓子だったり物品だったりするが、主に冬季にさしかかって外遊びができなくなる高緯度帯の地域の子供たちが退屈しないようにと考案されたもの、……ではないかと筆者は見ている。
サロメ嬢は、活動開始後初めてのクリスマスにいきなりこれをぶつけてきた。毎日夕方に1つずつアイテム(クリスマスツリーのオーナメント)を開示し、各人が好きにクリスマスツリーに飾り付けをしてほしいという趣旨である。
ツリーとカレンダーは依頼して作成してもらったものだが、各日のアイテムはおそらく、というかまず間違いなくサロメ嬢本人が描いたものだ(サロメ嬢はファンアートや外注品を利用する時に必ず元制作者を紹介しているが、オーナメントにはそうした注記がない)。
これに多くのサロメイトがめいめい飾り付けを楽しみ、日々ツリーの画像をアップしていくという形で反響を呼んだ。
面白いのはサロメ嬢らしく、「おハーブのモチーフのメダル状飾り」「縦ロール単体」「胃カメラの機械」といった品々が出現している所。
これを、やはり何の見返りもなく提示して、本人が満足したいようにやっているというのが「一大コンテンツ」としての破天荒ぶりであると言える。
ほぼ絶え間なく週4~6日の配信を行い、その合間にも案件やスタジオ配信のために関西から東京出張をし、動画制作も進め、そうした中で準備をしていたと考えると、なんというサービス精神だろうと思わずにはいられない。
それを享受できる側にいると、勢い心配になってくるほどである。
しかし黙っていないサロメイト
このクリスマス、だがサロメイトは黙ってやられっ放しではなかった。
一部の有志が、上記ハッシュタグ「#壱百満点のプレゼント」「#壱百満本のクリスマスツリー」を創出し、サロメ嬢には明かさない形で「お返し」を企画していたのである。
クリスマス当日になってサロメ嬢本人の知るところとなり、上記のようなコメントを引き出すことに成功した訳だが。
伝え聞くところによると、この企画に参加したサロメイトの一部がツイッター上で「いいね・RT」を連発したためと見られる「シャドウBAN」(ツイッター側からの機能制限・閲覧抑制)が発生し、思うようには参加者間の連携を取りづらい状況にもなったようである。
それでもTogetterなども利用して周知に努め、ついにクリスマス当日にサロメ嬢に届けられたという、ある種のドラマティックな展開。
推し、推され、もたらし、もたらし返す。
「感謝の正拳突き」と言われる仕草の応酬となっている訳だが、この渦の中で視ている者としては「ああ、ここ暖けぇなぁ」と、しみじみ感じ入るのである。
サロメサンタ
あえて、今日、今夜の配信を前に、このエントリを上げてしまおうと思う。
2022年12月25日23時(予定)、サロメ嬢がサンタクロース役を請け負って、サロメイトから募集したリクエスト(の一部)に応える……らしき配信を行うようである。
いやあ、この極まった夢女っぷりよ。一体何件集まっていることやら。
だが、それがいい。
この態度がこなれてしまっては、サロメ嬢の発する光のようなものが赤色矮星ほどに減衰してしまうことだろう。
少しでも、何かを返してくれようとするその姿勢。このスタンスをロールプレイであるとか媚びであるとか捉える向きも勿論あろうが、なんというか、筆者自身からはそうした見方をする方々にはこのようにお応えしたい。
「楽しそうにやってるのが羨ましいんだろう、認めて楽になっちまえよ」
「こっちにおいで、一緒に楽しもうよ」
アンチになってしまう皆さんは、まあ大抵が「気になるから」そうなってしまうんですよね。「気になっていること」を受け入れて、一度かかった遮眼帯を取り払って見てみればいいのになあと、思うことしきりな訳です。
優しい世界は、結構壮絶な覚悟の上に成り立つものなんですよ。
これは思い切って飛び込んだ者にしか見えない景色、であるのかもしれない。
あと約4時間(執筆時点)。今日の配信がどのようなびっくり箱になるのか、楽しみに待ちたい。