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映画「護られなかった者たちへ 」を見た

映画を見てきた。

脚本家が私が伊坂幸太郎にハマるきっかけになった映画「ゴールデンスランバー」の脚本を手がけた方という事や、生活保護を担当する社会福祉事務所のケースワーカーが殺される事件、という設定に興味が湧いた、この映画、「護られなかった者たちへ」。

2時間強の間の清原果耶と佐藤健、倍賞美津子の表情や体の使い方の変わり様が凄かった。

私も過去、精神障害者の相談支援のケースワークの仕事をする中で、複数の社会福祉事務所の生活保護担当ケースワーカーさんと話をする機会が何度もあった。

やっぱり担当者によって対応に天と地の差があるし、あまりにも対応が酷い時は、私も当事者ではないのに、あまりに理不尽で黙って帰るには悔しいし、そんな返答じゃ意味不明過ぎて利用者さんに説明もつかないから一発戦わずにはいられないと思う位、本当に心の底から腹が立った事もある。

なので、さすがに殺意は無いけど、納得出来ない申請者側の気持ちはいくらでも想像がつく。でもだからこそ逆に役所側の視点や事情にも興味があって、どうにか都合をつけて、この映画を見てみたいな、と思った。

舞台は東日本大震災直後の被災地。避難所と言っても安心できる場ではなく、取り敢えず食べ物を貰えるチャンスがあり、(必ず貰えるとは限らない)、雨風をしのげる程度で、ほぼスラム街の様な過酷さ。

誰もが疲れ果てていて誰もが自分だけで必死で、多くの人が喪失感に呆然としている状態。そんな中、ほんの束の間、他人同士が出会い、まるで家族の様に心が触れ合い、それぞれの人生に戻った数年後、ある事件をきっかけに、非常に辛い形でまた心が触れ合う事になる、という物語。

悪い人は誰もいない。誰もが必死で、だからこそ自ら声をあげて、図太く生きていこうとする事が求められているというシビアさに胸がギュッと掴まれるような気分になった。

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