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(マネジメント⑪)新しい組織のカタチ ~マインドフルな組織と高信頼性組織

センスメイキングで有名なカール・E・ワイクが『想定外のマネジメント』で、マインドフルな組織と高信頼性組織の二つを提唱している。マインドフルな組織を進化させた組織が、高信頼性組織となる。

マインドフルな組織

マインドフルな組織を次のように言っている。この文章の中には、今まで挙げてきたキーワードがいくつも含まれている。

想定外の事態とは、無秩序化(逆組織化)かもしれない。想定外の中断をマネジメントするには、予測とレジリエンスの双方が必要だ。これをマインドフルな組織化と呼ぶ。
( Pⅴより )

想定外の事態をマネジメントしていくには、科学による予測と科学ではないレジリエンスの両方が必要だと、ワイクは言っている。これは新しいマネジメントの知的創造プロセスで纏めた「どちらかを選ぶ(否定する)のではなく、二つをどう組み合わせていくか」と同じ。

そして、分権型組織とハイブリッド型組織の最後にふれたマネジメント2.0の「どちらかを選ぶのではなく両者のよさを調和し、よりよいカタチにする」とも同じ。この考え方が、マネジメント2.0では必要不可欠になってくる。

異なる二つを併せ持つ組織の特徴は、「揺れのあるしなやかさがあること」。この揺れのあるしなやかさは、あいまいさといっていいかもしれない。
また、ワイクはマインドフルな組織の特徴に、“気づき” を挙げている。
気づくために大切なことは、「みえているものの外側にも意識を向けること」と「変化を感じること」の二つの感性を併せ持つこと。さらに、“偏りなく二つの性を行き来できる中性さ” が必要で、揺れのあるしなやかさに近い。

人間誰しもどちらかに偏った考え方をしてしまう。「偏らないだけでなく、二つの性をもつこと」、これは二分法の西洋思考では難しい。新しいマネジメントの知的創造プロセスでふれたプラスαにあたる東洋思想のマインドを身につけることが必要になってくる。“マインドフルな組織” とワイクが呼ぶのも、東洋思想と関係しているのではないかと思う。

分権型組織とハイブリッド型組織の特徴であった “信頼性” も、マインドフルな組織では大切になってくる。ワイクは、「適応能力が弱まると、信頼性も弱まる」で興味深いことを言っている。これは、「適応能力を強めると、信頼性も強める」とも言えないだろうか。

高信頼性組織

適応能力そして信頼をともに高めた組織が、高信頼性組織へとなる。適応能力を高めるためには、「問題が起きても機能不全にならないことを前提にした、準備と対応を取る」ことが求められる。

マネジメント1.0の管理統制のもとでは、問題を起こらないように徹底して対応をしていく。徹底する理由は、管理者としての責任問題を問われるから。責任を負わされるという不安から逃げたいために、責任問題が起こらないように管理統制をしている。
しかし、不安を更なる不安が覆っていくので、マネジメント1.0では不安から決して逃げられず、心から安心安全な場はない。

「どうすれば、心から安心安全な場をつくれるのか。」

それは、個人に責任を負わせず、責任も共有し合えることで信頼し合える組織になることで、安心安全になれる。このような組織が、次のTeal組織になってくる。

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