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この子たちと、生きていく④

後悔してる?

「母親になって後悔してる」

もし、あなたが身近な人にそう言われたら、どう返すだろうか?
「そんなこと言ったら子どもを傷つけるよ」
「子どもを授かるのは奇跡なんだよ」
「大変なときもあるけど、幸せなこともたくさんあるよ」
もちろん、それも正論。

でも私は、
「うん、その気持ち分かるよ」
と答えると思う。

ひどい母親だろうか。

『母親になって後悔してる』
これは、2022年に出版された本。
イスラエルの学者オルナ・ドーナト氏の著書です。

帯には
「子どもを愛している。
それでも 母でない人生を想う。」
と書かれている。

まさにそれ。

子どもが嫌いなわけじゃない。
でも、毎日かよわい命に向かい合い
最後の砦のような気持ちで子育てをするとき
ピンと張った糸が切れるように
ふと、その場から消えてしまいたくなる瞬間がある。

NHKが6500人超の母親に取材したところ
「母親にならなければよかった」と思ったことがある女性は32%。
3人に1人。少なくはないと思う。

それでも、その母親の96%が、子どもに対して「愛情」や「大切さ」を感じているという。

しかも、母親に後悔している理由として一番に挙げられたのが
「自分は良い母親になれないと思うから」

子どもを育てる責任の重さに押しつぶされそうになりながら
良い母親になれない自分を責め
幸せな選択をしたはずの自分の人生を後悔する。
そんな女性を、私は一概には責められない。

そして気になったのが
「後悔していますか?」の質問に
「答えたくない」と回答した人が4%いることだ。

顔も名前も知られるはずのないアンケート。
それなのに、答えたくない。
そこに、根強い問題があるように思う。

「母親になれる人は幸せ」
「良い母親でいなければならない」
「だから、子育ての辛さを口にしてはいけない」

世間には、「良い母親」になるための情報があふれている。
母親は、世間や周囲が求める「理想の母」を目指して苦しむ。

…でも。
子育てって、そんなに苦しいものだった?

私は「否!」と言いたい。

もちろん、大変なこと、辛いことはある。
日常の小さなことを挙げればキリがない。

それでも、それ以上に幸せを感じている。

そうなれたのは、
子どものことと同じように
自分のことも大切にできるようになったから。

「良い子」が大人にとっての「都合の良い子」であってはならないように
「良い母親」も、「世間の理想にそった母親」でなくていい。
辛い時は、辛いと泣いてもいい。

母親自身が自分を大切にし
自分の心に正直に生きて
生き生きと人生を愉しむ。
そしてその愛をもって子どもや周囲に接するなら
それが一番良いと思う。

最後に。
一見悲観的なデータを出したけれど、
調査では「後悔したことが1回もない」という母親が64%もいる。

私だって、幸せな時間をいつも味わっているし、今や子どものいない人生は考えられない。

良い母親ではなく、幸せな母親が増えるように。

その「幸せ」の定義ですら、母親が自由に選択できるように。

それが、ひいては子どもの幸せにもつながると思うから。


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