量子コンピュータで日本は勝てるか
ATカーニーの「業界別経営アジェンダ2025」を読んだ。印象的だったのは量子コンピュータがテーマの第7章だ。
そこで整理できた量子コンピュータへの理解は以下の通りだ。
①量子コンピュータは従来のコンピュータで天文学的な時間を要した計算を極めて短時間で実行できるが、その用途もまた限定的である。
②相性が良く、研究が先行しているのは化学・素材/エネルギー領域である。
③実用化には数十年を要するとも言われているが、実現すれば極めて短期間でゲームチェンジが起こる可能性が高く、短期間のROIを度外視した備えとアンテナを張っておくことが重要である。
現在の生成AIブームは第4次AIブームとも呼ばれており、その過程には冬の時代があった。AIの概念がダートマス会議で提唱されたのは1950年代であり、量子コンピュータが提唱され始めたのは1970年ごろだという。日系企業が単独で取り組むには体力が持たないかもしれない。技術的な課題にぶち当たっても研究を続けるための支援が欠かせないだろう。