【アクセルをベタ踏みできるのは、いいブレーキが備わっているからだ。】
「言葉を決める」「タイミング」
僕が意識したもの。
というのも、土曜日の古舘先生の「ばっちりトークセミナー」に参加して、まずはここからなんだなって思ったので。
何か気になる場面にであったとき、その場で感情的に指導をするのではなくて、ふと立ち止まってカメラを向ける。
そして、どのような「言葉」でこれを伝えるのか考えてみる。
同じ事象を目にしても、ここでどれくらいの量の「言葉」が出てくるのか、またどのような「言葉」が出てくるのかが、普段からこの「言葉」に意識を向けて磨くことのできるポイントだっと思っている。
そして、啐啄同時という言葉もあるように、子どもたちが今ほしいものと、こちらが与えるのものとがぴったりとあったときに、ひなはうまえる。
要は内容とタイミングが、子どもたちとピタリあったときに、子どもの心に届く「言葉」となるのだと思う。
つまり、こちらが与えたいものを一方的に当てるのでは届く可能性は小さくなる。小さくなるどころか、全く逆効果になることさえあり得るのだ。
相手が欲しいものを、欲しいタイミングで、届け方を工夫して渡す。
プレゼントと全く同じだ。
感じ取って、届け方を磨く。それでもって「この人が言うことなら」と思える人間性「在り方」の部分を整える。
今日は、「40秒で支度しな」をひとまず使ってみました。
これは、古舘先生の語りをセミナーで聞いて、身振りやテンポ感、声の温度や圧のイメージがものすごくわいたから。
それでいて、月曜日であり、準備に時間がかかる様子が見られたから。
さらに、もっと早くしたほうがいいよなっとは気づいている様子だったので、1分や30秒のようなぴったりの数字ではない
『天空の城ラピュタ』に出てくる「40秒で支度しな」を使って、より印象付けられるタイミングであったから。
とっても頭に残ったみたいで、半分お決まりのネタかのように「40秒」が浸透し、行動も素早くなった。
もう一つ話したことがある。
決めた言葉は「抑制脳」
少々難しいように思えるが、これもこのクラスの子たちがそうなのか、3年生ってものがそうなのか分からないが、難しそうな言葉ほど覚えてやろうと燃えてくる人たちなのだ。
だからあえて難しい言葉のまま。
場面は、「ダメだダメだ今は違う」「ダメだダメだそんなこと言ったら」と自制して、コントロールする力が芽生えて欲しいと思った時があったから。
詳しくいうと、感染症拡大防止ゆえの黙食(今はインフル)
挨拶の時に隣の人と話してしまう
食事中にどうしても足を椅子の上に上げてしまう
授業での対話、ハミガミの最中や、整列するときに「おしゃべり」が優先順位一位になってしまう
そんな場面が続いたから。
確かに対話場面でいうと魅力的な課題であることは必要だし、そのほかの場面でもその本質を語ることは忘れない。
それにしても「抑制」という働き意識化することは、今後の成長にひとつ大切な力であるなと思ったので、あえてこの角度から語りを入れた。
この抑制脳がいかに磨かれているかが、思春期で多様な好奇心の中で上手に生きるためにも大切になってくるだとか。
またこの抑制脳は言語、つまりは「〇〇だから〜〜はしてはいけないんだ』と言語で理解するので、言語脳の発達と深く関係しているらしい。
だから普段から、10秒で説明してごらんとか、振り返りしこたま書けるように機会を作っている。
話はそれたけれど、「抑制脳」
「〇〇したいな〜」っておもっった時に、「ダメだダメだ今じゃないぞ」とか「ダメだダメだそんなこと言ってしまったら」と自分をちょうどよく抑える頭の働きを「抑制脳」ていうんだよと簡単に説明。
そして、これから例えば、ジョギングでも漢字練習でも「毎日15分やるぞ!」と自分を高めるために始めたとする。でも「ゲームしたいな」「もう少し寝ようかな」などという気持ちが生まれるかもしれない。その時に「ダメだダメだ自分は決めたんだぞ」「ダメだダメだ負けてはいけないぞ」と自分を抑えてコントロールする力があると、どうなりそう?
そんなことを問いかけると、「成長しそう」と返ってくる。
例えば職員会議中に先生が「すいかゲームしたな〜」と思ってしたらどう?と聞くと「信頼が落ちる」と。
あ〜じゃあやっぱり「ダメだダメだ」と抑制する大切だねと確認する。
授業中、歯磨き、給食など様々な具体例を入れながら「ダメだダメだ」と自制することの価値に気づかせいく。
そしてこれはどうすれば磨かれるのかという話を加えて終わりにした。
磨く方法は一つ。
何度も繰り返すこと。
筋トレのようなもので、鍛えるものなんだよと。
山奥で草ぼうぼうで先に進めないとする。
どこに進めばいいのか道がないから分からないよね?
で、試しに草をかき分けながら、歩いてみる。
するとどうなる??
「草が倒れて少し道みたいなものができる」
そうだよね、
でも次の日同じ道を通ろうとすると、また草が起き上がっていてすぐには見つからないんだ。
そこを頑張って1回、2回、、、、50回、、、100回と何度も何度も通るとする。
するとどうなると思う?
「はっきりとした道ができる」
そうなんだよ!!脳みそも全く同じ作りなの。
脳の神経も、何度も何度も通ることではっきりとした道になる。
無理に探さなくても無意識で道だとわかるくらいに太くはっきりするんだ。
つまり、「抑制脳」を磨くにはどうするといい?
「何度も何度もダメだダメだと意識してコントロールすることを繰り返す」
その通りだね。先生はパスを出すよ、「気づいてねという目線」を送ったり。
だからそれに気づいたら、自分で「あ、そうだそうだ、ダメだダメだ今じゃない」と抑制脳の道を通ってみてね。
何度も何度も通ることだよ。と。
するとある子が「ブレーキだね!」と言った。
それを拾ってさらに続けた。
本当にその通りだよ。
みんなはね、物凄いエンジンを背負っている。最高のアクセルを持っている。
進んで友達を助けるし、熱心に教え合う。
休みのだった人のためにまず寄り添って説明し始めたりするし、振り返りも鬼のように書く。
気がついたら、ノートや教科書は配られているし、加湿器の水は入っているし、給食当番の給食は作られているし、黒板はきれいになっている。
素晴らしいアイディアで見たことのないイベントも作り上げる。
これ以上にない一級品のエンジンで、アクセル。
でも、その車にブレーキついていなかったら、エンジンをふかせてアクセルをベタ踏みできるかい?
「怖くて無理!!止まれない!」
だよね。
だから、最高級の車には、最高品質のエンジンとアクセルと
そして最高品質のブレーキが必ず付いているはずさ。
みんなが、最高品質のブレーキを手に入れたらそれこそ、右に出るものはいない。
鬼に金棒だね!!
アクセルをベタ踏みできるのは、いいブレーキがあるからだ。
そんな話をして、「抑制脳」を届けてみた。
ちなみになぜこの話を今したのかは、今だから。
2学期も終わる今だから。
この子達の良さは出会った時から積んでるエンジンのパワーが桁違いに大きいこと、そして、自ら進んでいくアクセルを持っているところだと思った。
今までも抑制について伝えたい場面はたくさんあったが、あえて伝えなかった。
まずは、強みを大切にしたかったから。
1学期から多少事故ることはあっても、自らの持つエンジンをフルに使ってアクセルを踏んできた。
自分たちの強みについても、一学期と二学期で十分に理解してきたところ。
だからこそ今このタイミングだと思った。
変に4月から抑える話をするのはつよみをつぶしてしまうことになるから。