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30-接客業チャレンジラウンドツー:テンショク?!
【前回のお話】
(988字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
洋菓子販売のアルバイトを見事クビになった私。
くじけずに接客業に再チャレンジしようと、見つけた次のアルバイトはパーキングエリアの食堂コーナーでの「調理スタッフ」。
その名の通り、厨房でひたすら料理を作る仕事だ。
但し、ホールから言い渡されたメニューをただ黙々と作るようなスタイルではない。
ここの食堂コーナーは、直にお客様から食券を受け取る。
そして、その場で「ご飯大盛り」だの「ネギ抜き」だの、細かい要望をヒアリングしつつ調理を進めていく。
出来上がったら館内放送でお客様を呼び出す。
「お待たせしました」とにこやかに料理を相手に手渡すまでが、一仕事である。
故に、立派な「接客業」に間違いは無いのだ。
自炊は普段からしているものの、いざお客様の為に料理をするとなると、やはり緊張した。
「この私が作ったご飯を、見知らぬ人に食べてもらうなんて」と、
「不味い」とクレームが来たらどうしようと、
一歩間違えて食中毒起こしてしまったらどう責任取ろうかと、
……
非常にハラハラした。
ところが、全ていらぬ心配だった。
「天職か?!」と思える程、すぐにこの仕事に馴染めたのだ。
所詮はパーキングエリアの食堂、と言ったら失礼だが、全メニューの作り方がマニュアル化されていた。
即ち、全くの料理初心者だとしても、ステップ通りに作っていけば「様になる」ものだった。
材料や調味料の量も、前もってチーフが測ってくれる。
最初の頃はまだあたふたするとしても、こなれてくれば深く考えなくても、手が勝手に動いた。
不思議な感覚だった。一種の快感でさえあった。
忙しければ忙しい程、私の両手は飛ぶように動き、サクサクと調理をこなした。
「若いのにしっかりしている」
「忙しい時は竹子さんがいてくれると助かる」
と先輩方に褒められたぐらいだ。
思えば仕事でこんなに褒められたのも、これが初めてなのではないだろうか。
だが、相変わらずお客様の話はあまり聞き取れなかった。
いや、「音」としてはちゃんと両耳でとらえてはいるのだ。
但し何故かその相手の口から発せられた「音」を「言葉」として変換出来ない。
幸い、あまり複雑な注文内容がないせいか、数回聞き返しても特段不満を言われることはなかった。
(これなら長続きして働けそう!)
そう思った矢先に、新たな試練が舞い降りた。
「踏んだり蹴ったり」とは、こういうことなのだろう。
私は厨房で、いじめの対象になってしまったーー
(つづく)
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