超有名マンガを独自の視点で紹介します
1.極主夫道
「バーゲンは戦場や
主夫 舐めとったらあかんぞ」
~この言葉に私は 胸を撃ち抜かれた~
初めて読んだ時は単に「面白いギャグ漫画だな」と思っただけだった。
しかし私は、ある出来事をきっかけに、この漫画に対して今までにない感情を抱く事になった。
そのきっかけとは、「適応障害・うつ状態による休職」である。
休職する事になった私は、日がな一日、家にばかりいる訳にも行かず、また妻や子供達の役に立っていない状況を変えたい想いもあり、家事をやってみようと思うようになった。
元々、掃除だけは私の役割であったが、料理、片付け、洗濯、買い物、子供の世話、地域との付き合い、その他の名もなき家事…それらは全て妻に任せっきりだった。
妻はパート勤務で私よりは時間にゆとりがあるので、役割分担はこれが妥当だろうと思いながら生活していた。
話を戻そう。
まずやってみた家事は料理。
料理と呼べる代物かは分からないが、「鶏肉とさつま芋とブロッコリーの塩バター鍋」を作ることにした。
ブロックで買った鶏肉をハサミでぶつ切りにする時点で既に、「うぇ…ネチョネチョしてる…」と早くも引け腰。
献立本の通りにやっているのに、なんかスープが変な味になっているし、ブロッコリーはボロボロになっている。
なんとか出来上がったものを家族で食べていると、下の子が食べきれずに残してしまい、一言、「これ、あんまり好きじゃない…。」とポツリ。
打ちひしがれながら、食後の皿を食洗機に入れようとするも入れ方が分からない。
さあ挽回だ、と気持ちを切り替え、洗濯物を干していると「干し方が違うよ。それじゃあ外から見たら、アタシのパンツが丸見えだよ。」と、妻からアドバイスを受ける。
涙目でなんとか家事を済ませ、現実逃避するため、自室で「極主夫道」を読む。
何度も読んでいた作品だが、この時ほど感情移入できた事はない。
この男は家事にマジなんだ、プライドかけてるんだ。
俺みたいに「家事、やってみーよおッ。」なんて、お気楽なノリではなく、本気で主夫をやっているんだ。
俺は完全に主夫を舐めていた…。
以来、私の主夫観は180度変わった。
休職中はあらゆる家事を妻に教えてもらい、仕事へ行く妻の送迎もした。
掃除も徹底的にやったし、ご近所さんとも仲良くした。
するとどうだろう、妻を敬う気持ちが溢れてきて、自然と感謝の言葉が出るようになった。
その時に頭に浮かんできたのは、龍さんの笑顔だった。
ありがとう、妻。 ありがとう、龍さん。
うつが寛解した今も、俺はまだ家事をやっているよ。
『俺の中の主夫の血はコイツで出来ている』
2.刃牙シリーズ
~全ては父に勝つために~
主人公であるバキ少年と、その父、範馬勇次郎が繰り広げる、史上最強の親子喧嘩、それが刃牙シリーズである。
いや…やはり前言撤回。
互いの常人離れした強さの為、「親子喧嘩」という表現はそぐわない。
あえて一言で形容するのであれば、「国同士の戦争」というレベルなのだ。
父の範馬勇次郎はラスボス的な存在である為、バキは序盤は全く相手にならない。
バキはストーリー中の様々な強者達をなぎ倒しながら、徐々に力をつけ、目標である勇次郎に挑む事になる。
少年漫画の王道ともいえるストーリーの構成もさることながら、強烈なキャラクター達の存在が、私のハートを激烈に揺さぶった。
ヤクザ、中国拳法、古代生物、空手家、暗殺家、囚人・・・現実ではあり得ない対決が展開される。
どのバトルも、全力で、圧倒的で、衝撃的だ。
これに影響されない男子がいるだろうかッ!?
