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“かなしみ”とともに生きる人の言葉。
今日、毎月の献血に行ってきた。
いつも通りに一番乗りで、待っていた。
時間になっても人は少なく、新型コロナウィルスの影響かと思っていた。
しかしそれは、いい意味ですぐに裏切られた。
オープンしてすぐに、人がどんどん献血ルームにやってきた。
人が溢れだし、何が起こったのかすぐに想像はできた。
看護師さんに「人でいっぱいですよ」と伝えると、
木曜日から多くの人が献血されていると。
ニュースにあったように、本当にそれまでは閑古鳥だったらしい。
池江璃花子さんが献血をお願いするメッセージを発してから、
多くの人が行動を起こした。
自分のできることを自らの意志で決めて、善い行動を選んだ。
彼女はそれまで、競泳というプレイで人を魅了してきた。
多くの人が彼女から、勇気をもらった。
しかし、彼女は、カタチを変えて人を魅了し続けている。
言葉の力で、人に社会に影響を与える人になった。
善い行動を人が起こすカタリストのような存在になった。
彼女の、何が変わったのだろうか。
私たちが彼女を見る眼が、どう変わったのだろうか。
いえるのは、
人生の岐路に立つ大きな試練を、神さまから与えられたということ。
池江さんのように、気になる人がいる。
彼女の名前は、「のん」ちゃん。
名前を奪われ、活躍される場も奪われた。
くだらない大人たちのビジネスが、彼女から自由を奪おうとした。
しかし彼女は、浅はかな大人たちの思惑を大きく超えて、
自由を手に入れた。
彼女も大きな試練を与えられたが、自由だけでなく、
多くの応援者も手に入れた。
池江さんと同じく、多くの人が、のんちゃんの活躍を願っている。
それも、心の奥底から願っている。
今まで試練は嫌だったし、できれば目の前に来ないでほしいと願っていた。
私だけではない、誰もがそう願っている。
しかし、試練が人を大きく変えることはある。
試練の大きさは関係しない。
大きいかどうかは、周りが勝手に評価するだけのことだ
私自身にも2017年秋に試練が突然やってきて、
大きく考え方などががらりと変わった。
やって来たというより、
手繰り寄せたと言った方がいいのかもしれないが。
試練を乗り越えるのではなく、
試練とともに生きることを選んだ人の言葉には、重みがある。
ずしりとした物理的な重みではない、心理的な重みだ。
大好きな作家の若松英輔さんの本を、今読み返している。
もう何度目になるか覚えていないぐらいに、読んできた。
若松さんの本で、必ずといっていいほど出てくる言葉がある。
「かなしみ」
「かなしみ」は悲しみや悲しみだけではない。
愛しみも美しみも「かなしみ」と呼んできたと、
若松さんは多くの本の中で、何度も語っている。
池江さんものんちゃんも、前者の「かなしみ」を乗り越え、
今は後者の「かなしみ」とともに生きているように思う。
見た目の美しさもあるが、それ以上に内側から溢れる美しさがある。
来週、3.11がまたやってくる。
新型コロナウィルスの影響で、いろいろな行事が中止となった。
東北には2014年以降、何度も訪れている。
そこに住む人たちも、後者の「かなしみ」とともに生きている。
ふと、思い出したことがある。
2017年夏に、東北を訪れたことだ。
その時のことを、8回に分けて載せた。
「東北旅行記②」で書いたが、
川開き祭りの花火よりも、それを見ている人たちに美しさを感じた
あの場に居た人たちも、
「かなしみ」とともに生きているから、美しく感じたんだろう。
今年、もう一度東北に行きたくなった。
今までほど、自由な時間は取れなくなったけれど。
ふと、今読んでいる若松さんの本のタイトルが目に留まる。
『君の悲しみが美しいから 僕は手紙を書いた』
若松さん自身も、
「かなしみ」とともに生きている人だから、心が響くんだろうと。
来週、のんちゃんはNHKに2日連続で生出演する。
10日(火)はあさイチに、11日(水)はニュース7に。
どちらも録画の予約はした。
後で彼女の語った言葉を、いや彼女が語りきれなかった言葉を、聴こう。
彼女が好きな理由は、
この語りきれなかった言葉に美しさを感じているからだ。
最後に、この文章を読んで献血しようと思われる方へ。
献血は予約優先なので、予約せずに行くとかなり待たされますので。