新たに就航したロサンゼルス線を運航するパイロットに直撃! 安全運航とお客さまへの想い。
こんにちは。ZIPAIR note編集部です。
2021年12月25日についにロサンゼルスへ就航開始したZIPAIR。そのロサンゼルス線を運航するパイロット・中村千尋さんに想いや意気込みを聞きました。
ロサンゼルスへの就航がわかった瞬間と初めてフライトをした際のエピソード。
―まず中村さんの経歴を教えてください。
大学を卒業してから2年間は商社の営業をしていました。でもパイロットへの想いが強くなり、国内のエアラインに転職し自社養成訓練を始め、2010年にボーイング737型機の副操縦士になりました。同型機で機長に昇格した後にご縁がありZIPAIRに入社し、今に至ります。
ZIPAIRは「新しい会社」という点が私にとって魅力的で、初期メンバーとして働けていることが嬉しいですね。入社前から「チャレンジングな会社」であるということは聞いていたのですが、入社してみると本当にイメージどおりでした。「他社があまりやったことがないことに挑戦してみよう」という姿勢に非常にエネルギーを感じる毎日です。
―ZIPAIRがロサンゼルスへ就航すると知った際はどんな気持ちでしたか?
社長から「太平洋を横断する初のLCCになるんだ」ということは前々から聞いていたのですが、そのなかでロサンゼルスに就航というのは個人的に非常に嬉しかったですね! というのも前職の初期訓練場所がロサンゼルスだったりプライベートで行ったりすることが多かったので。もちろんコックピットに乗ってロサンゼルスへ行くのはZIPAIRが初めてです。
ロサンゼルス線へのアサインがわかった時は、嬉しいと思うと同時にいつもどおりを心がけようと思いました。
―中村さんにとっての初便運航時、やはり緊張はされたのでしょうか。また、記憶に残っていることはありますか?
不思議と緊張はしなかったですね。それよりも「コックピットから自分の目でアメリカ本土を見られるんだ」という楽しみな気持ちが一番強かったです。
最も印象に残っているのは到着前にコックピットから見た景色です。ZIPAIRがロサンゼルスに着く時間帯はちょうど夜明けの時間帯なんです(2022年3月時点)。空がだんだんと明るくなり、自分たちの飛んでいる飛行機の方向から朝日が上がってくる。これが幻想的で本当に絵になるんです。初めて目にしたその光景は忘れられないですね。
皆さんもZIPAIRのロサンゼルス線にご搭乗いただいた際は、ぜひ到着間際の空の景色を楽しんでいただけたらと思います。
―「感動」という言葉が合う初便だったのですね。無事ロサンゼルスへ到着した際はどのような気持ちでしたか?
エンジンをオフにし、お客さまのシートベルトサインを消した後は「あぁ、良かった」と心から思いました。そして何より何事もなく飛行機から降りて行かれるお客さまを見て本当にほっとしました。
また、長旅を共にした飛行機に対する感謝の気持ちでいっぱいでした。実はどの路線を運航したときも行っているルーティンがありまして。フライト前の飛行機の外部点検の際に「今日も頼むよ、いつもありがとう」という想いを込めてエンジンをポンポンと手で必ずやるんです。毎回、感謝の気持ちが溢れます(笑)
安全運航ができたことを実感するのは、褒め言葉にもならないお客さまのリアクションから。
―ホノルル線よりも長時間の運航となりますが、安全運航を守るために特に意識していることはありますか?