細かい設定うんぬんよりも、ただ純粋に強くありたい者達が集い、戦う。
強くなるためには一切の妥協をしない。
※注 これは主人公の異母兄弟です。
果てはイメージトレーニングの常識さえ覆す。
※注 これはイメージトレーニングです。
・・・刃牙シリーズの始まりである「グラップラー刃牙」、この漫画に私が出会ったのは大学生の時だった。
その頃から私は、強さに目覚め、筋トレを始めた。
やればやるだけ、鍛えられていく肉体に喜びを覚えた。
病気で筋トレをお休みした時などは、痛いほどに「郭海皇」の気持ちが分かったりした。
↑中国拳法を極める為、力(筋肉)を捨てた郭海皇。
※注↑ 力を捨てる前、100年前の郭海皇。
そして私は、自他ともに認める努力の人(筋トレ好き)へと変貌を遂げてゆく。
そう、あの場面を見るまでは・・・。
え〜ッ⁉️そうなの⁉️
それから私は、努力を要する過度な筋トレはやめ、「楽しむ程度の筋トレ」を実践するようになったのだ。
『俺の中の筋肉の血はコイツで出来ている』
3.ドラゴンボール
もはや説明不要、老若男女、国内外問わず、超絶人気の伝説的漫画である。
「かめはめ波ーーーー‼️‼️」
…片田舎の小学校に、男子児童達の叫び声が響く。
かめはめ波を打たれた児童は、別の光線技で応戦する。
「ギャリック砲ー‼️」
「魔貫光殺砲ー‼️」
そして何もないはずの空間で魂の押し合いが始まる。
「うおおおー‼️」
「はああーっ‼️」
やがてどちらかが力尽き、断末魔の叫びがこだまする。
「ぐわああぁーー‼️」
ついに果てる敵(児童)。
…が、息つく間もなく現れる新たな敵(児童)。
そして繰り広げられる攻防戦(小競り合い)。
ドカッ! バキッ! シャッ! ギャンッ! ズオッ! ズバババッ! ダーンッ!(全て声で表現)
激化するバトル(戯れ)。
エキサイトするオーディエンス(友達)。
破壊される街(学校の備品)。
怯える女たち(呆れる女子生徒たち)。
そして現れる、圧倒的戦闘力を持つラスボス(先生)の前にひれ伏す(怒られる)。
そして…激しい戦いの後に芽生える友情(責任の押し付け合い)。
私の少年時代は、この日々の繰り返しだったと言っても過言ではない。
戦い(戯れ)の日々の中、いつしか私は「僕はかめはめ波をマスターするんだ!」と思うようになった。
かめはめ波はきっと打てる。
昨日の夢でも打てたんだ。
皆は無理だと言うけれど…
きっと僕は特別な存在なんだ。絶対できる。
そして時は流れ・・・あの激闘(戯れ、妄想)から、はや30年…。
まだかめはめ波はマスターしていないけれど、いまだに過去の宿敵達(友達)とは交友関係にある。
純粋で、楽しくて、素晴らしい少年時代だったと、しみじみ思う。
そんな私には今、2人の息子がいる。
※注 イメージです。
彼らは今まさに「ドラゴンボール超」に夢中。
そんな彼らと遊ぶ時は、昔の記憶が蘇り、つい童心にかえってしまう。
懐かしい光線技の応酬…パンチ、キックの攻防戦。
成長と共に子供達のパンチは年々重くなってくる。
痛い。
恐らく私は、息子達にお友達だと思われているのだろうが、それはそれで良いと感じている。
息子達も私と同じように、沢山の友達と友情を育み、楽しい少年時代を過ごしてほしい。
そして彼らもまた、あの頃の私と同じように
いつか「かめはめ波」を打てると信じている。
彼らならそれが出来ると、私は信じている。
なぜなら…彼らもまた特別な存在なのだから。
…どこかで聞いたようなセリフはさておき、何十年も前から大人気で、今も色あせない人気を誇る、最高峰の漫画、それが「ドラゴンボール」。
『俺の中の友情の血はコイツで出来ている』
4.名探偵コナン 犯人の犯沢さん
~ヤツを殺す!そのためだけに この町に来た。~
ある男に強烈な殺意を抱く男、それが半沢さんである。
田舎から母親に見送られ、初めての一人暮らしをすることになるも、そこは殺人事件の絶えない「米花町」、さまざまな試練が半沢さんを待ち受ける。
今まで見たこともないシステム(駅の改札)に戸惑ったり・・・
新生活への期待と不安に翻弄されながらも、何とか頑張って生活の基盤を整える。
