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maxon CS550の修理となんちゃってフランジャーmode追加&TrueBypass mod

先日、友人と楽器屋に行ったら友人がほぼ決め打ちで購入したのですが「じゃ、オーバーホールよろしくゥ!」と購入後即ブン投げられたので投稿です。

いや、ワイmaxonのデカ筐体のコーラスってことしか知らんのだが…

何にせよ受け取ってしまったものは仕方ないので、やり方を考えてみるとします。


修理(オーバーホール)

交換する部品を選定する

といってもエフェクターのオーバーホールでやることは決まっていて、電子部品と半導体の中で寿命がある(短い)部品を全部交換するだけです。
具体的にはスイッチや可変抵抗等の操作回数が規定されている部品、まぁ手で操作する部品全般ですね。

それと電解コンデンサ、使用時や保管時の温度環境に大きく依存しますが、製造からおおよそ10年以上経過したものは劣化しているので交換します。古いエフェクターは全部ですね…

そういう事情があるので極力フィルムコンデンサや固体高分子コンデンサ(OS-con等)に変えてしまいたいところですが、音声信号に影響する部分は特性に大きく影響してしまうので泣く泣く電解コンデンサのままにします。

そのかわり電源部には問答無用で個体高分子コンデンサぶち込みます。ビンテージ感のある見た目?知らん!

あと、古いエフェクターは当時小型大容量のフィルムコンデンサが無かったためか、無極性の電解コンデンサを使用していることが多いです。
これが曲者で極性を示す帯があったり無かったりする上に、基板上の印字で分かるようになっていたりいなかったりします。

最終的には経験ですが事前に通電できるようであれば、前後の電圧を図っておいて判断の材料にしておきましょう。

元々の姿、円筒形の部品が電解コンデンサ

可変抵抗はハンダ吸取り機を以ってしても取り外しにくいかと思っていましたが、意外とすんなりとれました。

動作に問題はなかったが、やっぱり新品はいいね。

ついでにLEDを白にしたいとのことで交換します。
明るくしたいオーナーからのオーダーとインジケータを眩しくするな原理主義のワイ、せめぎあいの結果デフューズド(乳白色レンズ)のLEDを光らせることにしました。

最後に残った交換部品はスイッチですが、これは次項のmodで交換します。

mod(改造、modify)

TrueBypass化

コレは今回の場合簡単で、先の写真の基板からスイッチに出ている配線が4本あります。
このうち1組(2本)は配線を追いかけたところLEDを直接ON-OFFさせていていました。ということはもう一方でエフェクトをON-OFFさせていることになります。

そちらの配線を追うと直ぐにSA571(基板上で一番大きいIC、BBDディレイによく入ってる)の出力に繋がっていました。

どうやらエフェクト側の信号をぶった切ることでOFFにしてるタイプの要です。古い設計のものでD-FF使わないヤツは大体コレですね。

最初に簡単と言った理由がこれで、これならばココを短絡させて基板外でTrueBypassの配線をすればOKです。

配線で隠れているが橙と茶の配線の裏でショートさせている。

近年は基板に全部乗っける設計しかしてなかったので苦労したぞ…

基板の下で配線を固定しているのでそうそう断線しないつもりです。最近の個人工房でこういうのやってる所ありますね。チョットヤッテミタカッタ…

なんちゃってフランジャーmode追加

ステレオアウト使わないよね。

じゃあ穴が一個余るし何か着けてしまえと思い立ったところ、本機にコーラスとしては珍しくディレイタイムのノブがあることに気が付きました。

だったらディレイタイム最小の時にフィードバックかければフランジャーになるじゃん。ということで実装しました。

追加する回路はBOSSのBF-2から拝借します。Resonanceノブの周辺です。

画像でC21からR10までの回路です。回ってないけど。

適当にユニバーサル基板に部品を乗っけて配線します。
ボリュームは一応完全にOFFにしたいのでスイッチ付きです。

適当なわりにシンデレラフィット。

次に信号の取り出しポイントと返すポイントを探します。
後者はBBDディレイの設計に沿って前述のSA571の入力側の入力に返します。SA571の入力は反転増幅器になっており、そのままミキサーとして使えます。だからBBDディレイのフィードバックはここに繋ぐ必要があったんですね。

さて、どこから信号を取り出すかという問題が残りますが、ここは総当たりで行きます。

紫が返す所、白が取り出し所、グレーはGND。

結局、SA571の出力側の出力が一番ハッキリ効果が出たのでココに決定しました。
安直なのが一番いいとは…

そして完成へ…

後は配線を整えて完成ですが、最後の最後まで迷っていた電池駆動対応化をやりました。消費電流45mA(LED点灯時)あるけどまぁええやろ。

半分くらいまとめ直しになった基板裏の配線。

これでやっと基板を戻して蓋を閉められる…

完成状態の中身、バッテリースナップは一周回して固定しておく。

というわけでヘッダー画像の完成写真です。

ノブを変えてあるのはオーナーの意向、多分SPEEDを足で回すんやろ

完走した感想ですが…普通、とても爽やかなコーラスです。深めの設定もできるけどARIONやEHXみたいに低音がグエーっと回ったりはしません。

電源周りの部品が良くなったせいか心なしかローノイズになって爽やかさが増した気がする。元の状態で殆ど触ってなかったから知らんけど。

TrueBypassの恩恵でバイパス時の変化は皆無、元々はとても籠っていたので凄く良くなった気がします。

さて、肝心なフランジャーmodeですが、全然ジェットにならん。なんやコレ…
まぁ設定によってはミョンミョンとかシュワシュワできるからええか。とてもメインに据えられる機能ではないが使い方が無いわけではないので採用にします。

・・・

まぁ思い付きでやったにしてはいいんじゃないかと思います。
元々のコーラスとしては良くなったし、ガチガチに固定する内部配線をやってみたかったので大満足です。

週末は引き渡し記念飲み会です。

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