休息ですね。ロサンゼルスのような長距離線はパイロット3名で運航するため、1人は休息に入ります。目的地に近づくほど疲れもたまってきますので、自分の環境を自分で整えることはとても大事です。自身の業務の質を上げることが安全運航につながるんだということは日々感じています。
また、お客さまを飛行機にお乗せして飛ぶようになった時からずっと心がけていることは「何があっても絶対に地面に降りるぞ」ということです。少し物騒な話かもしれませんが、生きてこそですからね。お客さまも絶対同じ気持ちだと思うので「何があっても責任を持って乗務にあたる」という強い想いでいます。そのうえでもちろん快適性だったり定時性であったりを追求します。
ほかにもいろいろありますよ。安全に地上へ到着するにはやはり知識も必要です。
特にロサンゼルス線は風の影響を受け、時期によって往路と復路で路線が大きく変わることがあります。また、例えば通常の飛行経路上にアメリカの空域制限などがある場合は、ロサンゼルスを出発した後、カナダの空域を通るようなこともあります。そうするとカナダのルールを知っていないといけないですし、万が一上空で何かあったときのためにカナダにはどういう空港があるのかなども頭に入れておかないといけない。
私の場合はそういった勉強も含め地上での準備が7割。ほとんどですね。残りの3割を上空で行うというスタイルで日々臨んでいます(ここはパイロットによってさまざまでもあります)。
最終的に、何事もなく、お客さまがフライトのことすら記憶にも残らないくらいの気持ちで降りて行かれることが一番なんです。
―以前、別のパイロットの方も話されていたのですが「お客さまが何も感じないで降りて行かれることが一番嬉しい」というのはパイロットの皆さんが共通して思っていることなのでしょうか?
そのとおりだと思います。すべてのパイロットは何事もなくお客さまが目的地に到着することが一番嬉しいと思いますね。
パイロットとしては、やっぱり、できるだけ高度や速度をずらさずきれいなパターンで飛びたい。または、できるだけスムーズな着陸をして「上手い機長だったね」と言われたいなど、ある種「欲」を出したくなるときもあると思うのですが、そういう気持ちを抑えて安全を最優先にしています。
褒めていただけたらそれはもちろん嬉しいのですが、本当にお客さまの記憶に残らないくらいといいますか、目的地に着いた瞬間に次のことを考えているようなフライトが一番嬉しいです。
褒め言葉にもならないお客さまのリアクションですが、それが私たちにとって最大の賛辞ですね。
パイロットが教えるロサンゼルスのおすすめスポット2選。
―ロサンゼルスへ訪れた際にぜひ行ってほしい、おすすめスポットはありますか?
私の好みではありますが、まずは「グリフィス天文台」。ガイドブックにも載っているような有名な場所の一つですね。ロサンゼルス郊外にある丘に立っているのですが、そこから眺めるロサンゼルスの夜景がすごくきれいで、最高です。特に夕暮れから始まり日没、そして夜にかけて一番きれいな光景を見ることができますよ。
もう一つも郊外になりますが、ロサンゼルス国際空港から車で1時間半~2時間ほどの場所にある「ベンチュラ」という小さな町がお気に入りです。
ローカルなアメリカの雰囲気をたっぷり味わえる場所だなと感じました! 以前サーフトリップをしに友人と訪れたことがあるのですが、街の人々もあたたかくて良い印象しかないですね。
「多様性」を実現できている環境がZIPAIRの誇るべき点で良さだと思う。
―いろいろとお話を聞いてきましたが、これまで働いてきたなかで中村さんが思うZIPAIRの「良さ」はなんですか?
本当にさまざまな背景を持つ人たちが集まっているんだなと感じます。長距離線を運航する際は時間も長いためよくコックピットの中でいろいろな話をするのですが、とにかく話が面白いんです。自身では経験したことのない内容などから新しい視点や考え方を学ぶことができて、すごく成長できる環境だなと思っています。
「多様性」は言葉にするのは簡単ですが、実現するのはなかなか難しいのではないかと思います。そのなかでお互いを尊敬し合える雰囲気ができているというのはZIPAIRの誇るべき点だと考えています。
―最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします!
ZIPAIRでは、コロナ禍が明けて皆さんが自由に国境を移動できるようになった際に、すぐにでもお客さまを目的地まで快適にお届けする準備ができています。期待していただいて間違いありません! 機内で皆さんとお会いできる日を楽しみにお待ちしています。