SUPER GT開幕戦岡山300km
みなさん、こんにちは。私は、チームクニミツのチーム監督をしております小島一浩と申します。今季もZFジャパン様のサポートを受けて、GT500ディフェンディングチャンピオンらしいレースをお見せしたいと思っています。 さて、今回の開幕戦についてですが、2月から岡山や鈴鹿、そして3月末のSUPER GT公式テストまでの開発テストを通じて、新しいリバリーとなったNSX-GTはとても良い仕上がりとなっていました。そんなポジティブな流れのまま先週岡山入りしました。
昨年計画されていた岡山での開幕戦は、緊急事態宣言を受けてキャンセルとなっていましたので、岡山でのレースを楽しみにされていたレースファンの皆さんの前でレースができるのは、2年ぶりということになります。私たちチームや関係者、オフィシャルやメディアなども含めて、万全の感染予防対策を施してサーキット入りしましたが、やはり観客の皆さんの前でレースができる喜びは格別だと感じました。
10日土曜日午前の練習走行では、山本尚貴中心に走り込み、とてもよい感触を得ていました。今年から新しくエンジニアをお願いしている星くんとも、「いい感じだね」とその手応えを話していました。これならいけそうということで、牧野の代わりに開幕戦を走ってくれる武藤英紀にQ1を任せることにしました。ところが、公式予選が始まると、スープラ勢がいきなり上位にひしめき、11番手でQ1敗退となってしまいます。武藤も頑張ってくれていたのですが、他のライバルたちの急躍進に驚いた次第です。
岡山国際サーキットは、コース幅が狭く、ストレートも短めで差がつきにくい中低速コーナーが続くサーキットなので、後方スタートは不利です。しかも、スタート時の団子状態の中、オープニングラップで14位に落ちてしまったのは痛かったですね。それでもスタートドライバーの武藤は、「クルマのバランスは悪くない」と言っていました。ライバル勢の多くは、33周目にコース上で発生したGT300のスピンを見届けてからセーフティカー出動前にピットインしたので、ピットレーンは大混乱しました。前後を塞がれてしまった出遅れた車両もあったようです。しかし、私たちのチームは、それよりも前にピットインして山本に交代していたため、GT500全車がコースに戻った時には2台を抜いていました。そこからは追い上げムードで、8位まで挽回することができました。
現在のGT500マシンは、団子状態で走るとクーリングや空力への影響が大きく、特にダウンフォースが抜けてしまうと、思うようにパフォーマンスが発揮できない状況となります。特に狭い岡山ではそれが顕著です。それでも14位から8位まで挽回できたことは明るい材料だと捉えています。ポイント3も取れたし、取りこぼしがのちのち響くこの選手権を戦う上で、最低限の目的は果たせたと考えています。GT300に新しいマシンが数台入り、新しいドライバーも多いので、レース前からサバイバルレースになるとは予想していましたので、ドライバーとは、「コースにとどまり続けよう」と話していたところでした。
新しくチームに加入したレースエンジニアの星くんは、まだ若いのですが、スーパーフォーミュラでも実績のある有能な人材です。チームの「頭脳」が新しくなったので雰囲気が変わり、ドライバーやメカ達も意識がリフレッシュしたと思います。今後も良いケミストリーが生まれることを期待しています。