「よし、やったるか!」というチャレンジ精神が大事なのはなぜか。
スキルの発達、という視点から
以前から、『スポーツアスリート』と『パフォーミングアーティスト』は、 “身体を使う”という点で共通点が多いと思い、スポーツ関係の勉強会にできるだけ参加をするようにしていました。
例えばスポーツ心理学では、
『やる気』『あがり』『緊張』などの研究がされていたり、『スポーツメンタルトレーニング』といって、『スポーツ選手が、能力を最大限に発揮するための心のスキルを学ぶトレーニング』について研究されていたりします。
「…これ、パフォーミングアーティストにも必要じゃね!!??」
と思う一方で、なんだかしっくりこない部分もあるんです。
スポーツの勉強会に参加すると、フィジカルトレーニングもメンタルトレーニングも、「針の先をさらに尖らせるような繊細さが求められるんだなぁ・・・」と感動するのですが、はたして、アーティストにそこまで尖ったトレーニングが必要なのか?という点がもやもやするんです。
なぜしっくりこないのか、ということを考えているうちに、アスリートとアーティストでは『スキルの発達の仕方』に違いがあるんじゃないだろうか、と思うようになりました。
スキルの発達の違い
例えば『サッカー選手』のパフォーマンスは、相手のゴールにボールを入れるために、
・パス
・ドリブル
・シュート
などのボールコントロールの技術や、
・スタミナ
・スピード
・パワー
などの、身体能力を高めていく必要があり、そのスキルを日々磨いていくことが必要になります。プロになればなるほど、その精度を高める必要があり、どんどん細かい調整に行き着くのかな、と思います。
つまり『スキルが深まる』のです。
でも、パフォーミングアーティストのキャリアの発達は、『スキルが深まる』という点だけでなく、『スキルがどんどん広がっていく』という部分が特徴なんじゃないかなと思うのです。
たとえば・・・
例えば、バレエは、プリエやピルエットやジャンプなど、基礎となる動きを元に作品を作りますが、バレエダンサーは常に同じ作品を踊るわけではありません。
キャリアを深めれば作品のレパートリーも増えるし、「コンテンポラリーの作品を踊ってください」と、コンテンポラリーを踊ったり、「ミュージカルに出ませんか?」とミュージカルで踊ったり、ジャンルが広がることもあります。
俳優さんでも、最初は『さわやかヒーロー系』を多く演じられていた方が、キャリアを深めるうちに、『悪役』『癖の強い役』など、本来のイメージやパーソナリティーと離れた役にチャレンジする様子などもよく見かけるでしょう。
モデルから、シンガーになり、今は俳優活動…、などカテゴリーを飛び越えた活動をされる方も多いです。
スキルの枠が広い=チャレンジの連続
『サッカー』『野球』『陸上』などのスポーツとは違い、パフォーミングアートに求められるスキルは、“枠がない”と言っていいほど広いのです。
アスリートのように、決まった枠の中で繊細にスキルを深めることも重要ですが、そのスキルは次の作品では使わないかもしれません。
そのため、自分の軸となるスキルを深めつつ、新しい作品が目の前に現れた時に、「よし、やったるかぁ!!」とチャレンジを楽しめるこころのスキル、というのがより大切になってくるのだと思います。
そこが、アスリート以上に求められる点なのだと思います。
今回のまとめ
アーティストのキャリアはきっとチャレンジの連続です。
キャリア=チャレンジの歴史
といってもいいぐらい、様々なチャレンジを求められたり、自ら飛び込んだり…を、短いスパンで繰り返すのでしょう。
こうやって考えて見ると、アーティストは、繊細さと大胆さの両方が求められるものなのかもしれないなぁ、と思います。
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