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教科書をブッタ切ったらみんなが早く帰れるようになった話
いきなりですが、教科書をブッタ切ることを決めました。
と言っても何もやけになってブッタ切ってやろうと思ったのではありません。
教科書を裁断して、データ化し、iPadで見れるようにしたら、みんなが少しは早く帰れるのでは?と思ったんです。
今回はその方法について、ご紹介します。
著作権的に大丈夫なの?
まず、教科書をブッタ切る前に、立ちはだかったのは法律です。
そもそも教科書をデータ化するのは違法じゃないの?ということなのですが、これはかなり調べました。
特に著作権問題です。
著作権法 第35条
学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
簡単にいうと、教育目的で使うなら複製を認めますよということ。
ただし、気を付けなくてはいけないことが2点あります。
2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額 の補償金を著作権者に支払わなければならない。
つまりオンライン等で使う場合は、事前に申請と補償金の支払いが必要と言うことです。
また、データ化してもそれを他人に渡したり、ネット上にアップロードしたりすれば、著作者の利益を不当に害することに当たります。
リスクマネージメント
ここさえ気をつければ多分大丈夫だと思いますが、法律は解釈の幅があり、一歩間違えたら訴えられることもあります。リスクは最小限にしておくべきです。
そこで、後で責任を追求されないために、まずは教科書会社に確認を取りました。
「教科書ブッタ切ってiPadにつっこんでやろうと思ってるけどいい?」
なんて失礼な聞き方はしていませんが、丁寧に理由を添えてお願いしました。
多くの会社は、グレーだけど黙認しますと言ってくれましたが、一社だけNG が出ました。
理由は「電子教科書が売れなくなり、利益を損ねる」という理由でした。
なんじゃそりゃ?と思いましたが、教科書会社も企業ですから、なんとか電子教科書を売りたい気持ちも分かります。
ただ調べたら、その会社の電子教科書がiPadに対応していなかったので、その旨と全ての児童が購入している教科書なら複製しても利益の侵害にあたらないのでは?という2点で交渉を進めたところ、校内での使用ならばと許可をいただきました。
晴れて全ての会社から許可が取れたので、管理職や市教委に報告し、上の判断を待ちました。
事前に資料を見せたり、使い方のメリットを話したりしていたので、ここはすんなり許可を貰えました。
ここまでするのは大変でしたが、もうあとはいよいよブッタ切るだけです。
すぐに追加の教科書を事務職員にお願いして購入してもらいました。
いよいよ教科書をブッタ切る
ブッタ切るのは裁断機を使います。
背表紙を思い切って、グサッと切り落としていきます。
あとはバラバラになった教科書をスキャナーにセットして読み取っていくだけです。
どの学校にもスキャナーはあるかと思いますが、自宅でこっそりやりたい方は、スキャンスナップをおすすめします。高いのでレンタル屋で借りてくるとよいと思います。あっという間にPDF化できます。
PDF閲覧アプリ
教科書がデータ化できたら、それを閲覧するアプリが必要です。
「Side Books」という無料のアプリを使いました。
このアプリを使うとPDFファイルを教科書をめくるような感覚で閲覧することができます。
本棚登録もできるので、各学年ごとに本棚を作り、そこにそれぞれの学年の教科書を入れていきました。
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そして、一台のiPadに全ての教科書を登録できたら、あとは先生用の全てのiPadにデータを移していくだけです。
この時はAirdropで送り、職員で手分けして学年ごとに分類していきました。
sidebooksには、cloudで管理する有料のビジネスモデルがあり、その方法ならアカウントを紐づけるだけで、一括で見ることができ、このような手間はいりません。
が、私の自治体はお金がないので、ここはアナログな人海戦術で進めました。
これで全ての教科書がiPadに入ったわけですが、ここからは、どんな変化が起こったのかを紹介します。
ブッタ切った教科書をiPadに入れたら起こった変化
まず先生たちがiPadをたくさん使うようになりました。
そして、全職員が電子黒板や大型テレビに、教科書を写しながら授業をするようになりました。
同僚からも
「これまで授業の挿絵や掲示物を作っていた時間がかなり減った」
「自分のiPadにも入れているから、いつでも教材研究できるようになった」
「重たい教科書を持ち運ばなくていいから最高」
「もうこれなしじゃ生きられない」
など感謝の声が届くようになりました。
子どもたちからも、問題や図が大きく映し出されることで、分かりやすいと言う声が届きました。
発表の時にも大きく映し出された教科書を指差しながら、説明している姿も多く見かけます。
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また、これまではできなかった、他の学年の教科書を授業で見せることも増えました。
例えば算数なら、前の学年の教科書を見せて、既習内容を振り返ったり、次の学年の教科書を見せて、今の学びがどこにつながるのかを紹介することもできます。
さらに、データ化することで、文字検索ができるので、教材研究も捗るようになりました。
このように、教科書をデータ化してiPadに入れるだけで、授業の質も上がり、作業の無駄も減ります。効率的な仕事につながるということを確信しました。
もし学校にiPadがある方や、iPadを購入した方がいましたら、ぜひ教科書のデータ化(PDF化)をしてみてください。
働き方が大きく変わると思いますよ。