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空#11 / Don't worry.

 空の写真を投稿し続けて昨日で10日が経ち、改めて心に決めたことがある。それは、この投稿を多くの人に見てもらいたいからと言って、無理に目を引くような写真を撮ることはしないってこと。空のありのままの姿を、私と空との対話を、大切な友達の360℃を伝えていきたい。

 今日の私はと言うと、そんな新たな決意に燃えているかと思いきや、心がだいぶ澱んでいた。ここ数日間の空模様のように。出掛けようとバスに乗り込むまで、私でさえも心の澱みに気づけていなかった。どうしたんだろうな? と心の中へ目を向けると、そこには“負けない愛”に浸っている私の中の私たちが居た。
『せっかくだし、もうちょっと負けない愛に浸っていようよ。』
 誰もが“負けない愛”の泉に身を委ねて、満たされた心のままぷかぷかと浮かんでいる。とても気持ちよさそうだ。私もみんなと一緒に浮かんでいたくて急遽進路を変更し、お気に入りの場所を目指す。

全てがひとつの歌になる
この空間が あたしのアトリエ

 先日この場所を訪れた時にも感じたのだけれど、咲いている花たちがまるで私の中の私たちのようで、自分の心の中に浸っているようで心地いい。この場所のコスモスに“幸福”と“希望”と名付けたところからして、私とは縁深い場所なのだろうと感じている。
 花たちが咲き乱れる今日の空の下、みんなを揺らす風に包まれながら話しかける。
「ねぇ、私ちょっと焦り過ぎてたかな?」
 私は病気と向き合う為に使い果たした14年分の人生を取り戻そうと、常に焦っていた。『自分に約束。無理はしない。』の合言葉を幾度となく唱えても、この焦りは消えてくれない。

ーあの時病気にならずに夢を追いかけていたら……。

 私の唯一の後悔が今も見え隠れしていた。

花粉塗れのありんこ

 お盆に高校からずっと連絡を取り合っている友達が、我が家に遊びに来てくれた時のこと。旦那と娘には出掛けてもらい、久々に二人であの頃に戻って話をした。エッセイを完成させて、それでもまだまだやるべきことが山積みだと焦る私に
「いや、ちょっと一旦休んで? だってそれくらいのことをしたと思うよ。だからまずは暫くゆっくりしようよ。」
と優しい言葉をかけてくれた。私はこんなんじゃ叶えたいことの1%も進んでないなんて自分を追い込んでいたけれど、友達の目にはちゃんと頑張ってきた私の姿が映っていたみたいだった。その時に初めて知った。私は休んでいいんだって。

 今日の空のタイトル“Don't worry.”は、そんな休むことを知らない焦ってばかりの私へ向けた、私の中の私たちからのメッセージ。
『そこがあなたの悪い癖だよね。』
『でも、よく違和感に気づけたね?』
『私たちに気づいてくれて嬉しかった。』
 明日は、2年継続してきたトラウマ治療に区切りをつけるかどうか、マオ先生と私の中の私たちと話し合うことになっている。前回のワークから2週間、常にみんなのことを意識して、対話しながら過ごしてきた。今、みんなはどんな気持ちでいるだろうか。

『心配いらないよ。何が起こるかわからない。それが生きるってことだってあなたはもう知ってる。それにどんな時も私たちがついてる。あなたが何処に居ても。何をしていても。』

 自信に満ちた幸福の声が聞こえてきた気がした。

私が幸福と名付けたコスモスの写真

 精神疾患は“治る”ものではなく、適切な治療を通して本来の自分を“取り戻す”ものだと改めて実感している。モアナと伝説の海の主人公モアナがマウイやテ・カァの本当の姿を見つけ出したように。自分自身で本来の自分を捜し出し取り戻す作業。私のトラウマ治療は区切りを迎えるが、この旅はまだまだ続いてゆく。少しの不安と、目一杯の愛を抱き締めながら。

 曇り空が続いていますが、みなさんの見上げる空はどんな表情をしていますか? どんな表情だとしても、今日がみなさんにとって特別な空でありますように。それではまた、明日の空の下で🫧

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