詩「水たまり」
雨の昼下がり
その静かな雨音が
いつしか僕のこころに
いくつもの水たまりを残した
ひとつひとつの水面に
さまざまな記憶が
それぞれの風景となって
映し出されている
忘れえぬ風景と
いまにも記憶の縁から
こぼれ落ちそうな風景がつらなり
ささやかな物語を綴っている
水面に映った
懐かしい顔が見えたとき
僕の気持ちは昂り
思わずその人の名を呼ぶ
現実よりもさらに鮮明な画像となって
その人は僕に笑いかける
名伏しがたい思いが涙となって
僕の眼からこぼれ落ちる
やがて吹き渡る風に水面は乱れ
波紋の向こうに
あの人は消えていった