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MBA合格体験記2022 - シンガポール国立大学(NUS)


自己紹介

こんにちは、じぇがながと申します。
2023年8月現在、米系Fintechのシンガポール拠点で与信審査/リスク管理の仕事をしながら、2022年8月からNUSのパートタイムMBAに通っております。

日本の私大文系卒、メガバンク入社2年で退職した後、2016年に渡星しました。
趣味は、バレーボール(主にインドア、時々ビーチ)と、音楽(ギターとピアノ)です。
過去に北京短期留学の経験があり、最近は就寝前に中国語ドラマを観て、ゆるーく中国語学習をしています。

志望動機

経済的な理由に加え、シンガポール永住権(PR)取得を目指しているため、シンガポール国内パートタイムMBAに焦点を絞っていました。
NUSとSMUを併願し、両校からオファーをもらい、最終的にNUSの入学を決めました。
パートタイムMBAの志望動機は、主に以下の3つです。

①転職活動のため

2022年3月のMBA出願の遥か前から、シンガポール国内での転職をずっと希望していましたが、コロナの影響もあり、数年間、歯痒い経験を繰り返していました。『ジョブ型』雇用がスタンダードのシンガポールでは、マネージャークラスに昇進しない限り、スキルセットに厚みを持たせる機会は限定的と言えるでしょう。30代に入り、「早く転職しないと、いよいよ手遅れになる」という焦りが募っていました。

転職をしたい願望は高まり続けるも、依然として学歴重視のシンガポール国内で、自分の『学歴』が転職活動の足かせになっている可能性を否定できませんでした。
外国人として労働/転職市場で生き抜くためには、『日本の大学の学部卒』では、やはり説得力に欠けると考え、MBA受験を検討し始めました。

②中長期的な日本国外でのキャリア形成のため

10~20年後に、シンガポール(または日本国外の別の国)でマネジメントの一員として就業する機会がある可能性を鑑みた場合、その時の自分がどう在りたいか、という視点でMBA取得の意義を考えました。

下記の通り、日本は他の先進国と比較すると、管理職に占める「学部卒」の割合が相対的に高く、「修士号以上」が相対的に低いと言えます。

米国の上場企業の管理職等の約4割はMBA取得者である一方、日本の企業役員等は、大学院修了者が1割以下にとどまる。

文部科学省『経営系大学院を取り巻く現状・課題について』

将来、日本国外でマネジメントとして就業を望んだ場合に、現状の最終学歴で周囲の納得を得られるのか、と考えるようになりました。

③シンガポール永住権(PR)取得のため

私は現在、Employment Passという就労ビザを基に、シンガポールの滞在資格を有しています。
企業による就労ビザ発行・更新のサポートが無ければ、シンガポールに1ヶ月間以上滞在することができません。(失業=国外強制退去)
また、仮に転職したい企業があっても、就労ビザを一切発行しない企業も少なくありません。

つまり、シンガポール永住権(PR)を持たない外国人労働者は、そもそも限りなく狭い選択肢の中で、政府によるビザ更新の保証も無く、日々綱渡りをしていることになります。
当然、PRは簡単に手に入るわけではなく、承認プロセスもブラックボックスですが、もしPRを取得できればゲームチェンジャーとなります。
将来のPR取得の可能性を少しでも高める手段として、シンガポール国内の大学院を卒業することが、プラス要素になると考えました。

出願スケジュール

2021年12月初旬:MBA出願を決意、その勢いでIELTSの受験申込み
2022年1月9日:IELTS受験
2022年1月中旬:Executive Assessment (EA) 学習とEssayの平行作業開始
2022年1月下旬:在校生の日本人の数名にコンタクトを取り、直接お会いして情報収集
2022年2月初旬:コロナ初感染で1週間の瀕死状態
2022年2月23日:EA受験、Application提出完了(NUS、SUM同時)
2022年3月3日:NUS面接の案内メール
2022年3月8日:NUS面接実施、SMU面接の案内メール
2022年3月9日:SMU面接実施
2023年3月21日:NUS、SMU両校からオファー

