『TOB価格が安すぎる』とはどういうことか
非上場化すると、保有している株式が強制的に売却される
TOB(株式公開買付け)とは、ある企業が他の会社の株式を市場価格よりも高い価格で買い取ることを指す。TOBが行われる目的は、買収によって経営権を取得し、企業を合併したり、事業を統合したりすることだ。
TOBされた場合、株主には3つの選択肢がある。
①TOBに応じる
②市場価格で売却する
③保有し続ける
③の選択肢をとった場合に会社が非上場化されると、一般的に株主は保有している株式を強制的に売却しなければならない(スクイーズアウト)。非上場会社では株式が自由に売買できないためだ。
今回の伊藤忠商事によるファミマ完全子会社化における争点
今回争点となっているのは、強制的な売却価格の公正さだ。1株2800円という価格を特別委員会が提案していたにもかかわらず、実際のTOB価格は2300円だった。
この安すぎ問題への株主の訴えに対し、地裁、高裁がいずれも「公正な価格ではなかった」という決定を下したのだ。
ファミマ側は最高裁まで争う姿勢を見せている。
特別委員会とはどんな組織なのか
特別委員会とはどんな組織なのか。
いわゆる第三者による諮問機関である。今回のケースでは経営陣が特別委員会の提案を軽視していたが、このファミマの問題もあってか、特別委員会の存在感が増してきている。
最近のM&Aニュースと言えばACTによるセブンイレブンの買収提案だろう。
ここでは特別委員会がどのような決断を下すのか注目したい。