温まるのはどちら?
今週末は更に一層冷える日本列島であるが、温かい食べ物が恋しいとひたすら帰路を急ぐか待ちきれずに外食産業のお世話になるのではなかろうか。
そんな折に一度は頭の隅に置かれるであろうメニューで目を惹く記事を見かけたので、自身の経験を交えたり記事を参照しつつ綴っていきたい。
コロナ禍による影響で大打撃を受けたのは間違いなく外食産業であろう。
その外食産業、ここのところ面白い動きがあったようだ。
コロナ前の売り上げを超える企業は日本マクドナルドホールディングスなど数少ない。その点に注目して好対照の例について挙げていく。
「へい、らっしゃい!」
とラーメン屋らしい店内からの掛け声。
そして玄関の傍にある食券機でメニューを選んで購入し、食券を持って空いた席へとつく。
「醤油ラーメン、麺固め、油少なめで」
「はいよー!○番さん、醤油、麺固め、油少なめ1丁!」
ごくごくありふれた、とあるラーメン屋「山岡家」での光景だ。
そして出されたラーメンをいただいて、ホッと一息入れ心身ともに温まる。
その山岡家がイートイン(店内飲食)だけでコロナ前の売り上げを超えたそうだ。
山岡家は全国約170店舗あり、東証スタンダード上場の丸千代山岡家が運営する。基本は豚骨スープが売りでわずかながら「極煮干し本舗」と「味噌ラーメン山岡家」が存在する。
2022年1〜7月の既存店売上高を19年比の増減率で見る限りでは、プラスの企業はわずかに13社、1位に日本マクドナルドホールディングス、2位以下モスフードサービスなどが続く中で6位であるが、イートインに限定した企業で見る限りでは山岡家が1位となることである。
9月に限って言うと、既存店来客数は19年比でマクドナルドも上回るというから驚きである。何故このような結果になっているのか興味深い。
店舗の殆どがロードサイド(特に国道沿いの郊外)で24時間営業であり、リモートワークの増加やトラッカーの利用が多かったためではないかというのが企業側の見解である。
特にトラッカーについては大型トラックの駐車場がある13の店舗にシャワー室を備えてトラッカーの利便を図り、ドライバーの支持を得ているようだ。
また、味についてもスープの仕込みを徹底指導、運営形態にしても直接指導できる直営店に限定するこだわりよう。こだわるが故に店長になってからも不定期の講習がある事に加えて、創業者の会長自ら全国の店舗を1人で回り指導にあたっているという。イートインだけに絞っているのもこうした味への努力を顧客に届けようとする熱意であろうか。いずれにせよ、外食産業の産む一つの価値基準がそこに見出されると考える。
それではティクアウトも出来る他の外食産業はどうであろうか?
「いらっしゃいませ、ご注文は何でしょうか?」
「野菜カレー、1辛で、トッピングにチーズをお願いします」
この「ココイチ」こと「カレーハウスCoCo壱番屋」が12月1日に今年2回目の値上げに踏み切ったという。
愛知県から1号店を出店し、40年強で国内約1200店規模に広がったココイチは、運営会社壱番屋が原材料や輸送費の高騰を受けて客単価の上昇を図るもコロナ禍で減少した客足が戻っていない。2023年2月期の連結営業利益は30億円と、過去最高であった20年2月期の6割に留まる見込みであり、コロナ禍の影響から脱却できずに苦しんでいる。
一時はテイクアウトにも力を入れたこともあって、「巣ごもり需要」と称されながらも落ち込みが少ない企業であったが、いざ回復期となった場合において国内での店舗数の飽和が足枷になっているようである。それだけに同じくフランチャイズ(FC)の比率が高い日本マクドナルドホールディングスやモスフードサービスは逆に店舗数を増やしてコロナ禍前の売上高水準を回復しているのに対して遅れをとっているようだ。
そのうえテイクアウトや宅配を含めての客数の回復の遅れが深刻なため、22年6月と12月の2度にわたって値上げするに至る訳であるが、売上高は遠のいた客足分を補えるに足りないという。大規模な外食チェーン店であるがために、負のスパイラルからの脱却にはアジア圏などの海外事業の戦略などのより一層の創意工夫が必要であるようだ。
心身を温めてくれるラーメンとカレー、事業的には軍配はラーメンか?
ここでおまけ的に北海道独自ではあるが抜け道のメニュー選択が出来る企業をご紹介する。
餃子チェーン店の「みよしの」である。
餃子の他にカレーがメインの専門店であるが、最近ではラーメンもセットや単品で出してくれる良店だ。
カレー?ラーメン?迷ったら「みよしの」に飛び込むといい。
…北海道には餃子の王将がなかなかないのはソウルフード「みよしの」があるからだ。