ぼやけた世界の方がすきだから。


コンタクトを買ったけれど、ずっとつけないでいる。ぼやけた世界の方が好きだから。
みたくないもの、ききたくないこと、たくさんあるので五感を1つ鈍らせて歩いている。

夜の雨の街は、車のライトが眩しくて、赤が。電灯の光が縦や横に伸びたり縮んだり、黄色が。水たまりに映る赤と黄色が、溶けて混ざり合いそうだった。


目を少し細めて、そうすると光の筋がもっと伸びて、気づいたら泣いていた。

もともとぼやけていたのに、涙のせいでもうほとんど前が見えなくなって、でもそれでも赤と黄色の光達が綺麗で、好きだなあと思った。



雨でいつもよりすべりやすい道を私は軽い足取りで歩いた。
夜の雨の街は、パレットに絵の具を混ぜたみたいで、黒くてよくわからなかったけど、とても綺麗だった。私は私だけが知っている夜を見れたように感じて嬉しくて、目を細めては絵の具を溶かしたり滲ませたりを繰り返して遊んだ。

そんなことをしていたら、また涙がでてきて、このまま涙と一緒に絵の具と溶け合って、夜の街に沈んでしまいたいと思った。おわり


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