出来の悪い子
母の誕生日にさ
子供の頃さ
プレゼントにピンクのニットのキャスケットを買ったんだよね。
暖かそうだと思って。
そしたらある日
私に見えやすい所のゴミ箱に捨ててあってさ。
理由を聞いたら
「だってサイズが大きいんだもん。要らない」って言われてさ。
まあどうでもいいんだけどね。
母の誕生日が近づいたらふと思い出した。
罪悪感がある。
私はいつも母を楽しませられなかったという罪悪感がある。
理論的には本当にバカバカしいと思うんだけれど、
あるものはある。
これはもう骨の髄まで染み込んでしまっているのだろう。
私は出来の悪い子と呼ばれ続けた。
そのくせ家族はみんな私が最高のものだと思いたがり、
最高でない成績を残した時には
存在を真っ向から否定され続けた。
よそ様には私がいかに出来が良いかを嘘ばかり吹聴して回っていた。
私は未だに海外に行ったことないけれど
世界一周旅行に行ってきたなどと言うことになっていて
私はどうやって取り繕うか、
いかに出来の悪い自分をごまかすか、
いつもそればかりに思考を奪われていた気がする。
ほんとどうでもいいんだけど。