しかし、半沢さんの目的達成までの道のりは果てしなく遠い。
人間関係に悩み・・・
経済的な困難にもめげずに働き・・・
自身の身の危険に震えながら・・・
故郷への郷愁にかられる・・・
しかしそれでも、半沢さんはたくましく米花町で生きていく。
殺人という凶悪な夢を持ちながらも、純粋で素朴で・・・
誰よりも、母や故郷を大切に思っている。
そして半沢さん自身も周囲から大切に想われている。
新しい生活の中、忘れかけていた大切な存在に気が付く事も出来た。
半沢さんの凶悪な目的はさて置いて、半沢さんの内面を見ていると、私は性善説を信じたくなる。
誰の中にもあるであろう悪の心、それは人の本性である善の心で悪にならないように、かき消しながら生きているのだ。
純朴すぎる半沢さんは必死で悪になろうとしている。
でも、なりきれない。
本当の彼は、善人だからだ。
私の中に悪い心が芽生えたとき、半沢さんの顔を思い浮かべてみる。
すると不思議にも「やっぱり悪いことは出来ないな」という気持ちが湧いてくるのだ。
殺人という狂気な言葉や思想が出てくるこの漫画だが、ギャク的な面白さの奥に、何か温かな感情が生まれる。
今日も息子達は楽しげに、この漫画を読み返している。
『俺の中の善の血はコイツで出来ている』
5.スラムダンク
連載終了から24年が経過した今もなお、絶大な人気を誇るスポーツ青春漫画の金字塔、「スラムダンク」。
主人公である桜木花道の、その豪快で奔放な性格や人間臭さ、バスケットを始めた動機はどうであれ、人知れず人の何倍も努力する姿には、心を揺さぶられた人も多いはず。
この漫画の魅力は、そんな主人公を超える程の人気を見せる、魅力的なキャラクター達にもある。
多くの強豪校との戦いは少年漫画の枠組みを越え、海外にまで影響を与えている。
ところで、愛読者にはそれぞれに好きなキャラクターがいると思う。
私はジャンプ連載時から「三井寿」のファンだ。
三井は結構女性ファンが多いようだが、それも頷ける。
イケメンかつさわやかで、頼りがいもあり、スリーポイントがめちゃ得意。
それに、元ヤンから更生したという点も人気の秘密のひとつだろう。
しかしながら・・・!!
ファンとは言いつつも、初登場の頃の三井は嫌いだった。
歯は抜けてるし、ロン毛だし、不良仲間と群れてるし・・・。
当時のヤンキーの見本みたいなキャラクターだった。
三井と湘北バスケ部との抗争については、あまりに有名なストーリーなので割愛するが、徐々に明かされていく三井の過去に引き込まれていった事を鮮明に覚えている。
スーパースターだった中学の栄光をひっさげ、彗星の如く湘北に現れるも、不意の故障に見舞われ、埋められなくなったライバルとの差に絶望し、大好きだったバスケットを捨てた三井。
高校生には辛すぎる現実だろう。
ぶっ潰したい位、憎んだバスケ部・・・
まだ大人になり切れていない三井少年が、もがき苦しみながら、感情をむき出しにしていくその様に、当時の私は息を呑みながらページをめくっていた。
どんな理由があろうと、三井のやった事は自己中心的な八つ当たりであり、何の罪もない、真剣に取り組むバスケ部員たちを暴力で傷つけた事は、到底許されるものではない。
バスケ部を潰したい三井、理不尽な暴力からバスケ部を守りたい部員たち・・・。
それぞれの想いも虚しく、喧嘩は泥沼化の様相を呈してゆく・・・。
しかし・・・三井は最後の最後で、恥も外聞も捨てさり、自分の思いをさらけ出す事が出来た。
恩師の登場、それが三井を、湘北バスケ部を、窮地から救った。
人はやりなおせるという事を教えてくれた安西先生。
そして、自分たちを傷つけた三井を許し、受け入れた部員達の度量。
これ以上の教えに出会ったことは、いまだかつてない。
私は間違いなくスラムダンクを読んで、あきらめない心を学んだのだ。
そしてそれは、それまでに見たどんな映画や小説よりも、心を動かされた。
ページを開けば、いつでも少年時代に戻る事ができ、
あきらめない心を思い出させてくれる・・・
それが「スラムダンク」だ。
『俺の中の不屈の血はコイツで出来ている』