“私”という人間
友達が高校時代の私を思い返しながら必ず口にするのは、歌とリプトンレモンティー。学校のすぐ近くにセブンイレブンがあって、昼休みや放課後に必ずレモンティーを買いに行っていた。私のお小遣いは全てそれで消えていってた。
歌手になりたいと大きな夢を掲げていたあの頃の私。少しずつ心の闇が巨大化し始めたあの頃。“あの人”に夢への道を閉ざされそうになりながらも、必死で耐えた3年間。誰も私の言葉を信じてくれなくて、誰も私をみてくれなかった辛い記憶。もう一度思い出して、今度は一緒に愛せる日々にしていけるように、もう一度リプトンレモンティーを買ってみた。
私の歌を好きだと言ってくれた人たちが、あの日に居たね?
私の歌を口ずさむ後輩に嬉しさが込み上げたよね?
本当はあの勢いのまま夢を叶えたかったね。
ちょっと自分に厳し過ぎたかな?
君の声をちゃんと聞いていればよかった。
我慢ばかりさせてごめんね。
あの時立ててた計画、実行してみたかったよ。
夢を諦めるなんて宣言してごめん。
何で今更涙がでるんだろうね。
次のトラウマ治療まで3週間あいていて、それまで何とか心を繋ぐ為に、私の中で毎日みんなと話し合い。その過程で見つけた、夢を叶えられない悔しさから“マルチバースを夢見る私”。私が生きる“今”には、なりたかった姿の私はいないから、もしもの世界を描くことで心の穴を埋めようとした。辛いことあり過ぎて、ヨロコビみたいに記憶のゴミ捨て場に落っこちてたんだろうな。でも消えてなかった。ちゃんと見つけ出せた。ってことは、君もヨロコビみたいに脱出方法を必死で探して、ここまで会いに来てくれたんだよね。途中、もしかしたらビンボンみたいに忘れ去られた誰かがいたかもしれない。私はもう思い出すことはできないかもしれないけど、ありがとうって伝えたい。私の中は、そんな仲間たちで作り上げられている。
人と上手く付き合う方法がわからなくて
社交辞令を本気で捉えちゃうし
人から騙されやすいし
詐欺とか勧誘とか声かけられるし
物忘れ酷くて
金銭感覚は一般常識からズレてて
怒りが表に出やすくて
朝昼晩の献立を考えるだけで思考停止して
部屋が汚いとイライラして
洗濯物は色順に干さないと気が済まない
自然災害への恐怖心が人より強くて
台風の時は心を壊しやすく
潮の満ち干と心身のバランスは同期してる
私だけ違う世界を生きてる感覚で
傷つく言葉を平気で言う人たちは多いけど
私をちゃんと見てくれる人はいて
心がしんどい時にラッキーは起こりやすく
一目で人の内面を読み取れたり
子供や小動物からよく見つめられがちで
少年やキャラクターものによく似てると言われ
青がよく似合うらしく
いつも歌を歌ってて
リプトンレモンティーを飲んでる。
みんな自分が一番大事だし、余裕があるのなら自分の為に使いたいはず。だから私が覚えててあげないと。“私”という人間が、どんな心を持ってて、どんな景色を見て、どんな悩みを抱えて、どんな風にそれを乗り越えて、どんな夢を見て、どうやってそれを叶えていくのかを。
どの瞬間も見逃さずに、記憶のスクリーンに保管しておこう。