鈴木大介プロのMリーグ指名は「今年が最適」その一つの理由
いよいよ6月30日はMリーグ2023-24シーズンのドラフト会議ですね。概要はこちら↓
人気選手らの退団に加え、今年から新規参戦する「BEAST Japanext」による指名獲得オーディションの大盛況もあり、今年のドラフトは例年以上の注目度に違いありません。
それにしてもビースト陣営の盛り上げ方、力の入れようは改めて素晴らしいですね。その企画も映像も、関わった選手全員にとってプラスとなるような作りになっています。
たしかに後発チームがファンを獲得していくのに並大抵の勢いでは足りないとは言え…すでにシーズン開幕後も追いかけたくなるような期待を抱かせてくれる、そんなチーム運営です。
既存ファンを「ビースト単推し」に鞍替えさせるまでは難しくとも、他チームファンからも併せて応援されるようなチーム。その土壌作りには、すでに成功していると思います。
棋士かつプロ雀士・鈴木大介の指名タイミングは今年をおいて他にない
さて、ドラフトを巡るここまでの盛り上がりを踏まえて、ここからが本題。今回の有力選手として多く挙げられている大型新人、D介こと鈴木大介プロの指名についてです。
D介プロのドラフト指名を巡っては、「麻雀」と「将棋」という2つの観点から語られることが必要かと思います。
この記事を呼んでいる方の多くは、雀士としての鈴木大介プロについて私よりも詳しくご存知かと思いますが…まずはそちらを簡単にお話します。
麻雀ファンから見たドラフト有力候補・D介
麻雀プロとしては駆け出しの鈴木大介プロですが、その雀士としての活躍は麻雀ファンの間では語り草です。主に最強戦におけるインパクトの強烈さによって。
また、AbemaTVの藤田晋社長との関係性も有名です。もともと雀鬼会での親交があったことから、鈴木大介プロの提案を受けた藤田社長が「ABEMA将棋チャンネル」の開設を決めたという経緯があります。
日本将棋連盟の新会長となった羽生さんとの過去の対談でも語られていました。
このあたりが、麻雀ファン視点からの「鈴木大介プロがMリーグにドラフト指名されてもおかしくない」と思われる主な理由かと思います。
雀士としての鈴木大介さんについては、その強さや雀鬼流であること、ときに荒々しい所作などなど、麻雀ファンの中でもあれやこれやと語られていますね。
プロとしてはこれから実績を積みあげていく段階であり、真にプロ雀士としての評価がくだされるのはもう少し先のことになるでしょう。オンライン麻雀などで打ち込んでいたという話も聞きませんし。
逆に言えば、雀士としては決して多いとは言えない登場機会の中で、見る者にこれだけ強い印象を残している。その点で、少なくとも雀士・鈴木大介はプロに混じってなお特異なキャラクターを持ち合わせた打ち手である。
その事だけでも、ドラフト指名の有力候補に挙げられて何ら不思議はないのかもしれません。
ただし、私がとりわけ今回「鈴木大介プロが指名されるとしたら今年がうってつけだ」との思いに至った理由は、もう一つの将棋的側面からのものが大きいのです。
将棋ファン含む一般人から見たドラフト候補・鈴木大介
Mリーグのチームを運営するスポンサーにとって、チームや選手が活躍し多くのメディアに取り上げられることに越したことはないでしょう。
かつてタイトルにも挑戦した元A級棋士・鈴木大介が、プロ雀士・鈴木大介としてMリーグに参戦する。もし実現すれば、それだけでかなりのニュースです。
しかし今年に限って言えば、そのニュースは別の要因でさらに大きく取り上げられる可能性があります。
唐突ですが、私は麻雀ファンであると同時に将棋ファンです。
かつて定期的に買っていた近代麻雀は、末期のゴールドを除いて手元に残っていません(古い)が、将棋世界は数年分のバックナンバーが今も押入れに眠っています。
まあそれは余談として、そんな将棋ファンでなくとも、近年の藤井聡太七冠の大活躍はご存知のことと思います。
羽生七冠の時代とは違い、現在の将棋界は八大タイトル制。つまり藤井聡太七冠には、まだ手にしていないタイトルが一つだけ残っているということです。
このまま藤井七冠が今持っているタイトルを防衛した上で、残るタイトル「王座」への挑戦権を獲得すれば、史上初の八大タイトル全制覇をかけたその戦いは間違いなく世間で大きな話題となるはず。
さて、その残る一つのタイトルを保持しているのが永瀬拓矢(ながせ・たくや)現王座です。そしてその永瀬拓矢王座を語る上で欠かすことのできない棋士こそが、他でもない鈴木大介九段なのです。
