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やり切れない時は、大切な人と 美味しい紅茶を。
Tea time
作詞・作曲 前田じあん
抜け出せない 絡み合う感情の渦
抑えきれずに溢れ出す
香りを吸い込み 溜息一つこぼす
「すべて上手くはいかないみたい。」
さぁ 話をしよう? いつものTea time
ゆっくりでいいから紐を解いて
もう忘れるの 嫌なことなんか
全部飲み干して笑って見せて
解けてく心 穏やかな息遣い
湯気に乗って舞い上がる
幸せ飲み込み 想いを空へ放つ
「どうか明日に会えますように……」
さぁ 夢をみよう 今夜はHappy night
どうせ同じなら色を付けて 思い描くのよ
鮮やかな日々を
「美味しい。」って呟いて涙
同じ宇宙の下 愛しい君にGood night
たった1人の為の子守唄
夜を駆ける星 手を合わせ祈るの
──どうか明日は君に笑顔を 春を
朝日が昇ったよ 目を開けてGood morning
やかんに水を注いでお湯を沸かそう
Leafに魔法の呪文を唱えたら
熱いうちに召し上がれ 美味しい紅茶を🫖
【この歌が生まれた背景】
大学生活4年目を休学に充て、復学後は一つの目標に向かって直進した。それは“卒業”だ。
目標は定まっていても、休学中に何の治療も受けなかった私の心が回復する訳もない。言葉に言い表せない感情に 再び苛まれることとなる。結果として抑鬱状態・パニック障害の診断を受け、入院しながらの大学生活が始まる。
精神病棟への入院は、少しの間 私に天国と言うモノを味わう時間を与えてくれた。同じような病を抱えて、周囲と同じような日々を生きられずに弾かれてきた私たち。言葉を交わさなくても 互いが流す涙の理由を分かり合える。私にとって夢のような空間だった。
ある日のこと。私は当時気になっていた人に想いを伝える決意を固めて、病棟で仲良くなったニツキちゃんとモトカさんへ決意表明をした。望みは薄かったけれど、それでも
「じあんちゃんなら大丈夫! 思い切って伝えておいで!」
とエールを送ってくれた。2人とは年が10以上も離れている。けれどいつも世代の差など感じさせないで居てくれる 大切な友達だ。
まぁ、結果は想像通り惨敗。それでも哀しい気持ちは抑え切れず、帰りの電車を途中下車。そして2人へ電話をかけた。
「ダメだったぁ。。。。。」
ホームの隅で泣きじゃくった。電話口のニツキちゃんは
「そっかそっかぁ。ダメだったかぁ。じあんちゃん、7-2に帰っておいで! 待ってるから。」
7-2とは私たちが入院している病棟のこと。いつの間にかそこが私の帰る場所になっていた。涙を袖で拭って、2人が待つ病棟へと急いだ。帰ると、私が先日2人へプレゼントしたLUPICIAのデカフェ マスカットを入れて 待っていてくれた。
「おかえり〜! よく帰ってきたね! ほら、ここ座って!」
そうして突然のTea timeが始まった。私の話を聴きながら涙を流す2人を見ていたら、話しながら笑顔が止まらなくなっていた。仕舞いには3人で笑い泣き、哀しいんだか 嬉しいんだか分からなくなる始末。
────あぁ 友達ってこんなにあったかいんだ。
なんて大切なことにも気づけたりして。あの日の2人の涙でグシャグシャになった笑顔は、今も大脳皮質にしっかりと保管されている。
大切な友達とのTea timeを忘れたくないから。次は私が2人に紅茶を淹れてあげたいから。そんな想いから生まれた歌。
やり切れない時は、大切な人と美味しい紅茶を。
この言葉を、私の中の私たちとの合言葉に新たに加えておこうと思う。