出願書類

2022年のNUSの出願書類は、ざっと以下の通りです。
(SMUは省略しますが、大きく異なるものは無かったと記憶しています。)

  • 英文履歴書:転職歴が全く無い人は、早めに自分のキャリアの棚卸しをすることをお勧めします。

  • 卒業証明書:海外在住の人は早めに大学から取り寄せましょう。

  • 成績証明書:同上。

  • GMAT / GRE / EA スコアレポート

  • IELTS / TOEFL スコアレポート(出身大学の授業が英語で行われていた場合は不要)

  • パスポート or EP の写し

  • パスポートサイズの証明写真:学生が頻繁にアクセスする学内ポータルで使用され、写真の差替えは不可なので、雑に撮るのはおすすめしません。

  • 給与明細

  • 銀行取引明細書

Essay

受験プロセス全体を通して、個人的な最大難所はEssayでした。
私の主観ですが、Essayで求められていることを突き詰めるとすれば、人生を振り返って、
「問題発掘 → 価値観/信念 → 行動/工夫 → 成果」
のストーリーを可能な限り洗い出し、複数の質問に対して最も説得力のある複数のストーリーの校正を繰り返す作業、になると思います。
そして、将来のビジョンを語る上で、MBA取得の必然性を説明することになります。

添削サービス

Essayの添削では、EssayEdgeを使いました。料金は文字数によって変動し、2校分の添削を同時に依頼した結果、総額は約5万円程度でした。1週間の期間内であれば回数上限無しで添削の依頼ができるプランを選択しました。

苦しみながら思考を巡らせて書き上げたにも関わらず、初回の添削では
「このストーリーでは質問に回答できているとは言えない。もっと他のストーリーは無いのか。」
というド直球コメントで返され、割と心が折れかけました。
最後まで悩み続けましたが、苦労した甲斐はあり、最終的には納得のいく形で提出できました。

ご参考までに、受験当時に友人に教えてもらった、Essayの添削サービスも下に載せておきます。
EssayEdgeと比較すると費用は高めですが、長期的に手厚いサービスを必要とする米国MBA受験者には御用達のようです。(NUS単願であれば、あまり必要ないと思います。)

Chat GPT

私の出願の時は、まだChat GPTは無かったので、語彙の選び方や文法的な校正も含めて、添削サービスを活用しました。今はChat GPTがあるので、語学的な側面での負荷は、間違いなくかなり軽減できると思います。
ただし、これからMBAのEssayを書く場合、Chat GPTに全てを託すのはお勧めしません。
人工知能でどれだけ磨かれた英文を作成できたとしても、何千何万のEssayに目を通してきた学校の採用担当者の心に響くクオリティは、担保されていないからです。

もちろん、文法チェック機能としては、Chat GPTを使わない理由は無いでしょう。Chat GPTを使って整えたEssayを基に、プロの添削サービスを活用するのが、現時点では一番良いアプローチではないでしょうか。

推薦状(2名分)

お世話になった信頼できる元上司(シンガポール人1名、日本人1名)に依頼しました。

シンガポール人の元上司は、大変ありがたいことに、全て上司に書いて頂きました。よって、提出された推薦状の中身は不明です。

日本人の上司は、自作自演で推薦状を作成し、上司がそれをコピペして提出するスタイルでした。(日本人の上司の場合、よくあるパターンだと思います。)
Essayで書いてある情報との一貫性は保ち、かつ、重複したストーリーは使用しないように、推薦状とEssayのバランスを考慮する工夫が必要でした。

IELTS

当時のNUSの足切りスコアは6.5(現在は7.0)で、目標スコアを7.0としました。私が設定したスケジュールの場合、学習可能期間は1ヶ月でした。
英語の試験対策に関しては、バックグラウンドによって個人差があると思いますので、あくまでサンプルの一つとして捉えて頂ければと思います。

