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【第2話】車窓に映る幽霊

四国に渡り、
私は宿毛に向かって
電車の車窓から見える景色を
ただぼんやりと眺めながら時に感極まり、
心身のちぐはぐさを感じながら まだ見ぬ地へ

「俺はいったい何をしているんだろう、、。
今ならまだ、、、引き返せるじゃないか?、、。

そうだ !

みんなに頭を下げ
すべてをぶちまけごめんなさいと言えば
それで終わるのではなかろうか」

車窓に時たま幽霊のように薄く映る
別の自分がそう諭すのだ。


私は23歳くらいの頃、
借金をして カフェバーを開く。
僅か2年余りで閉店となる。
その時点で600万円の負債ができてしまったが、
身を粉にして借金返済をした。
昼のランチタイムに皿洗い、
夜はクラブのボーイ
その後代行運転ドライバーと
睡眠時間削りながら月に30万返済して
2年近くでどうにかなった。
それもあって家族や周りは信頼をしてくれていたように思う。

程なくして
宿毛に向かう電車はなく
確か 最寄りの駅で下車し
バスに乗った記憶があるのだが、
もう数十年も前の話なので
今はどうなってるのかはわからないのです。

バスに揺られ
ウトウト眠れば悪い夢ばかり、
長い時間 お尻は痛くなり、
途中バス酔いになり、酸っぱい唾飲み込みながら、
そんな思いをして宿毛についた記憶があります。

こんな時に私は自分の腹具合と相談をして
とにかく美味しいものを食べたいと
どうせ死ぬんだから
生きているうちにおいしいもんを食べようと、、、
本当に舐め腐った野郎です。


味噌汁


港の方に向かってみると 商店街 らしき通りがあり
そこに 喫茶店があったので そこで何か美味しいものを食べようと

カランカラン♫

古臭い音で迎えてくれた。


店の中に入ると60前後の夫婦が営んでいる喫茶レストランと
同時に 旅館も営んでいるらしい
そこで私は 【唐揚げ定食 ライス大盛り】を注文をした。
老夫婦は 私を見るなり 

「お兄さん こっちの人じゃないよね?」

やはり 地元の人は外から入る人たちに対しては
なんとなくわかるみたいだ。
続けてすぐに

「何しに来たの?」

ドッスン「だるま夕日を見に来たんです。 宿毛は有名ですよね。」
と言うと、

「あっはっはっ!」
と甲高い声で笑う店主。

「あんた、正気か?」
「この時期じゃあ達磨夕日は見れんきー!」

ドッスン「え?ホントですか?」と驚愕す、

「冬にならんと見れんき」

なんか拍子抜けしたのと同時に
「死ぬ前に達磨夕日を一目見ようと思ってたのに、
ここまでいったい何だったんだろう(泣)」と


自分の人生間の中で
一番真剣に死について考えたであろう時間が
綺麗さっぱり流れ去るようで、、、
店主の屈託の無い、日焼けした、シワだらけの笑顔と
「あっはっは!」
腹から笑う力強さに同調した自分がそこにいたのでした。

程なく、
鶏の唐揚げ定食のご飯大盛りが出来上がり、

味噌汁を飲んだ瞬間でした



母の顔が浮かび



ボロボロ涙が出て止まらんようになった。



なんどもなんども嗚咽しながら



ココロん中でゴメンナサイを繰り返したのでした。





次回!!

第3話


「私の家に来ませんか?」


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