鈴木大介プロがメディアに登場する日
将棋界には「師弟制度」があることはよく知られています。全ての棋士には、師匠という立場の先輩棋士が必ず一人存在します。
鈴木大介九段も多くの他のベテラン棋士のように弟子を持っており、その筆頭がプロ棋士として活躍している梶浦宏孝七段です。つまり永瀬王座は鈴木九段の弟子というわけではなく、同じ一門ですらありません。
永瀬拓矢王座の師匠は安恵照剛(やすえ・てるたか)八段。多数のプロ棋士を育て上げた名伯楽として知られます。
ちなみに、近頃鼻マスクによる失格で世間を騒がせている日浦市郎八段や、「豊島?強いよね」でお茶の間を震撼させた佐藤紳哉七段、アマチュアからプロ編入試験を経てプロ入りした瀬川晶司六段など、安恵門下は個性派揃いです。
二人は直接の師弟関係ではないものの、永瀬王座は過去のインタビューで鈴木九段について次のように語っています。
藤井七冠の活躍により、その師匠の杉本八段をはじめとして多くの棋士がメディアに登場しました。その中にはワイドショーなど、おおよそこれまで棋士がスタジオ出演する機会のない媒体も多くありました。
もし永瀬王座と藤井七冠の大一番があるとすれば、当然同じようにメディア露出の機会は多くなることでしょう。ですが私の知る限り、本来真っ先に取り沙汰されるであろう師匠の安恵八段は、これまで表立ってメディアの前に出ることはほぼ無かったように思います。
そこで、この6月の任期満了まで日本将棋連盟の理事でもあり、マスコミ対応にも慣れている鈴木大介九段が、代わりに多くのメディアに顔を出すのではないか。そう考えるのは決して不自然ではないと思います。
将棋の王座戦をきっかけに、麻雀プロとして(あるいはMリーガーとして)のD介プロの活動が、普段あまり麻雀が取り上げられることのない場所で世間の目に触れる…そんな機会がきっと生まれることでしょう。
広報やら業界のことやらに詳しくない自分がそう思うくらいですから、Mリーグチームを運営する各社、とりわけシーズン開幕前からこれだけ話題をさらっているBSJapanextが、そのチャンスを見逃すはずはありません。
D介プロのSNSでの危うい言動や麻雀の所作云々は、今後いくらでも改善の余地のあること(そもそも危ういままの方が面白いんじゃ?という意見もある)。
ですが、将棋界の歴史に残る大舞台になるかもしれない王座戦の、そのほぼ中心にいて全てを語ることのできる人物を「なぜか麻雀プロとして、無条件で自らのMリーグチームの選手として獲得できる」。その権利が、今この時だけ目の前にある。
それを行使しない手はないでしょう。チームにとってもMリーグ全体にとっても、こんな強力な起爆剤はそうそうあるものではありません。
王座戦は現在、挑戦者を決めるためのトーナメントが進行中で、残り2勝で永瀬王座への挑戦権を獲得できるという状況。なんなら、今まさに藤井七冠と羽生九段がトーナメント準決勝で対局していてAbemaTVで生中継中です。
ところで、対局中の棋士の食事が「将棋めし」として注目を集めるようになって久しいですね。それとは少し異なりますが、棋士ゆかりの食事処であることから、広い意味での将棋めしとして有名になったお店があります。
それは家系ラーメンで知られる「川崎家」。永瀬王座の御実家です。
ラーメンファンの方も注目ですね。
それと忘れてはいけない重要なポイントがもう一つ。王座戦五番勝負の開幕は今秋(8月31日予定)であるということ。そう、Mリーグのシーズン開幕とほぼ一緒ですね。
ほら、鈴木大介プロが今季ドラフト指名されてMリーガーとなり、これまで麻雀なんて見たことも触れたこともない沢山の人に、Mリーグごと認知される…ちょっとワクワクしてきませんか?
「熱狂を外へ」。ドラフト会議が楽しみだぁ。
(追記)
藤井七冠は羽生九段との一戦を制し、王座戦の挑戦者決定戦進出を決めました。世紀の全八冠制覇がかかる永瀬王座への挑戦権獲得まで、あと一つ。
この記事の筆者:日本少年(https://twitter.com/zipangu_boy)
雀魂は雀聖3、将棋ウォーズは二段のエンジョイ勢。渋川ナンバーズ。ひよこさんメンバー。渋川式麻雀通信と千羽師匠のダジャレのリプ欄にしばしば現れます。
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