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遺作。「オペレッタ狸御殿」

日本から持って来ていたDVD「オペレッタ狸御殿」を久々に見る。
これは先日亡くなった鈴木清順監督の遺作となった作品だ。

この映画の世間的な評価は高くない、見直してみて、安っぽい映画だとは思うけど、音楽は悪くないし、ちょっとハッとする映像もある。まあ、良くも悪くも鈴木清順の映画になっている。

でも清順さんは、この映画を最後に人生を終えた事どう考えていたのだろうと思う、清順さんは自主映画を撮るような人ではないので、映画が撮れないまま10年以上の時を過ごした時もあった。

そして、僕が出会った1980年代、色々と撮りたい映画の話も、プロデューサーから、撮らせたい映画の話も聞いた。

しかし、遺作は「オペレッタ狸御殿」だ。

黒澤明監督の遺作は「まあだだよ」
アルフレッド・ヒチコックは「ファミリー・プロット」
ビリー・ワイルダーは「バディ・バディ」

映画はひとりで作れる物ではないので、撮りたいと思って撮れる訳ではない、どうせなら最高傑作、自信作で締めくくりたいが、世の中そううまくは行かないようだ。

巨匠たちの名前を羅列したあと、申し訳ないけど、僕が商業的に監督した最後の作品はAVで、まさか最後になるとは思わなかった、色々あって会社に製作部門が無くなり、撮れなくなったのだ。

いろんなジャンルの映像に手を出していたので、AVが嫌でCMが良かったという訳でもないけど、これが遺作になるのかなと考えた時、それは嫌だなと思って自主制作で短編映画を作った。

映画監督に限らず、作家とか、画家でも、物作りをする人は{遺作}を気にするのだろうか。

歳のせいか、そんな事が気になってしまった。

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