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24/7/6 世界一近いフェス

僕にとって世界一近いフェスに行く。FESTIVAL FRUEZINHO。隣町の立川で開催される。
家を出て自転車で行くことを考えた。フェスにチャリで行けるとは夢がある。会場にはダイチャリのステーションもある。しかし、朝からこの暑さ。15分ぐらいの距離とはいえ、フェス前にこれはやめた方がいいかな。駅に向かいつつ、自転車に何度か誘惑されるも、電車で行くことにした。でも、例えばフェスの最中にそのことで体調が悪くなっても、それはそれとしてと思えるようにはなれたらとも思う。そうなったとしても許して欲しい。とはいえやはり体調は大事。

少し早めに行って、メルカドをみる。最近割とお金を使ってしまっているので今日は何も買わないと自分に誓っている。でもそんな誓いを立てるなら、そもそも見ない方がいいのかも知れない。どうしたって欲しくなる。薄いグリーンの小坊主ブッダマシーンやアフリカ雑貨の数々。しかしなんで欲しいと思うのだろう。一瞬の出会いを楽しむということも考えられるのに。欲しいというのは自分のものにしたいということ。もちろん自分の生活、暮らす部屋を彩りたいという気持ちもあると思うけど。
今日は出会いを楽しむということにして、もしかしたら後で買ってしまうかもしれないけど、一旦メルカドを後にした。

そう、今日は楽しみにしていた祭りではあるけど、昨日できたささくれが残っているのか、少し気持ちが下がっている。
もちろんFRUEZINHOは楽しかった。折坂悠太の歌声に目を少し熱くさせたし、高木正勝のピアノを雨を受けながら空を見て聴くのは気持ちよかった。曇り空でもところどころ雲が薄いか、雲の切れ目で日の光が見えるところがあったり、たまに鳥が通り過ぎたり、曇り空を眺めるのも楽しいことを知った。うしろの石畳をステージを使っての角銅真実と小暮香帆によるユニット、波²は静かに衝撃を受けた。 音の使い方は物質の声のようであったし、その物質は空間の中で呼吸をしているようでもあった。波のような身体の動きだけではなく、表情や眼差しにも惹かれた。仮面と表情が紙一重のようにも感じた。Juana Molinaでは本格的に身体が踊り始めた。歌もギターも全てがリズムで踊らせてくる。Mulatu Astatkeではステージガーデン後方の吹き抜けになっている辺りがダンスフロアになっている。一昨年参加したときも、ここでみんなが踊っているのが楽しくて、好きになった。疲れたら後ろの芝生に向けての段になっているところで休めるし。ステージガーデン、いい箱です。でもやはり3階には見にくい席もあるのだろうか。
熱を帯びたリズムで踊った。気持ちが下がっていても、それとは別で楽しくはある。それに下がっているからこその楽しさもあると思う。ピート・タウンゼントはかつて、ロックン・ロールは問題から逃げずに、それと同時に問題の至るところで踊ることを許してくれるといったようなことを言っていた。それと、今日はところどころで降る雨や聞こえる雷の音がいい演出をしていたような気がする。

そういえば会場で2人でお揃いの白字でRと書かれたピンク色のTシャツを来た人がいたけど、それはそれで怖いことだとも思った。選挙はいつも消去法だったり、戦略的な投票をしていて、それは本来の投票のあり方ではなく、自分が入れたいと思った人に入れるのが本来のあり方と思っていたけど、そんなことはないのかもと思った。
自分が入れたい人がいても、今優先すべきこと、例えば今回の都知事選であれば小池百合子から都知事を変えるということが大切なのであれば、そっちを優先すること。この人に入れたいという気持ちは一旦置いておいて、何が今大切なのかを考えることや、もしくは今よりどうすればマシになるのかを考える方がいいのではないか。それはポピュリズムを止めることにも繋がるかもしれない。ただ、ポピュリズムを用いてでも小池都政を終わらせた方がいいのかということを考えると、どうだろう。いずれにせよ、いつかはポピュリズムからは離れていったほうがいいだろう。

それにしても、みんな一人じゃなくて複数で来るけど、このFRUEのラインナップで一緒に行く友達がいるのはすごい。例えば、音楽をある程度聞くひとにとって、MY BLOODY VALENTINEはメジャーなバンドだけど、そこら辺にいる人にマイブラ知ってますか?と聞いても知らないと答える人がほとんどだろう。FRUEに出るアーティストのほとんどがマイブラよりもマイナーだろう。一緒にFRUEに行く友達は大切にした方がいい。もちろん基本友達は大切にした方がいいというのは前提として。

多少頭痛がして、気持ちも下がっているが、何か食べたいような気はしていて、ミスドによった。チョコオールドファッションをトレーに載せ、列に並ぶ。列に並んでいる人は4人ぐらいて、みんなFRUEZINHOのリストバンドを付けていた。みんな考えることは同じだ。人間共通の思考回路に触れたのかもしれない。汁そばも頼んだ。
先にオールドファッションを食べる。まず甘いものが身体を癒す。そのあとで汁そばを食べる。身体の疲れを甘さとしょっぱさがさっぱりとさせてくれる。

谷保に帰ったら、駅前で友達が話し込んでいた。こんばんはと挨拶して去ろうとしたら、呼び止められて「この前のお誘いの返事返せてなくてすみません。まちで会ったら謝ろうと思っていました」と言われた。
家に向かって歩きながら「まちで会ったら謝ろうと思っていた」っていう言葉の軽やかさがいいなと思い、そのことでようやく気持ちが少しだけ斜め上を向いた。

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