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本を読むためにセミオーダーの本棚を買う
「晴耕雨読」というように、本を読むには暮らしにゆとりが必要だし、道楽の部類だと思っている。「読書家」を名乗るビル・ゲイツやイーロン・マスクの資産は15兆円とか40兆円だ。あらゆる富や贅沢のさらに先に広がっているのが、読書という世界なのだろう。
そんな究極ともいえる道楽を、私たちはかんたんに手に入れられる。ビル・ゲイツは年に50冊の本を読み、ある外資企業トップは50冊以上読んでいるひとに会ったことがないと言っていた(=自分は年に50冊読んでいる)。それを上回ればビル・ゲイツ超えできる。資産はともかくとして。
話題になったらしい三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか?』は読んでいないのだけど、働いていていようがいまいが、たくさんの本を読むために必要なものは決まっている。
それはもちろん、たくさんの本と、それを収納するための本棚だ。本棚もないのに「なんで本を読めないのか」なんて考えるのは、キッチンがないのに「なんで料理を作れないのか」と言っているのと同じだ。近ごろの住まいではモダンではない収納が避けられることから、かつてはどんな部屋でも当たり前に置かれていたカラーボックスが嫌われて、その結果、本の置き場もなくなった。
あとは、本を読まない理由としては「スマホに時間をとられている」といった項目が絶賛第1位なので、「本を読む時間がない」はどうにでもなりそうだ。SNSのアカウント削除してYouTubeをなんらかの方法でブロックするだけだ。
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というわけで、先立つものは本棚だ。それも壁一面が本棚になっているのが憧れだ。図書館通いでは得られない見栄えというか、なんといっても「読書家」らしいのがいい。
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壁一面の本棚は、DIYやオーダー家具で取り組むのがよくある方法なのだけど、この頃はセミオーダーの本棚も増えてきている。
セミオーダーの本棚の候補として名前が挙がることが多いのが、マルゲリータだろう。種類多めのテンプレ構成をベースに、壁や天井にピターッとあわせる加工をした本棚が手に入る。
で、このマルゲリータの本棚は、設置したばかりはがらっがらになる。なにしろ、「壁一面が本棚」というかつてない収納力が発揮されるので、手持ちの本をまるっとつっこんでもサマにならない。
高い本棚を買ったのに、本がないのでは本末転倒だ。はじめはインテリアなどで埋めていくとしても、すぐに多読スイッチが入る。多読といってもいろいろありそうだけど、妻と私は「何か興味をもったら、そのテーマで10冊をざっくりランダムに買う」をやっているので、雑食かつ多読だ。もちろん、ものすごいゴミ本がひっかかることもある。それでもOKとしている。
あとは、会ったひとにおすすめされた本はすぐに買う。なんなら、会話の途中で注文する。そして、すぐに感想を送る。道楽にお付き合いいただいたお礼のようなものなので、すこぶる丁寧に感想を書く。
さて、そんなわが家の本棚がこちらだ。マルゲリータの本棚が天井の梁の下にピターッとおさまって、造作家具のようになっている。
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いまのマルゲリータは2代目で、初めて買ったときはマルゲリータのショップのトップ画像として使われていた……と書いていたら、まだ使われていた。こんながらっがらでいいんだろうか。
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画像検索をしたら別の紹介ページもあった。本棚の写真は妻が撮って、マルゲリータに送った。
ついでながら、本棚にある長崎の教会の写真集などは妻の所有物。この写真集のフォトグラファーと仲がよくて、その縁で五島列島の教会を撮りまくったり、地域SNS立ち上げなどもやっていた。私も松濤(しょうとう)で生まれてすぐに長崎に引っ越して、初めての思い出が五島列島への船旅だった(2歳)。ので、まあ、いろんな理由つけて少し前にふたりでボンバルディア乗って五島列島巡りをした。
本棚の猫たちは、ロシアンブルーは6年前に虹の橋をわたり、白いラパーマはいまも元気。その後、CFA(The Cat Fanciers' Association)という世界でもっとも厳しいキャットショーで世界一になって、小学館から出た猫の写真集の表紙に選んでいただけたり、六本木のミッドタウンで写真展を開催したり、三越本店のイベントに出陳したりした、すごい猫だ。実感ないけど。
とまあ、終わりが自己顕示欲云々になってしまったが、記事にしたかったのは「本がたくさんあるから本棚を買う」もいいけど、「本で埋まってないとサマにならない本棚を買ったから、本をたくさん買って読む」でもいいんじゃないかってことだ。
そして、休みの日に一所懸命にアクティビティを埋めるんではなく、のんびり本を読んで、なんか飽きたら別の本、それも集中力続かないなーってなったら別の本、ってのもいいんではないかなと。きっと、ビル・ゲイツもそんな感じで本読んでると思う。