全体を通して個人的に注力したことは、英単語の暗記でした。おそらく学習時間の6~7割は、英単語の暗記作業に使ったと思います。

短期間で膨大な量をカバーする為に、エビングハウスの忘却曲線を意識して単語暗記のスケジュールを作成しました。具体的には、
①覚えたい単語を50個毎にセクションを切り、
②各セクションを1日目、2日目、4日目、8日目、15日目で暗記する、
というスケジュールを組み、Excelで管理しました。このアプローチで、機械的に効率よくカバーできたと思います。

購入した単語帳はこちらです。丁度よい情報量で、語彙配列もランダムになっており、割と使い勝手が良かったです。

リスニングリーディングは、問題形式に慣れることを目的として、IELTS公式問題集を1冊解きました。
※Academicを買うべきところで、最初に間違えてGeneral Trainingの問題集を購入してしまったので、MBA受験生はお気をつけ下さい。。

ライティングは、「IELTS、ライティング」とググり、先人の知恵を元に回答パターン、鉄板フレーズを把握しました。
1ヶ月の短期間で急激なスコアアップなど期待できないと割り切っていたので、とにかく「型」を習得することだけに意識を向けました。

スピーキングは、試験直前の1週間、オンライン英会話で練習しました。
オンライン英会話を10社ほど調べた結果、IELTSにある程度理解がありそうなトレーナーのいるスパトレを選びました。

初回で目標スコアの7.0が出たので、その時点でIELTSの学習は終了しました。受験結果は、受験した3日後にメールが届き、オンラインで確認できました。

GMAT/GRE/Executive Assessment

NUSとSMUでは、GMATとGREどちらのスコアも受け付けています。更に、NUSパートタイムMBAの場合は、勤務経験年数によって、Executive Assessment (EA) のスコア提出も可能です。(2022年入学の場合は最低7年でしたが、2024年入学の人は最低5年に短縮されています。)

EA試験の詳細、およびGMAT/GREとの比較は、過去にまとめた記事の下記リンクをご参照ください。

ちなみに、SMUパートタイムMBAでは、SMU独自の学力テストを受験するオプションがあり、私はそのテストを受験しました。
ただし、テスト対策手段は特に無く、最終的な自分のスコアが、受験者の分布のどこにいるのか結局よくわからなかった、と記憶しています。

個人の勤務経験年数やその他のバックグラウンドによっては、これらの試験を一部(もしくは全て)免除できるケースも存在はするので、自信がある人は学校に事前確認・交渉すると良いと思います。
実際に、テスト系を全てスルーし、Essayと面接だけでオファーをもらっている強者をNUSでちらほら見かけますが、キャリアで実績を積んだ40歳以上の方が多い印象です。(誰もが真似できる芸当ではありません。)

面接

上記の書類提出を以って出願が完了した後、約1週間後にNUSのインタビューの案内がメールで届きました。
NUS面接はオンラインで30分、面接官は2名でした。(SMUは1名)

質問内容は特に大きな変化球は無かったですが、アジアの企業に対する知見と興味を問われていると感じました。自分の興味があるアジア企業のCEO3名くらいは、理由も併せて準備しておくと無難な気がします。

Why MBA, Why NUS, Why you, strength/weakness, mid- and long-term career plan, any question? などの基本質問は、即答できるように事前準備しました。

NUSの面接は、思い描いてた通りに面接官との対話を進めることができず、かなり消化不良でした。想定していた以上に面接官の圧が強めだったこともあり、防御姿勢になってしまった気がします。面接後、「ここまで頑張ってきたのに不合格かもしれない」と不甲斐なさを痛感し、正直かなり凹みました。
SUMの面接は、終始和やかな雰囲気だったので、自分のペースを作りやすく、伝えたいことは全て出し切れました。

おわりに

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。シンガポールMBA受験を検討されている方にとって、少しでもご参考になれば幸いです。
2024年4月頃に卒業予定ですが、学校生活や授業の雰囲気などは、また別の記事でまとめたいと思います。

何かMBA受験に関してご質問等がございましたら、TwitterのDMでご連絡いただければと思います!

最後に、過去のCFA受験記録のリンクも掲載しておきます。CFAとMBAで迷っている方がいらっしゃいましたら、いつでもDMでご相談ください。


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