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三つ食へば葉三片や桜餅——虚子はどんな情景を詠んだのか

季節にあった季語を用いた俳句を紹介する連載「魂の俳句」。

第5回目は、「三つ食へば葉三片や桜餅」(高浜虚子)。季語や意味、どんな情景が詠まれた句なのか、一緒に勉強していきましょう!

そして、その俳句を題材にして、大学で書道を学んでいた花塚がかな作品(日本のかな文字を用いて書かれる書道のこと)を書きますので、そちらもお楽しみに!

文・書:花塚水結

桜餅を3つも食べた虚子の句

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みつくへばは(八)三片やさくらもち

俳句:三つ食へば葉三片や桜餅(みつくへばはさんぺんやさくらもち)
作者:高浜虚子(1874-1959)
出典:春雑詠四十一句
季語:桜餅(春)
意味:桜餅を3つ食べると葉が3枚残る

1904年(明治37年)、高浜虚子が詠んだ句です。季語は「桜餅」で、季語は春。

意味は、「桜餅を3つ食べると葉が3枚残る」
ウケないとわかっていても、思わず「あたり前体操〜♪」って歌いたくなるほどに、あたり前ですね。

だって、桜餅の葉をはがして3つ食べれば、葉が3枚残るんですから。「でしょうね」としか言いようがありません。

ここから読み取れるメッセージは、「(虚子は)桜餅の葉は残す派」であること、「桜餅3つ食べれるぜ」の2つしかないんですよ。これ以上原稿が書けないじゃないですか。どうしてくれるんですか……。

仕方ないので、桜餅の起源について調べたいと思います。


桜餅の始まり

桜餅は、1717年(享保2年)向島 長命寺桜もち創業者の山本新六が、土手の桜の葉を塩漬けにして桜もちを考案したのが始まりと言われています。その桜もちは向島にある長命寺の門前で売られるようになり、300年経った今でも引き継がれているそうです。

「向島 長命寺桜もち」のホームページによると、桜餅の葉について「食べ物は、やはりそれぞれのお好みで召し上るのがなによりだと思いますが、当店では、桜葉をはずしてお召し上りいただくことをお勧めいたします」と掲載しています

なるほど。桜餅が江戸時代からあるということは、高浜虚子も長命寺桜もちを食べた可能性がありますよね。しかも、お店は葉を外すことを推奨していますから、「これがお店のおすすめの食べ方だぜ」というメッセージを込めたのかもしれません。虚子、通ですね〜


【検証】桜餅は3つ食べれるのか

残りは「桜餅3つ食べれるぜ」というメッセージについて。餅って結構ボリュームあるし、3つも食べたら胃がもたれませんか? 本当に3つ食べたのか怪しいところです。仕方ないので、私が桜餅3つ食べて検証してみましょう

ということで買ってきました。桜餅3つ。

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ピンクがかわいいですね。

虚子のように葉を外して、いただきます。

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普通においしい。あんこはあまり得意ではないんですけど、昔から桜餅だけは食べれるんですよね。

こちらが虚子の詠んだ光景。

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これで俳句を詠む虚子、すげえ

そして、桜餅は3つ食べら……




れる!


食べられました。でも、結構甘いし、もっちもちだし、お腹いっぱいになります。やっぱり一気に3つ食べるものではないですね。桜餅は1つずつ、じっくり味わうのがおすすめです

みなさんは、桜餅の葉も食べる派ですか? はがして食べる派ですか? ぜひコメント欄で教えてください!

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